《兄と妹とVRMMOゲームと》第三十八話 星空のプラネット③

「すごい人だな」

『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドホームへと向かった達は、パレードが行われている通りを沿って歩いていた。

パレードを警護する『アルティメット・ハーヴェスト』のプレイヤー達の厳戒態勢が引かれている場所なら、の特殊スキルを狙う襲撃者達にすぐに対応できると判斷したからだ。

先頭を歩いていた花音は、興味津々な様子で王都にそびえる白亜の塔ーー『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドへと視線を向けた。

「お兄ちゃん、くん、奏良くん、お父さん、お母さん! 早く早くー!」

「ああ」

が駆け寄ると、花音は悪戯っぽく目を細める。

奏良、そして有の両親と今後のことで話し合っていた有が、インターフェースで表示した王都、『アルティス』のマップを見つめて言った。

「待て、妹よ。ここから先は『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドによる検問がある」

「えっー! ギルドに赴くだけなのに、検問があるの!」

一旦、マップを消した有は、數人のプレイヤー達が立ち塞がっている門に行こうとした花音を呼び止める。

「パレードに検問、高位ギルドはすごいな」

有の意外な発言に、慨深げに周囲を見渡しながらつぶやいた。

煉瓦造りの建が並び、ここから外れた中央の大通りを馬車が進んでいく。

の目の前には、警備が牽かれた厳格な門としき白亜の塔が見渡せる。

分証」

「ああ」

検問のプレイヤーの要求に、有は元に挾んでいるギルドマスターの証である銀のラペルピンを取り外して渡した。

ラペルピンがり、有達のギルド『キャスケット』の報が映し出されたインターフェースホログラフィーが表示される。

「名前は」

それは今、映し出されているホログラフィーに表示されているのだが、有は形式に従い、答える。

「『キャスケット』のギルドマスター、西村有だ」

「紘様から、話は聞いている。通っていいぞ」

検問のプレイヤーは有達を一瞥して、ラペルピンを返した。

検問のプレイヤー達の橫を通り抜け、達は目的の場所である『アルティメット・ハーヴェスト』のギルドまで歩いていった。

「『アルティメット・ハーヴェスト』のギルド、改めて見ると壯大だな」

梨ちゃんが所屬するギルドのホーム、すごーい!」

手をかざして見上げたの言葉に、花音は両手を広げて歓喜の聲を上げる。

達が紘に會うために訪れたのは、まさに壯麗な白亜の塔だった。

城と呼ぶに似つかわしい規模の塔であり、豪華絢爛のようなしさを備えている。

「あっ、!」

「徹!」

歩調を早めていた達は、背後からかけられた聲に振り返った。

達のもとに駆け寄ってきた徹は、不満そうに人差し指を突きつける。

「おまえら、どうしてここにいるんだよ? 何で、冒険者ギルドに行かなかったんだ」

「君に答える必要はない。僕はただ、梨が所屬しているギルドに赴いただけだ」

徹が非難の眼差しを向けると、奏良はきっぱりと異を唱えてみせた。

「おまえ、梨を追って、ここまで來るなよ!」

「なっ、君こそ、僕達の後をつけ回していたではないか!」

激しい剣幕で言い爭う徹と奏良の間を、有が割ってる。

「鶫原徹よ。俺は『キャスケット』のギルドマスター、西村有だ。椎音紘と、先程、わした話の続きをしたい」

厳しい視線を向ける奏良の代わりに前に出た、有が代表して徹に語りかける。

「……分かっているよ。ただ、紘は今、出かけているから、俺が代わりに答える」

有の申し出に、徹は首肯し、申し訳なさそうにそう告げた。

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