《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》死なばもろとも

『由々しき事態です』

「私の因子がっているはずの五番機にアクセスできないなんてどういうこと?!」

「もうそんな狀態はオケアノスかプロメテウス以外、原因究明できないのでは」

ユースティティア艦は軽くパニックに陥っていた。

コウとヴォイがハルモニアで出撃した。――アストライアが割り出した目的地の座標はペグマタイト半島のI908要塞エリア。

「ハルモニアならすでに現地かな」

『しかし解せませんね。アンフィシアターのシルエット大會の參加券はアシアのエメ所有。IDもないコウが私達を経由せずに手するなど困難です。あてもなく飛び立つほど淺慮ではないと信じたいですが、あてがあったとすれば、別の問題がでてきます』

「そこだね。憶測だけど、I908要塞エリアから五番機へ直接送付された可能はあるかな」

『五番機のIDなど、トライレームでも中の。知る者は上層部のみかと』

「解析できる存在なんて完全星管理超AIかオケアノス、プロメテウス、そしてヘルメスぐらいじゃないかな……」

にゃん汰とアキも蒼白になる。そのレベルの超AIが関與しているということだ。

「しかし我々ユースティティアが場できないとなると、コウが何をやらかすかわからないにゃ」

「闇試合で命を落とすことになりかねないですね」

コウの格だ。一対一の対決ときいて、いてもたってもいられなくなったに違いない。

「ヴォイもお説教にゃ」

「コウの頼みだとすればヴォイだって斷れないですよ」

ヴォイも優しい格のクマだ。おそらく反対したのだろうが、コウの勢いに飲まれただろうことは容易に想像できる。

「それもそうだにゃあ……」

戦闘指揮所にマールから通信がる。格納庫から五番機関連のパーツをチェックしていたのだ。

「こちらマール。五番機の裝備を確認。Dライフルの弾倉及びA型擬裝用パーツが無くなっています。つまり現時點ではDライフル裝備のC強襲飛行型。現地でA1型に偽裝するものだと思われます」

