《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》再會

アストライアにあったハンガーキャリアーでやってきたコウたちが指定の場所で待っていると複數のハンガーキャリアーや戦車、裝甲車が合流した。大隊と呼べる勢力にあたる。

メタルアイリスとアキの推薦で依頼したアンダーグラウンドフォースだった。

コウは安全を確認し外で待っている。隣にはにゃん汰とアキ、ヴォイも並んでいる。エメは車だ。

メタルアイリスと、別のアンダーグラウンドフォースの代表も近付いてくる。

メタルアイリスはジェニーとブルー。別の代表は犬型のファミリアだった。セントバーナードがモデルだ。

「ハーイ!」

ジェニーたちと先に合流する。ジェニーが笑顔で出迎えてくれる。片手を振りながら挨拶した。

「依頼諾ありがとうございます」

「相変わらず堅苦しいなあ。ねえ、ブルー」

「本當。連絡もたまにしか來ないし。リクエストしか書いてない」

ブルーは不満げのようだ。

「私のほうに來てないし?!」

コウは苦笑するのが一杯だ。ブルーのラジオはアストライアで信できるので聞いているのだ。

に連絡する容など考えも付かないのだ。地球にいたときでは考えられない。

そしてもう一方、セントバーナード型のファミリアが近付いてきたので挨拶する。

「はじめまして。モズヤ・コウです。今回の依頼をけていただきありがとうございます。リックさん」

「よろしく、コウ。『ストームハウンド』のリックだ。ああ、敬語は不要だよ」

ストームハウンド。アキが探しだし推薦した、ファミリアを中心とする傭兵部隊。大変気難しい隊長で、依頼主を選ぶという。

コウは片手を差し出した。

リックは若干戸ったが、手を差し出す。コウが握りしめる形になった。

「君は我々をヒトと認識しているんだな」

「この世界にきて間もないもので。ファミリアに助けられた。俺にとってはファミリアは喋るではなく、の形をしている人間のようなじかな」

「そうか。そのままでいてしいものだな」

「それは約束できる」

リックは重々しく頷いた。犬型だが、頼れる父親のような雰囲気の男だった。犬に家長のような――父じる者は転移者なら多いだろう。

隣にいるジェニーとブルーとも挨拶をわし、本題にった。

「今回は危険な任務。機甲隊による前線の押し上げが要と判斷しているんだ」

「ならばシルエット部隊に依頼するより、我々のほうが適任だろう。どうも、ネメシス戦域では人型萬能論が存在し、そこらの認識が甘くてね。メタルアイリスも戦車部隊を運用しているのは好ましい」

「シルエットは萬能なようで用貧乏。運用次第とはいえ、正面からの撃ち合いは戦車には敵わないからね。それこそ星間戦爭時代のアンティーク・シルエットなら萬能なのでしょうけど」

野外活が危険な星であるアシアでは歩兵はかなりない。シルエット基準で設計されているのも関係しているのだろう。

転移者がくるまでは戦車を運用していなかった人類は、シルエット萬能論に固執している者もなくない。

「でも意外だな。ストームハウンドは全員戦車だと思っていた。シルエットも裝甲車もあるんだ」

コウはストームハウンドの兵群をみて想を告げた。ファミリアはシルエットに乗ることはできない。

「オールタンクドクトリンなど二十世紀には否定されているよ。諸兵科部隊運用(コンバインドアームズ)はこの戦域でも変わらない」

「そこらへんは全然わからないんだ。々教えてくれると嬉しい」

「いいとも」

「補給の作業機械はシルエットなんだ?」

「さすがに補給はシルエット運用だと便利だから、人間を雇用させてもらっているな。部隊混の最適化も重要だぞ、コウ君。とくに我々のような獨立傭兵隊はね」

アキがいうには、ストームハウンドのリックは戦家ともいえるレベルで博識らしい。

學ぶことは多そうだった。師匠のように、ファミリアは人を教え導く役割を持つ者も多い。

「あら、私達には聞かないの?」

「シルエット戦闘について聞くさ。ようやくライフル裝備したんだけど、いまいちなんだ」

「いまいちって……」

ブルーが呆れている。

「私とブルーでみっちり鍛えてあげる」

リックは三人が會話している間に、アキに近付いた。

「君が連絡をくれたアキだね」

「はい、リック。どうでしょうか。我らのマスターは合格でしたか?」

「ふむ。予想以上だな。まさか握手を求められるとは。自然に手が出たじだから君のれ知恵でもなかろう」

「まさか。コウはそんな用ではありません」

「だろうね。わかるよ。ふふ。ペット扱い扱いは當然として慣れているが、人扱いとはよほど好きしかいないのだがな」

「機械扱いもね。セリアンスロープすら千數百年前は酷かったですよ」

「ほう。君はあの時代の。ならば惚れ込むのもわかろうと言うものだ。良い人を紹介してもらい禮を言う」

「こちらこそ、今回の依頼、謝します」

ストームハウンドは特殊な傭兵だった。気難しく依頼主を選ぶと言われている。

とくにストーンズ戦に特化している傭兵隊だ。

參加者は、仕えるあるじを殺されたものが多く、ストーンズに対して復讐心を持つ者が多い。ストーンズはファミリアを徹底破壊する面からいっても天敵だ。

リック自、傭兵部隊を創設してからかなりの時間が経過している。

彼もまた、マスターを殺され復讐に燃える一人なのだ。人間に寄り添う、という基本項目は生者とは限らない。そして、この戦いは人間を守ることにもつながるのだ。

アキからのファミリアにシンパシーを持つ人間という報をけ、リックは詳細が明瞭とは言い難い、危険度が高い仕事をけることにした。

本當であればなくとも自分たちを捨て駒にすまい、という判斷だ。

ファミリアから構される傭兵隊という特上、捨て駒扱いの運用前提の依頼もかなり多かったのだ。

必要があるなら率先して前線に、殿(しんがり)に、人間のために戦うが、あからさまな人間には従いたくはないのが本音だった。

「これだけの部隊だ。目立つだろう。出発しようか」

リックがコウたちに聲をかけた。三人は頷いてそれぞれの場所に戻っていった。

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

新章『X463要塞エリア反攻作戦』を開始します。

引き続き、応援よろしくお願いいたします。

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