《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》ファルコ
「どっちでもいいぜ。かかってきな」
余裕があるのか、バルドは長剣を構えた。
ブルーが回避行を取りながら小口徑レールガンを両手で構え、戦闘を開始する。
ここは閉所。距離を取って戦うマークスマンのブルーと長剣裝備のバルドでは、地形の利はバルドにある。
ブルーたちは、前に進まなければいけないという制約もある。
中距離で牽制し、戦うブルー。
対するバルドは高速でき、彼の周囲を迂回しながらガスト式機関砲で攻撃する。
小口徑レールガンは確実にバルドのファルコを捉え命中するも裝甲に弾かれる。
高機型とはいえ、ラニウスの後継機。中裝甲高機というコンセプトは喪われてはいない。
対するSAS-F02スナイプは様々な兵裝を積み、距離に応じた戦をとることで優位に立つ撃機。
牽制のための肩に裝備したミサイルを発するも、バルドのガスト式機関砲に叩き落とされる。
スナイプは狙撃や支援撃戦に対応した機だ。このような狀況には弱い。
確実に腕、肩などシルエットの裝甲が薄い部分を狙ってくるバルドに対し、ブルーは武を持ち替えた。
中口徑カービン。銃を短くしたアサルトライフルだ。
距離を詰められると、次に來る攻撃は長剣による斬撃。
これを警戒したのだ。
ブルーは後ずさりしながら距離を保とうとするが、眼前にはすでにバルドがいた。
カービンを両手で構え回避行を取りながら撃を行うが、決定打は與えられない。
ファルコの大口徑ガスト式機関砲が火を噴く。砲が互に揺らめき、弾丸の雨が振りそそぐ。
ライフルと違い口徑が小さいといえど、被弾する數が違う。裝甲より積載重視のスナイプでは厳しい。
その撃こそフェイントそのもの。
目の前に、一気に距離を詰めたファルコがいた。
背面の飛行用ブースターを加速に使ったのだ。一気に勝負を決めるつもりなのだろう。
後退しようと思ったが、間に合わない。距離を詰められる。
「疾(はや)いっ!」
ブルーが思わず口にする。目の前に長剣を上段に振りかぶったファルコがいた。
鋭い斬撃がブルーを襲う。
果たして――
「させない」
コウが二人の戦いに割りこんでいた。
長剣をAK2でけ止める。
アキが作った渾の砲はしかし、その兇悪な衝撃に耐えきった。
彼がそのように作ったのだ。彼を守るように。作り手の願いに違わず、砲も歪まずその強烈な斬撃に耐え切った。
ファルコは油斷しない。コウが割りこんだとみるや、すかさず後方に退避する。
人型のシルエットの弱點の一つに後退がある。後ろ向きに歩くようにはできていない。
後退の巧みさで、シルエット乗りの技量がわかるとすら言われる。その意味でバルドは達人だった。
「ブルー。下がってろ。俺が相手だ」
五番機は左手で銃を構え直し、ファルコに狙いを付けた。
「お前さんが相手か。悪くはねえな、をかばうってのは。こっちも俺も子供相手にするには気が引けるんだ」
「へえ。そういうの、いいね。おっさん」
惜しいと思った。立場が違う場所で會えたなら、話し合えたかも知れない。
「敵対すりゃ容赦なく殺すがな」
バルドはにやりと笑った。
「當然だ」
コウも異論はない。敵対している相手に老若男は関係ないだろう。
しかし殺したいか、殺したくないかは人間としては重要だ。結果は同じだとしてもだ。相手は気が引ける程度の人間は持っているということだ。
「さあ、やろうぜ。ラニウス。お前を相手するためにこっちは大枚はたいてこいつを手にれたんだ。待っていたぜ」
コウには、目の前のシルエットと、鷹羽の間に何があったかは想像できない。
相手に執念に似た何かはじることができる。予想は付く。戦って、勝ちたいのだ。
「ファルコ。その鉤爪の鋭さから鎌の意味を持つ鳥の名を冠したシルエット。気をつけて」
シルエットの稱にはの名が付けられることが多い。特から連想される名が付けられる。
モズであるラニウスの後継がハヤブサ。確かに速そうだとコウは思った。
コウのラニウスは中距離、遠距離を抑えるために長程大口徑のバトルライフルを裝備している。
対するバルドは、中距離から近距離を確実に捉えるためにガスト式の機関砲。
両機に共通しているのは、數多くの兵裝搭載を最初から捨てていることだ。
「機力、運は向こうが上、か」
コウはバルドの機を冷靜に分析する。
イニシアティブは相手が取るだろう。相手もそう思っているはず。
ブルーのスナイプ相手にファルコは三次元飛行ユニットを用い、加速機として使っていた。三百キロ近くは出ている。人型兵としては破格の速さだ。
どう戦うか。
「立ち會い、か」
思わずコウが呟いた。
一対一での対決など、時代錯誤。
向こうからの提案など、信じられない思いだ。
「皆に悪いが――それでも戦いたい」
死んでしまったら、待っている人を、隣にいるブルーを悲しませてしまうだろう。
それでも戦いと思った。あえて決意を口にする。
悪くないな。
日本では決してじてはいけない歓喜を、コウは覚えつつあった。
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