《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》聖杯探索

戦闘指揮所に集まった彼らは今後の方針を話し合っていた。

決定したことは、コウの機研究の続行。

そしてオケアノスを通じて手した技は、この世界にいる転移者の企業へ技移転することが決定した。

コウは構築技士Aランクの技者でも手できない、星間戦爭時代の兵関連の制限技手可能になっている。

ただし本人の仕様要求にかなり左右される。アストライアは開発ツリー形式でサポートといったが、これはかなり簡略化しているとのことだ。

コウは師匠がいっていた技の拡散による戦爭発を気にしていた。

「技移転の結果、人間同士の戦爭で滅んでもコウは気にするなよ!」

「気にするって!」

「コウが手しなくても、他の誰かが手する可能もあるにゃ」

「一度は滅んだ世界。気にしちゃだめ。放っておいてもストーンズに制圧されたらみんな生き地獄」

エメもフォローしてくれる。その滅びのせいで千年眠っていたの言葉は重みがあった。

「それよりもですね。コウが拡散した技でコウ自が殺されないか心配です」

「それは気にならないから」

「気にしてください!」

暢気なコウにアキが怒る。

移転はオケアノスを通じて可能だ。技の生産権限付與ともいえる。

初めて知ったがコウの構築技士は最高ランクであり、各企業の報も手できる。すでにオケアノスが各企業の報を手していた。

移転した技が悪用や売買される危険を危懼したが、すでにそれはされることが前提だったらしい。

使用許可を出した技の売買を最初から認め、その特許料を徴収することでむやみな拡散を防ぐというものだ。

また様々な條件を企業に提示することができる。

「新技で五番機を強化するだろ? でもワンオフ機じゃ意味が無い。そんな機どうやって修理や補給するんだ。元の部品を買って改修を毎回するのも不便だろ」

「とはいっても、ここの施設を利用するしかないんじゃない?」

「再設計したTSW-R1をメーカーに作ってもらえ。技そのものが報酬になるんだよ」

「そうか。後継機に移ったとしても手足はモジュール式で換裝も簡単。共用部品化されるだろうし」

コウの時代さえ、モデルチェンジしても同じ部品を生産し使うことが多かった。共用部品と言われている。

メッキのや多削って品番の末尾が変わることも多いが、図面的にも大きく変わることはない場合も多い。

「そうそう。作ってくれなきゃ他のメーカーに頼めばいいしな」

「兵站(ロジティクス)は重要にゃ。アストライアの施設があったとして、毎回カスタム品作るのは非効率すぎるにゃ」

「地球にいたころのんな會社を連想する。うう、頭が……」

流改革は各社必須だ。現場に関係ないかと思われがちだがとんでもない。納期厳守、機械トラブルが起きようものなら大騒ぎだ。

難加工品の仕事が集中すれば、殘業である。

ロジスティクスは彼にとっても接な関係がある概念だった。

「コウの時代の流管理って奴だろ? 部品を作るリードタイムがあって、製造して倉庫へ運んで次の製造現場へ、そして完、顧客へ。戦場の補給だって大きくは違わないさ。補給して、輸送して、整備する」

「戦略、戦、兵站の三要素は重要にゃ」

「戦場では修理しやすさ、調達のしやすさも重要です。ワンオフ機が能二倍でも修理に五倍時間かかるようでは兵としての評価は落ちます。構造が複雑なものほど修理は困難です」

「俺の仕事でも舊車の補修部品の作はあったな。生産年限って奴で補修用部品の在庫は常に一定數確保されていると聞いた」

たまに古い部品の加工依頼がきていたことを思い出した。補修部品用、サービスパーツなどと言われていた。

修理部品がすぐ打ち切りになるメーカーは忌避される。それと同じことだと理解したのだ

地球にいたころの仕事を思い出し頭を抱えるコウだったが、ヴォイやアキが優しく教えてくれる。

居住區域ごとにわかれた現在の人類は、とくに兵站に対する認識が弱く、転移者たちが意識改革を行っている最中だという。

軍事力を極力持たないような時代が続いていたせいもあるのだろうが、主戦力がアンダーグラウンドフォース、個別の傭兵部隊だ。それぞれ傭兵が発注するしかない。

現在は傭兵と企業間の盡力で立している勢なのだ。

「補給部材の調達のしやすさが大事ということだ」

「あくまでベースの話にゃ。カスタムは任せるにゃ」

五番機を製造依頼するなら、最初はやはりあの會社しかないだろうな、とコウは思った。

それに見合うだけの代を作らなければ、と思う。

「新機軸というわけではないんだけど、開発ツリーでしい燃料がでてきてね」

「ウィスがあるのにか」

「ああ。金屬水素っていうんだけど、これは作れるのかな。燃焼効率が跳ね上がるみたいだ」

「コウ。それは新機軸どころか技革命になる」

無言だったエメが口を挾む。

星間戦爭時代の主力質の一つ。ウィスと、金屬水素。この二つが重要だった」

「ということは兵案件で封印された技か」

「そう」

コウはため息をついた。使えない可能が高いからだ。

「金屬水素。コウの時代では高圧理學の聖杯の異名を持つ質。木星にあると仮定され、地球の核であるマントル以上の気圧、500萬気圧以上の環境下でようやく生できる」

聖杯は様々な比喩に使われているが、技の世界では到達困難な目標、などの意味合いが多い。

そのかわり、到達を為せば見返りもある。その意味でも聖杯という比喩は好まれた。

「無理じゃないかな、そんなの作るの」

「ウィスを用いたパワーユニットなら追加出來る。だけど、コストは覚悟する必要はある」

「ちょっと待って。生そのものをパワーユニットに追加できるのか」

「可能だ。本來はAカーバンクルに付隨する生ユニットで作るのがいいのだが」

水素系の燃料よりも遙かに燃焼効率が良いとのデータを得ていたコウの脳裏には、ジェニーの三次元行があった。

金屬水素を用いてバーニアスラスターの能を上げるならば、三次元戦闘はもとより機力をあげることにも使えると思ったのだ。

『金屬水素の要求を確認。現在コウは金屬水素を作ることはできません』

「現在、って?」

『封印された金屬水素生産の権限を持つ施設と接し、生権限を付與されることで開発することが可能です』

「とはいっても、そんな施設もうないんだろ?」

『ストーンズ支配下の要塞エリアの地下にいくつか殘っています』

「ソピアーが破壊しなかったのか」

『金屬水素自は汎用の燃料として使用されるのが本來の使い道です』

「接か。わかった」

「聖杯探索だな、コウ!」

「ヴォイ。それだと達困難な偉業って意味になるからやめるにゃ」

革命の一つになるなら、挑む必要はあるだろう。

『金屬水素生の権限を持つのはアシアです。封印されたアシアの一部をストーンズから解放するという、最高難度の任務となります』

「アシアか! なおさらやらない理由はない。やるよ。むしろ、金屬水素よりやらないといけない理由だ」

この星に來た時、一番最初に助けてくれた存在。師匠に巡り會わせてくれた

『了解しました。協力を要請する勢力や作戦プラン立案に移行します』

アストライアはすぐに作業に取りかかる。

「そのためにもTSW-R1はしっかり強化して挑戦しないといけないな」

ヴォイの言葉に頷く。まずは手元の戦力強化が必要。

そのために五番機を強化することが最短距離だと確信した。

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