「ヴォイがいればある程度の整備もできるか。うーん」

思わぬ助け船がった。フユキだ。

「まずは陸路変更。パイロクロア大陸を橫斷し、コウを追いかけましょう。そのためのニソスとユースティティアです」

「フユキ!」

場は渉しますよ。――このあとすぐ。アシアのエメ。念のため闘技會のチケットを私のIDに」

「わかったわ! お願いねフユキ」

「當然です。――しかしきが不穏ですね。コウ君をピンポイントで呼び出し、アシアが五番機に干渉できないとは」

フユキもまた心頭を抱えていた。

お目付役のつもりでいたが、コウにはまだまだ無鉄砲な部分がある。

『アシアのエメ。エメ提督宛にTAKABA社長から急連絡がっています』

「コウがヒョウエに相談するっていってたもんね。――いいよ。このまま対応するから」

二人の意識境界線は存在しない。アシアでもエメで〔自分〕だと認識するからだ。

「川影社長。お久しぶりです」

「エメ提督ですか。お久しぶりです。――うちの會長そっちへいってませんか?」

「え?」

「うちの會長が〔俺も闘技大會に參加するぜ!〕 と言い殘してラニウスC型で飛び出したのです」

「なんてこと! 誰も彼も、まったくもう! TAKABAからだとハルモニアを使ったのですか?」

「それが海路を使って単機で…… 途中でニソスのユースティティアに寄ったのではと思ったのですが違ったみたいですね」

スフェーン大陸とペグマタイト諸島の距離は相當離れている。通常のシルエットならばそれだけでも移は困難だ。

ツインリアクターに換裝されたラニウスC強襲飛行型ならまったく問題はないだろう。

「いくら金屬水素生爐があるからといって、無茶をするねヒョウエさん…… 海上だと捜索も難しいでしょう。ヒョウエさんのラニウス、マリンブルーですし」

「いやはや。そもそもですが、シルエットの闘技大會とは何なのでしょう」

「私達も昨日それを知り調査中だったのです。わかりました川影社長。ヒョウエさんの詳細が判明次第、連絡いたします」

「お願いします。こちらからも報告しますので」

戦闘指揮所は不気味な沈黙が降りた。

アストライアもビジョン化している。

「由々しき事態ではありますが。まずは本人たちの意識が問題です」

冷たい聲でアストライアがいった。

「そうね」

アシアのエメも思わず嘆息するほどの事態だった。

◆ ◆ ◆ ◆ ◆

「アシアのエメ。相談があるの」

ブルーが昏い顔で戦闘指揮所に室した。

「どうしたの? コウ以外のことで何かあったの?!」

「うん。えぇ…… まあ……」

言葉を濁すブルー。とても言いづらそうにしている。

「本當に大丈夫? ブルー。無理しなくていいよ。コウのことはなんとかするから」

「コウは関係ないというか、あるというか…… とりあえずコウを一発狙撃ちたくて撃ちたくて震えるの」

「落ち著いてね?!」

ブルーが軽く混狀態にあることは見て取れた。

「カナリーのIDにね。宛先人不明のメールがきていたの」

「カナリーに? ある意味五番機よりも厳戒態勢が敷かれているよね」

有名人のブルーのIDが割れようものなら全アシアからメールが殺到するだろう。

その意味でブルーやカナリーのIDはコウ以上に慎重な取り扱いがされている。

「そして容が……」

思わずブルーが両手で顔を押さえる。観られたくないようだ。

容が?」

容は、口にしたくない。映像で。アストライア、カナリーから転送したから表示してください」

「わかりました」

メールの容が一同に公開された。

――スカイブルーに輝く海、穏やかな気候の島、極上のリゾート地でグラビア撮影と巨大ホールでのコンサートをどうぞ! 我々I908要塞エリアはフェアリー・ブルーとユースティティア一同の場をお待ちしております! ※なおグラビア撮影とコンサート諾の場合のみ場を許可します。

メールの容に絶句するクルーたち。

とくに補足が目を引く。本文より大きく記載されているのだ。

「これは拒否権が発生しようがない事態にゃ。というか明らかに昨夜の放送を意識してるにゃ、補足が曖昧な態度を許さない、毅然な態度を示しているにゃ……」

「コウはこのための人質かもしれないですね」

「なんて條件なの。裏で糸を引いているのはディオニソスかパン?」

にゃん汰とアキが絶句し、アシアのエメが思わず呆然とする容であった。

超AIディオニソスとパンが言いがかりに近い風評被害をけているが、誰も気付かない。

「ユースティティアごとるチャンスだけど! なんで私のグラビアとコンサートが條件なの? 酷すぎない?! 私はスナイパーであって、蕓能人ではないのに」

「ブルーは星アシアのアイドルだから?」

「それはあなた、アシア自です」

顔を覆いながらいやいやをしていたブルーだったが、きが停止する。顔を上げてきっと虛空を見詰めた。

「私も覚悟を決めました。けて立ちましょう」

「その意気にゃ。フェアリー・ブルー!」

「そのかわりグラビアとコンサートは、アキとにゃん汰も一緒で! エメはコウが絶対ダメって言うから諦める!」

「私達を巻き込むのはやめるにゃー!」

「嫌ですよ?! 需要ないですから!」

目を反らしながら笑うブルー。

「死なばもろとも……」

「お願い。落ち著いてブルー! 敵はI908エリアの支配者ですよ!」

「ではあなたたち、コウがどうなってもいいと言うの? ここは一蓮托生でいきましょう?」

「ブルーまでとんでもないことを言い出したにゃ?!」

ユースティティア艦は混の極みに陥っていた。

「アストライア。進路はこのままI908要塞エリアで」

『承知いたしました。フユキ』

渉する必要がなくなったフユキと他人事のアストライアが、冷靜にことを運んでいるのであった。

いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!

予想通り、飛び出したコウ。お母さんにたっぷりと怒られるヤツですね!

そして戦慄のブルー! 意味が違いますけどね! むしろ戦慄しているのはにゃん汰とアキです。

次回よりコウ視點になります!

そして告知です!

【ネメシス戦域の強襲巨兵④ ~アシア大戦中篇・軌道エレベーター攻防戦】

皆様が応援していただいたおかげで、四巻発売日が1/28に決定しました! 改めまして皆様、関係者様に禮申し上げます。

アシア大戦まではせめて完走したいなあという思いです!

三巻の壁を越えることをできたのも、本當に皆様の応援のおかげです! ありがとうございます!

表紙は小山英二先生です! TSW-R1Cラニウス高機型の抜刀シーンです!

小山先生もメカデザインに參加されているデモンエクスマキナが1/28、ネメシス戦域の発売日と同日にPCのゲームストア『XSEED Games』で期間限定無料ダウンロードされます!

遂にメインヒロインであるアシアもあのん先生によってイラスト化です! 巻末にはデザイナーズノートとしてアシアのラフ畫も掲載しております!

もちろんアークザラッドシリーズやアークザラッドRを擔當されている【マグマスタジオ】様によるシェーライト大陸戦略図も用意。どの地點で何が出現したか、どの戦闘があったかなどわかりやすいようにしております!

四巻も書き下ろしエピソードも當然用意しております!

読者の皆様にご報告ということで、書籍版も良ければ手に取っていただけると幸いです!

グラビアはアキが戦闘力高そう? ヴォイの運命はいかに! 続きを楽しみという方は↓にあるブクマ、評価で応援よろしくお願いします。

大変勵みになります! 気軽に想等もお待ちしております!

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