《VRMMOで妖さん》23:頼みを聞こう。
というわけでやってきました、三度目の役場。
珠ちゃんは表で待っててね。遊んでてもいいよ。
中にって案板から図書室を探していたら、ライサさんが奧のカウンターから出てきた。
なんか疲れた顔してるけど何かあったのかな?
「お待ちしておりました、白雪様」
へ?
「あれ、私何か忘れちゃってました?」
「いえ、こちらの都合で勝手に待っていただけですので」
「何かあったんですか?」
「白雪様にお願いがありまして、良ければ聞いて頂けますでしょうか?」
「はぁ。とりあえず聞くのは構いませんけど」
「ありがとうございます。それではこちらへお願いします」
近くの機を示されたので著地する。
ライサさんも失禮しますと言って著席した。
「それで、どうしたんですか?」
「昨日白雪様が【妖魔法】の手続きを済ませお帰りになられた後、私は【妖魔法】の報をまとめて報告書を作しておりました。
そこへやってきた同僚に【採取】の事を聞かれてを頂いたことを言い、「味しかったです」と自慢したところ職員達から総攻撃に遭いまして。
その結果「代金はちゃんと皆で払うから土下座してでも貰って來い」と命令されまして、白雪さんにお助け願いたいという訳です」
何やってんだこの人。
「えっと、を集めるのは構わないんですが容が無いんですよ」
「昨日のうちに買っておきました」
「あと私の力だと瓶が持てなくて」
「私がお手伝い致します。それとMPの消耗に関しては昨日と同様、私から回収して頂いて構いません」
至れり盡くせりか。
本を読みに來たんだけど【妖魔法】の経験値を消費無しで稼げるし、お金も貰えるみたいだからやろうかな。
斷ったら本當にここで土下座されそうだし。
「解りました、やりますよ。今からでも大丈夫ですか?」
「ありがとうございます。はい、私としましても早い方がありがたいです。
昨日からずっと針の筵に座らされているような思いですので」
それ、わざわざ自慢したからじゃないかな。
昨日も使った中庭に二人でる。
壁際は殆ど花壇になっているので花の量も十分だろうか?
ライサさんが用意したのは五十センチくらいのジャム瓶だった。
小さめの瓶だけど恐らく十分だろう。
ふー。多分百回くらいはやったと思うんだけど、どれくらい溜まったかな?
後ろでしゃがんでいるライサさんの持つ瓶を見ると、まだ十センチも溜まってないみたいだ。
満タンまで先は長い。
「ありがとうございます。これだけあれば十分です」
あ、それだけでいいんだ。
確かにライサさんに上げたのは一回分だけだったしな。
じゃあ手を洗うか。行儀は悪いけどざっと舐めとる。
ちょっとだけどMPも回復するから勿ないからね。
しかし片方ずつ洗うのはやっぱり手間だなぁ。何とかならないかな?
そういえば【空間魔法】の【座標指定】の説明に魔法の起點に出來るとか書いてあったような。
でも【大洪水】の説明文には「手から」とか書いてあったから無理かな?
試してみれば判るか。
「すいません、し【空間魔法】で試したいことがあるのですが。
この中庭って登録していないスキルを使っても大丈夫なんでしょうか?」
「はい、問題ありません。 しかし【空間魔法】とはまた、高位の魔法を扱えるのですね」
これしか無いんだけどね。
大丈夫みたいなので自分のみぞおちの高さで、前方三十センチくらいの位置を【座標指定】する。
なんかパネルが出てきた。タイトルバーに「座標指定」って書いてあるし、記録した座標の一覧かな?
一行だけ數字の羅列があるけど、これじゃどれがどこだか判らないぞ。
あ、よく見たら右端に鉛筆マークみたいなのがある。名前を付けられるっぽいな。
まぁ今は一つしかないしいいや。
記録した座標を意識しつつ【大洪水】の発も意識する。難しいなこれ。
あ、出た。 けどなんか橫に出てる……
ん? 右手の向きに連してるっぽいぞ?
あぁ程、「起點」だけ設定するとそうなるのか。
目標にも出來たよね。もう一度、今度は最初の座標のし下を指定する。
えーっと、あの座標からこの座標へ【大洪水】発…… 座標を意識することに慣れないと厳しいな。
おぉ、やった。今度は手をかしてみても下に向かって湧き出てる。
あったかいシャワーにして手を洗う。やっぱり両手を使えると洗いやすいね。
「おかげさまで功しました」
乾かしながら見ていたライサさんに報告する。
「更に便利そうになりましたね。【空間魔法】も登録なさいますか?」
「大丈夫なんですか?町中で使う必要があるという程でも無い気がするんですが」
「えぇ。許可するか否かの判斷は職員に一任されておりまして、「この方であれば悪用はしない」と判斷されれば「あれば便利」程度でも許可されることもあります。
但し許可されたスキルを使用して悪事が行われた場合、擔當した職員にも責任が負わされますのでそう多くはありませんね」
人を見る目が大事なんだな。
まぁ悪用する気はないし登録しておこうか。
「そうですか。それじゃ後でお願いしますね」
「はい。それでは【吸】をどうぞ」
今回も二セット吸わせてもらった。
途中でし回復量が増えてたし、レベルが上がったんだろうな。
そういえばこれだけ使いまくったんだから、【妖魔法】も上がってるんじゃないか?
アナウンスとか無いから大抵知らないうちに上がってるし。
Lv5になってた。これだけ使ってLv5なのは早いのか遅いのか。
あ、新しい魔法が増えてる。
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【施《ディストリビュートライフ》】 消費HP:10
使用者の生命力を消費し、対象に分け與え活化させる。
使用するには対象から十メートル以に居る必要がある。
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漢字が全てを語ってるよ!!
開発は妖を何だと…… いや、植を元気にするのはある意味妖っぽいのか……?
でもこの名前は無いわ。
「どうされましたか?」
詳細パネルを可視化して渡す。
「……名前に目を瞑れば有用かと」
うん、そうね。
「ところで、このの価格なのですが」
そういえば何も決めずに作っちゃった。どうしよ。
「いくらくらいになりますか?」
「そうですね。現在の甘味料の価格と採取にかかった時間や消費したMPの量に加え、採取に必要な【妖魔法】の希さと何より白雪様のという事から考えまして」
おかしな要素はスルーしよう。もう諦めた。
「銀貨二枚程でしょうか」
「はぇ!?」
この量でそんなするの!?
「現狀では妥當な価格かと。甘味料の手は本國からの輸に頼っており、量がかなり限られているのです」
砂糖の原料の栽培や養蜂とかで安定して生産できないとどうしても高くなるのか。
【採取】で稼ぐなら今のうちかな?
「その金額でよろしいでしょうか?」
ちょっと経験値溜めながら小銭稼ぎ出來るとか思ってたらまさかの金額。否やは無い。
「はい、それでお願いします」
「では【空間魔法】の登録作業もありますし、付へどうぞ」
付で登録を済ませ、銀貨二枚をけ取ってホクホク顔で役場を後にした。
……いや違う、本を読みに來たんだった。戻ろう。
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