《兄と妹とVRMMOゲームと》第三十六話 星空のプラネット①
「何者だったんだ?」
不可解な出來事を前にして、は警戒するように周囲を窺う。
「くん、大丈夫?」
「ああ。花音、ありがとうな」
が剣を鞘に戻すと、不安そうに駆け寄ってきた花音はそっとのを案じる。
は顔を片手で覆い、深いため息をつくと、狀況の苛烈さに參ってきた神経をい立たせるようにして口を開いた。
「……椎音紘」
「風、久しぶりだな。もっとも、梨としては、何度も會ってはいるが」
紘は先程、去っていたニコットのことなど眼中にないように、だけを見ていた。
和な表。
だが、瞳の奧には確かなりがある。
有は前に進み出ると、不穏な空気を吹き飛ばすように口火を切った。
「椎音紘よ。パレードから抜けて、ここに來たということは、俺達がここに來た理由も知っているようだな」
有の鋭い問いに、紘はようやく有達に視線を向ける。
「君は『キャスケット』のギルドマスター、西村有だったな」
「ああ」
有はそう答えたが、以前、不意討ちを喰らって死にかけたという意識が強いせいか、言葉に不信と戸いのを隠せなかった。
有と対峙する紘に向かって、花音は咄嗟に聲をかけた。
「ねえ……。梨ちゃん、大丈夫かな?」
「梨のことは、叔父と叔母に守ってくれるように頼んでいる」
紘のその反応を聞いて、花音の背筋に冷たいものが走る。
意味は分かるのに、意味をさない言葉。
花音は意を決したように、先程とは違う別の疑問を口にした。
「くんから聞いたけれど、公式リニューアル後は、梨ちゃんをログインさせていないの?」
「梨には、ログインすることをじている。梨の特殊スキルを狙うギルドへの考慮、そして、魂分配(ソウル・シェア)のスキルで、風とれ替わることが分かっていたからな」
長い沈黙を挾んだ後で、紘は淡々と答える。
先程と同じく、意味は分かるのに、意味をさない言葉。
不信を抱いたまま、花音は決まり悪そうに意識して表を険しくした。
「椎音紘よ。まるで、魂分配(ソウル・シェア)のスキルで、と梨がれ替わることが分かっていたような言い方だな」
押し黙ってしまった花音の代わりに、有は核心に迫る疑問を口にする。
と梨のれ替わりの現象については、続く紘の説明で徐々にを帯びてきた。
「既に織(し)っていた。私の特殊スキル、『強制同調(エーテリオン)』によってな」
「『強制同調(エーテリオン)』。梨をいつも守ってくれていた力……」
のつぶやきに、紘は表の端々に自信に満ちた笑みをほとばしらせる。
それが答えだった。
奏良はそれでも納得できない様子で、疑問を投げかけた。
「が特殊スキルを使えば、梨とれ替わることが分かっていた。それなら何故、鶫原徹にを監視させていたんだ?」
「特殊スキルのプロセスを確認する必要があった。魂分配(ソウル・シェア)のスキルは、私の特殊スキルを用いても未知の力だったからな」
「ーーっ」
驚きをじ得ない紘の発言に、達は二の句を告げなくなってしまってしまう。
しかし、この質問で、有の方も疑問がようやく氷解していた。
魂分配(ソウル・シェア)のスキルは、自の魂を他に分け與えるスキルだ。
と梨のれ替わり。
現実では一日置きに起きる現象だったが、仮想世界では、の特殊スキルを使うことによって発生してしまうのだろう。
もっとも、の話では、特殊スキルを使えば、必ずれ替わるというわけではないようだ。
有が不思議そうに首を傾げていると、紘は思いもよらない言葉を紡いだ。
「風。『アルティメット・ハーヴェスト』にらないか? 私のギルドなら、君を監視する必要もない」
「なっ……!」
予想もしていなかった衝撃的な言葉に、達は絶句する。
彼が発したその言葉は、有達にとって到底けれがたきものであった。
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