《兄と妹とVRMMOゲームと》第ニ十一話 星焔の共鳴①
「喰らえ!」
奏良は距離を取って、続けざまに四発の銃弾を放った。
弾は寸分違わず、ボスモンスターの頭部に命中する。
HPを示すゲージは先程の攻撃よりも減ったものの、いまだに青のままだ。
弾に魔力が籠っていても、數発程度ではどうにもならなかった。
「奏良くんの奧の手でも、あまり効果がないなんて……」
花音は名殘惜しそうな表を浮かべると、ボスモンスターを見上げる。
「はあっ!」
高く跳躍したの剣が、ボスモンスターの顎に突き刺さった。
しかし、理攻撃が効かないため、ほんのわずかほどもHPは減らない。
「切りがないな」
奏良は威嚇するように、ボスモンスターに向けて、連続で発泡する。
風の弾がボスモンスターの顔面に衝突し、大きくよろめかせた。
『元素還元!』
有は、奏良へと注意を向けたボスモンスターの隙をついて、ボスモンスターの下半に向かって杖を振り下ろした。
杖の先端の寶玉が、蛍火のようなほの明るいを撒き散らしたが、消滅させるには至らない。
しかし、『元素還元』による生は、魔攻撃として判定されるため、ボスモンスターのHPがわずかに減る。
「奏良よ、頼む」
「言われるまでもない」
有の指示に、奏良は弾丸を素早くリロードし、銃を構えた。
発砲音と弾著の発音が派手に響くが、ただ攻撃を凌いでいるに過ぎない。
『元素還元!』
有は標的を変えて、炎の壁に向かって杖を振り下ろした。
杖の先端の寶玉が、蛍火のようなほの明るいを撒き散らし、炎の壁は崩れ落ちるように消滅する。
「お兄ちゃん、ありがとう! よーし、一気に行くよ!」
花音は跳躍し、ボスモンスターへと接近した。
『クロス・レガシィア!』
今まさに奏良に襲いかかろうとしていたボスモンスターに対して、花音が天賦のスキルで間隙を穿つ。
花音の鞭によって、宙釣りになったボスモンスターは凄まじい勢いで地面へと叩き付けられた。
さらに追い打ちとばかりに、花音は鞭を振るい、何度も打ち據える。
だが、理攻撃が効かないため、ほんのわずかほどもHPは減らない。
「お兄ちゃん達に手出しはさせないよ!」
花音はを翻しながら、鞭を振るい、ボスモンスターを翻弄する。
だが、それはほんのわずか、ボスモンスターのきを鈍らせただけできを止めるには至らない。
ゲームオーバーまでの時間を延ばしているだけだ。
「……どうすれば、どうすればいいんだ?」
『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
の言葉を遮るように、ボスモンスターは咆哮した。
銃弾の壁を超え、ボスモンスターの拳が達へと襲いかかる。
「うわっ!」
「いたっ!」
「くっーー」
「……っ」
ボスモンスターの振り回した拳に、達は一斉に巻き込まれる。
迎撃が間に合わなかった達は、それぞれの武で対応し、どうにか死ぬことはなかったが、拳の勢いだけは殺しようもない。
HPを半分以上減らされた達は大きく吹き飛ばされて、地面を転がった。
『ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
一瞬の間も置かず、ボスモンスターは追撃とばかりに、達めがけて破壊のを放った。
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