《兄と妹とVRMMOゲームと》第十九話 その先の未來⑦
「……っ!」
轟音とともにそれは炸裂し、達は弾き飛ばされ、視界が回転する。
発的に膨れ上がる黒いと、それに破砕されて宙へと巻き上げられる跡の破片。
まるで、小型の臺風が跡最奧部を躙しつくしたかのような慘狀の正。
それはーーボスモンスターが放った破壊のが原因だった。
「みんな、大丈夫か?」
は何とか上半を起こすと、周囲を確認する。
「うん。だけど、倒せる見込みが立たないよ。もう、HPがへろへろ~」
花音の指摘どおり、達のHPは既に半分を切っていた。
だが、達のHPが半分を切っているのにも関わらず、ボスモンスターはまだ、ほとんど減っていない。
高位ギルドしか倒せていないボスモンスター。
達が相対するには、まだ時期早々だったかもしれない。
だけどーー。
「、奏良、妹よ。このまま戦い続けるか。それとも一か八か、逃げるか」
「お兄ちゃん、そんなの決まっているよ!」
問いにもならないような有のつぶやきに、花音は人懐っこそうな笑みを浮かべて言った。
「ここで逃げる選択を選ぶなんて、私達らしくないもん」
「そうだな」
予測できていた花音の答えに、は笑みの隙間から嘆の吐息をらす。
「俺達が勝つためには、この狀況を打破するしかないな」
「うん」
の決意の宣言に、花音は意図して笑みを浮かべてみせた。
有達のギルド『キャスケット』。
誰かと共にあるという意識は、押されていてもなお、決して自分達が負けることはないという不屈の確信をかきたてるものだとはじた。
盛り上がる達を背景に、奏良は素っ気なく答える。
「僕は、別に逃げる選択でも構わない。そもそも勝てない勝負なんてしたくないからな」
「もう、奏良くん! 梨ちゃんのために、勝てない勝負でも頑張ろうよ!」
「……花音。何故、そこで梨の名前を出すんだ?」
花音のどこか確かめるような言いに、奏良は不快そうに顔を歪めた。
「何だ、奏良。勝てない勝負なら、諦めるのか? 確かに『アルティメット・ハーヴェスト』の鶫原徹は、梨と仲が良さそうだとから聞いていたな」
「鶫原徹……」
有が神妙な面持ちで告げると、奏良は不意を突かれたように顔を直させる。
「梨に、あんな男は相応しくない」
「いや、の話だと、梨は徹のことが好きみたいだな」
「ーーなっ!」
有が意味深な表で虛言を吐くと、奏良の執に亀裂が走った。
「そんなこと言ってーー」
が思わず、反論しそうになるが、咄嗟に花音が人差し指を立てる。
ジェスチャーの意味は、『靜かに』。
そのとおり、黙ったを確認すると、花音は次いで小聲で囁いた。
「あのね、くん。心配しなくても、全てお兄ちゃんの噓だよ。奏良くん、梨ちゃんのためなら頑張るから、その気にさせているんだと思う」
「その気に……」
探りをれるような花音の言葉に、は窮地に立たされた気分で息を詰めた。
「ーーっ!」
ボスモンスターの攻撃を避けた有が、仕切り直すように告げる。
「奏良よ、そういうことだ。ボス討伐の主戦力は、おまえに任せる。もしかしたら、を通して、梨におまえの活躍が伝わるかもしれないからな」
「分かった。梨のために、僕はこの跡のボスを討伐しよう」
「ーーっ」
有に上手く丸め込まれている奏良を見て、剣を構えたは申し訳ない気持ちになったのだった。
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