《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》巨大ドリル

「ヴォイさんはモグラじゃ無くて熊ですよね?」

「熊だよ。しかしこいつに乗ってるときはアナグマってところか!」

フユキの言葉に、ヴォイが返す。

シールド坑道掘削裝甲車は地中をえぐりながら次々と進んで行く。

このシールドで固められた外壁も機能しているようだ。空気にれすぐに固まっていく。

トンネル自の長さは五百メートルもないだろう。とにかくシェルターをくぐり抜ければ良いのだ。

し離れたところでを屈めたシルエットたちが続いていく。

「工兵部隊にしいですね、これ。凄すぎます」

「作戦終わったら解するから」

「もったいない!」

フユキがしきりにしいと呟き続ける。

「大規模なトンネルならこれだけじゃ無理だと思うけど、シェルター分だけ通り抜けることができるならね」

「外壁は掘削裝甲車のウィスで強化もされているのね」

「溶剤にウィス伝搬剤を混ぜてある」

トンネルの壁も強固なようだ。生き埋めの心配をする必要はない。

「もうすぐ地表にいくぜ」

ヴォイから通信がる。

シールド坑道掘削裝甲車は方向を変え、上方に向かっていた。

「天井はAカーバンクルで強化されたコンクリート。下手な鋼鉄よりよほど厚い」

「でしょうね」

要塞エリアや防衛ドームにある建もAカーバンクルから生されるウィスを通せば、レールガンをけようがシルエットが飛び乗ろうがびくともしない。

「そこでこれだっ! カッターフェイス変形!」

カッターフェイスのカッタービットが前方で束ねられ、巨大ならせん狀のステップドリルビットとなった。筍狀のドリルだ。

「ドリィールッ!」

「だから甲高い巻き舌でぶな! 黙ってやれ!」

ヴォイが渾の絶を放ち、コウが苦悶する。

ドリルが高速回転し、要塞エリアの舗裝されたコンクリートを穿ち始める。

「巨大なドリルで孔をシルエットサイズに広げる、か」

バリーが心している。

「やっぱりドリルはいいよな!」

「ドリルいいですよねえ」

マイクとフユキが巨大ドリルに興している。

「やっぱりしいなぁ、これ。ねえ、ブルーさん。メタルアイリスで買い取れないかな?」

「役立つのは確かなようです」

的な手方法まで口にしだしたフユキ。ブルーも今はそれほど否定的ではない。

「地上だ!」

シールド坑道掘削裝甲車がついに地上に出る。コウたちも続けざま地上に出た。

外と同じく森林地帯だ。

目的地よりもかなり外れに位置する。目的地は工業區畫だ。人間は商業區畫。

現在地は要塞エリアのなかでも野外區畫に位置する。

空を見ると青空が広がっている。シェルターは非対稱アシンメトリックマテリアル応用材で出來ており、負の屈折率を持っている。シェルター外のをそのまま通すので、空が見えるのだ。

要塞エリアや防衛ドームでも晝夜があるのはそのためだ。

「まっすぐ目的地に向かわないの?」

「ああ。座標は前にも示した通り、この森の一角だ」

コウは察していた。

アストライアが示した座標。コウが実際に験した地下工廠へのり口のように學迷彩が施された場所に隠されているのだろう。

「コウ。施設のレーダーには知されている。ケーレスがそちらに向かう可能は高い」

エメから通信がる。

「わかった。みんな移するぞ」

「俺はいったん戻るぜ。やることがあるんでな」

「ん。わかった、ヴォイ。気をつけてな」

「おうよ!」

のそのそと自分が掘ったトンネルで戻っていく坑道掘削裝甲車。不思議とヴォイと同じくがある。

編隊を組んで、五機のシルエットは目的地に向かっていった。

コウたちの潛部隊は目標の座標に到著した。

五番機と後続のブルーの機の姿がかき消える。

「これは學迷彩で隠蔽されている隠し通路か」

「俺がトリガーか。しまったな……」

アシアの防衛機構なのだろう。

コウが通るタイミングで、地中に埋まっていた通路の扉が上がったのだ。

コウとブルーが通ったことを確認し、地中に埋まったのだろう。幸いなことに通信はつながったままだ。

「ちょうどいい。奴らもこの場所を知らないはずだ。迂回ルートのふりをして暴れてくる」

バリーが狀況を分析する。

もし敵勢力がこの通路を知っていたら、もっと警備は厳重なはずだ。

「気をつけてくれ」

「それはお前たちだ。この先、何があるかわからないぞ」

コウは通信越しに頷いて、先に進む。暗い通路を、五號機の暗視裝置を頼りに進んで行くことにした。

バリーたち三人は追撃に備え、有利になる場所を探すため移を開始した。

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