《兄と妹とVRMMOゲームと》第四十話 星空のプラネット⑤

「俺達、特殊スキルの使い手を狙う高位ギルドか」

くんと梨ちゃんは、絶対に私達が守るよ」

が咄嗟にそう言ってため息を吐くと、花音は元気づけるようにを見上げた。

「花音、ありがとうな」

「うん」

が誠意を伝えると、花音は朝ののような微笑みを浮かべた。

絶対に守るーー。

その言葉には何の拠もなく、何かの保証には決してなり得ないことを知りながら、花音が口にすると、まるでそれは既に約束された未來の出來事のようにじられた。

の中で、漲る力が全を駆け巡る。

慨にふけていると、奏良は思案するように城下町へと視線を巡らせた。

「有、これからどうするんだ?」

「宿屋に向かうつもりだ」

奏良の疑問をけて、有はインターフェースで表示した王都、『アルティス』のマップを見つめる。

「宿屋か。やはり、冒険者ギルドには赴かないんだな」

「ああ。多くのソロプレイヤーは利便を考えて、五大都市の宿屋を拠點としているからな。冒険者ギルドに赴かなくとも、宿屋なら、ギルドに所屬していないプレイヤーがいるだろう」

奏良の言及に、有は落ち著いた口調で答える。

「でも、お兄ちゃん。今はお晝だから、ソロプレイヤーの人達も、クエストに出向いているんじゃないのかな?」

「その通りだ、妹よ。だからこそ、宿屋に行く必要がある。新しいクエストの噂を聞けるかもしれない。そうすれば、次に挑むクエストの見通しが立つからな」

花音が聲高に疑問を口にすると、有は意味ありげに表を緩ませた。

「すごーい! さすが、ギルドマスターのお兄ちゃんだね!」

有の思慮深さに、花音は両手を広げて歓喜の聲を上げる。

居ても立ってもいられなくなったのか、花音はモンスターに攻撃する際の振り手振りを加えながら飛び跳ねた。

「お兄ちゃん、今度、挑むことになるクエストって、どんなじなのかな? どんな相手でも、私の天賦のスキルで倒してみせるよ!」

「花音。まだ、クエストの注すらしていない。そして、し場所をわきまえてくれ」

花音が自信満々で告げると、奏良は呆れたように視線を周囲に飛ばす。

「ねえ。あの子達、クエスト、けるのかな?」

「そうだな」

「クエストか……。さっき冒険者ギルドで聞いた話だが、特殊スキルの使い手がいる上位ギルドが、昨日のカリリア跡の限定クエストを達したみたいだぞ!」

花音が奏良の視線を追うと、中央の大通りを歩いていたプレイヤー達がこちらを見て話をしていた。

「その、お騒がせしてしまってごめんなさい」

周囲の反応に、花音は気まずい表を浮かべて謝罪する。

だが、幸い、花音の方に注目が集まっており、が噂されている『特殊スキルの使い手』だということは気づかれなかった。

、奏良、父さん、母さん、妹よ、宿屋に向かうぞ! これからのことは宿屋についてから話し合う」

「ああ、分かった」

「うん」

有の指示に、は花音の腕を引いて、宿屋へと向かった。

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