《VRMMOで妖さん》31:改めて聞いてみよう。

困った。いくら宥めても全然立ってくれない。 というか聞いてくれない。

くそう、こうなったら実力行使だ! ていやー。

「冷たっ!?」

下げた頭に冷水を噴。頭を冷やしなさいまったく。

「アリア様の所へ行きますよ。 ほら、立ってちゃんと自分の足で歩いて下さい」

運ぶのは無理だし。

強く言わないと聞いてくれなさそうなので気持ちきつめに言う。

「えっ?」

「ジョージさんが落ち著いたら執務室に一緒に來てくれと言ってたので。さぁさぁ、待たせちゃ悪いので早く立って行きましょう」

「えっ、あっ、はっ、はい」

テンパってるなー。

まぁ立ってくれたので良しとしよう。

そういえばポチよ。

のんびりしててとは言ったけど流石に今のは手伝ってくれても良かったんじゃないか?

まぁいいや。 ちょっと戻っててね。

でまわしてから送還し、ライサさんがついてくるのを確認して執務室へ向かった。

二階の奧へ行くとドアの橫にジョージさんが立っていた。私達を見てドアを叩く。

「姫様、來ましたぜー。 ……ほれ、んな」

開かれたドアをくぐって挨拶する。

「おお、待っていたぞ。 ……何でライサはずぶ濡れなんだ?」

あ、ライサさんびしょ濡れのまま連れて來ちゃってた。

「もういいっつってんのに頭を上げないから水ぶっかけられたんじゃないですかね」

ジョージさん大正解。見てたの?

「おぉ、私も危ない所だったか。 怪我は大丈夫なのか?」

「危うく死ぬところだったんで俺がすぐ治しましたよ」

いや、いくら何でもやりませんよ?

ジョージさんの回答に頷いて同意しておく。

さりげにコレットさんがタオルを持ってきて拭いてあげていた。

まぁそのままだと絨毯も濡れちゃうしね。

「さて、本題にろう。白雪、見せてくれるか?」

促されてボックスから結晶を取り出して機の上に置く。

「ほう、これは…… これほどの純度と大きさのは初めて見るな。どこでこれを手にれたんだ?」

どこでと言われると中庭なんだけど。

「中庭です。 魔力作の練習をしていて、ドバーッと出してギュッとしたらそうなりました」

「は?」

そのまま中継したコレットさんの言葉に一音で疑問を表すアリア様。

「もうちょっとまともな言い方は無ぇのかよ?」

ジョージさんに呆れられた。

「まぁ大そんなじだったけどよ。魔力を空中に浮かべてから圧して作ってましたわ」

「あれ、見てたんですか?」

「そりゃお前、王族が居る建であんな派手な魔力の使い方すりゃ見に行くだろうよ」

うん、申し訳ない。

「これを白雪が作ったと。ふむ」

アリア様が何やら考え込む。

やっぱり何か問題があるのかな?

「自分で作っておいて何なんですが、これは何かに使えるなんでしょうか?

名前しか解らなかったのでライサさんに聞こうと思ったらこの騒ぎになりまして」

聞けなかったから改めて質問しておこう。

「主な用途としては魔道の燃料にするか、裝飾品に加工することが多いな。

売りに出したとしても、これ程のであればかなりの金額で売れるだろう」

ほー。魔力の塊で作る裝飾品って特殊効果とか付きそうだね。

細工でも覚えて頑張ってお姉ちゃんたちに何か作ってみようかな?

「しかし、白雪に一つ頼みがある」

はい?

「これを生産して販売するのは止めておいてくれ」

え? 今の所そのつもりは別に無かったけどなんでかな?

「質が高すぎて、出回ると他の開拓者達が狩ってくる魔石の価値が一気に落ちてしまうのだよ。

もちろん価値も需要も無くなる訳ではないが、簡単な魔道であればそれ一つあれば當分使い放題になる。

その為売れ行きが悪くなってしまう訳だ」

お金が回りづらくなっちゃうのかー。

手にれた人は喜ぶかもしれないけど、その他の人に迷がかかるのは良くないなぁ。

「それと、加工して誰かに贈るのもやめておいた方が良い」

えっ? それも質のせい?

「あまりに良いを持っていると、良からぬ輩に狙われる危険があるからな。

それに出所を知られると、それを作り続ける事を強要されるかもしれない。

そこまで行かなくとも、相當騒がしい事になるだろうな」

お姉ちゃんたちを無駄に危険にさらしちゃうかもしれないのかぁ。

作れとか言われて囲まれたりするのも勘弁だ。

「まぁ嬢ちゃんに限らず、直接【妖】を捕まえて何かを強要するってのは難しいとは思いますがね」

「何故だ?」

「まず知っての通り、脆すぎて生かして捕獲すること自が非常に難しいですな。

まぁそれを何とかしたとしましょう。

しかし何かを作らせるにはスキルを使える狀態にしてやらんといけませんが、そうすると【自】で道連れにされるでしょうな」

「自するとは見た目と違って騒な生きだな。だが、封印するなりるなりしてしまえばいいのではないか?」

怖い事言わないで下さいよ。

いや自する生きの方が怖いか。

「【妖】は現代の人類とは比べにならん程の抵抗力(MND)があるらしいんで、狀態異常をかける事は恐らく出來んでしょう」

うん、確かにINTとMNDはとんでもなかったな。

私は更に【MND強化】も取ってるし。レベル上がってないけど。

「が、まぁ人質を取るなり言う事を聞かせる手段ならありますわな」

「うむ。狙われないのが一番だな」

上げておいて落とすのはやめてよ!

しかし、売る事も上げることも出來ないか。 どうしよっかな?

自分で裝備するにしてもこれは大きすぎる。

「さて、これの使い道なんだが」

はい。今考えてました。

「白雪さえ良ければ、これから作る家の力にどうだろう?」

家の力?

「部屋の照明などを魔法陣で作ろうと思っていてな。設置した魔石を換することで魔力の補充を検討していたんだが、この結晶があれば普通に日常で使う程度なら一年は持つだろう」

おぉ、熱費無料。

しかしなんだな。

「そりゃまたえらい高級品の無駄遣いですな」

ですよね。 まぁ使い道もないしそうしてもらおうかな。

「他に使う當てもないのでそれでお願いします」

「そうしてくれとの事です。 はい、確かにお預かりしました」

「うむ、解った。 張り切って良いを作るとしよう。

ところでし気になったのだが、この結晶を作るのにどれくらいのMPを使ったのだ?」

「多分四千くらいです。あと程々にして下さいね?」

「「「はぁっ!?」」」

私の聲が聞こえる三人の合唱が響いた。

ていうか何も喋らないからライサさんが居る事を忘れかけてた。

「どうした? 何と?」

「あー、四千くらいだそうで」

「なっ!? それは凄まじいな…… それでこの純度と大きさが共存できているのか」

大きさか。MPの量を減らせば小さいのが作れるかな?

サイズを小さくしてちょっとした裝飾を作るくらいなら多分大丈夫だろう。

      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください