《兄と妹とVRMMOゲームと》第三十話 魔天樓を見上げて②

「……なるほど」

奏良は一拍置いて揺を抑えると、有が口にした言葉を改めて、脳で咀嚼した。

「ギルドの兼任は、運営の許可がいる。有のお母さんは、そのやり取りをしていたんだな」

「ああ。ギルドの兼任を承諾していると分かれば、梨も困らないだろうからな」

奏良の言及に、有は落ち著いた口調で答える。

「でも、お兄ちゃん。運営から申請許可が下りているのなら、『アルティメット・ハーヴェスト』の人達も、梨ちゃんのギルド兼任のことを知っているんじゃないのかな?」

「その通りだ、妹よ。だからこそ、『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドに赴く必要がある。運営側が梨のギルド兼任を認めたことで、梨のれ替わりに関しての追及がしやすくなったのだからな」

花音が聲高に疑問を口にすると、有は意味ありげに表を緩ませた。

梨のギルド兼任の要請とともに、俺と梨のれ替わりに関してのことを聞くんだな」

「まあ、そちらが本命だろうな」

紘達のギルドに赴く真意にれて、と奏良は納得したように頷いてみせる。

「鶫原徹が監視していたことから考えて、椎音紘が真相を語らない可能はあるが、それでも赴く価値はあるだろう」

「すごーい! さすが、ギルドマスターのお兄ちゃんだね!」

有の思慮深さに、花音は両手を広げて歓喜の聲を上げた。

「それに王都『アルティス』は、大勢のプレイヤーやNPC達が行き來する場所だ。新たなギルドメンバーは、そこで探した方がいいだろう」

「王都『アルティス』は、初めてログインしたプレイヤーが訪れる場所だからね。ギルドに所屬していないプレイヤーもいるかもしれない」

有の言葉をけて、有の母親はインターフェースを使って、王都、『アルティス』の報を検索する。

その瞬間、達の目の前には、王都『アルティス』のホログラフィーが表示された。

王都『アルティス』ーー。

そこは、『創世のアクリア』における五大都市の一つだ。

高位ギルド、『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドホームがあり、クエストを注できる『冒険者ギルド』もある。

ギルドに所屬していないソロプレイヤーは、王都『アルティス』などの五大都市にある冒険者ギルドから依頼をける必要があった。

多くのソロプレイヤーは利便を考えて、五大都市の宿屋を拠點としている。

それゆえ、ギルドの勧は、五大都市で行われることが多い。

王都、『アルティス』は初めてログインした際に配置される場所だ。

『創世のアクリア』の公式リニューアル後、新たに、このゲームを始めたプレイヤーを勧することができるかもしれない。

梨の件、それにギルドの新たなメンバー探し、やることがたくさんあるな」

くん、一緒に頑張ろうね」

が咄嗟にそう言ってため息を吐くと、花音は元気づけるようにを見上げる。

そこで、有の母親はし困ったように切り出した。

「有、花音、くん、奏良くん。そろそろ時間も遅いし、王都『アルティス』に赴くのは次の機會にした方がいいね」

「そうだな」

「急ぐ案件ではないから、別の日に改めるのが妥當だな」

有の母親がインターフェースで表示した時刻に、と奏良は視線を向ける。

新たな目的を前にして、達は決意を新たにするのだった。

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