《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》新たな脅威、その先に

テウタテスの登場に構築技士も揺を隠せなかった。

腕が四本あるシルエットなど、MCSが稼働するはずもない。

「テウタテスに関する資料を作しました」

アシアのエメは忙しいコウに変わり、プロメテウスの報をまとめていた。コウに確認を取り、開示判斷は任されている。

アストライアの戦闘指揮所から通信で會議に參加だった。

「リュビア遠征組――プロメテウス降臨時に居合わせた連中は知っていたということか」

重要な報が知らされず、不満げなケリー。

星エウロパのサイボーグパイロットにフェンネルOSを使わない人型兵。まさかこんなに早く私達の前に現れるとは思わなかったもの」

アシアのエメとしても揺は隠せない。まさかヘスティアが鹵獲していて、地下試合用の見世として運用しているなど思いも寄らなかった。

「ヘスティアが我々に見せたいもの。それはあのワーカーなどではなく、テウタテスとその次に登場する兵ですね」

ウンランが睨み付けるようにテウタテスに視線を注ぐ。現行のシルエットより巨大なサイズ。裝甲はそれなりに厚いだろうか。

危懼すべきはパイロットだ。飲み食い排泄もせず、脳まで機械化されを制できるサイボーグ兵士など理想のパイロットだろう。

「この資料を見るとバルバロイとの渉は早計だな。俺たちもこの星アシアで手一杯だ。過剰な報だと判斷したことは正しいぜ」

ケリーは唸る。エウロパが無人の星であるという事実。ヘルメス寄りのサイボーグとの渉も危険であろう。

「ヘルメスとは戦略的互恵関係にあるというべきでしょう。共闘段階には至っていないと」

クルトも分析している。いまだ星アシアでテウタテスが投された事例はない。

「それでもこのI908要塞エリアには持ち込まれていた。そしてヘスティアが奪い取ったということね。脳まで機械化している彼らにとってヘスティアの結界では為すもなかったはず」

「意識を機械に落とし込んだわけだろ。ストーンズとは似て非なる結論だが、フェンネルは応じない。ゆえに紛い(スプリアス)呼ばわりなんだな」

A級構築技士たちの思考は一つ。

仮想敵としての兵テウタテス。フェンネルOSを介在しないという兵は未知の分野だ。

「プロメテウスはスプリアス・シルエットと呼稱した。シルエットを參考にした兵であることには違いないだろうさ」

「そうですね。四本腕のシルエットとどう戦うか。兵衛たちの戦闘が期待されるところです」

「クルトさん。うずうずしていますね」

「できることなら私が戦いたかった……」

ウンランがクルトを見かねて聲をかける。

この三人のなかではクルトが実際にテウタテスと戦い、験してみたい気持ちが強いのだろう。

「気持ちはわかりますが堪えてください」

「わかっていますよ。まずは三人の試合を観察しないと。彼らに勝利してもらわねば、その先も見えないでしょう」

「そうですね。エウロパにテウタテスがどれぐらいあるのか。普及しているような兵なのか。それさえもわからないようでは……」

突如立ち上がったケリーが渋面を作り吐き捨てる。

「エウロパからあの連中が攻めてくる可能もあるってことだな。アシア」

アシアは首肯し、ケリーの意見を認める。口に出したくはないのだろう。

「ストーンズと協力関係にあれば、ないとはいえない。プロメテウスも推測はしていたの。【エウロパによる植民地支配】と」

ウンランとケリーがうんざりしたかのように顔を覆う。

それは地球の歴史を想起させるもの――

「地球の歴史に倣うなら、當然ありうるだろうさ! ギリシャは世界を起こし、ローマは世界を支配した。ヨーロッパ各國の起原。エウロパは歐州の語源だな!」

「彼らはしがった。ユーラシアのみならず、他大陸も」

ウンランがいう歴史にある通り。大航海時代より先、彼らは競うように他大陸に進出して勢力を拡大していった。

「そして技も先行しているなら、星アシアは魅力的でしょう。何せエウロパには人間がいないのだから。ヘスティアの警告とけ取っておきましょう。これは兵固有の能の話ではない。三人制。代理戦爭だ」

クルトも同様の思考に至ったようだ。

歐州。地球の西暦はユーラシア大陸西方、歐州が主流だったといってもいい。功罪はともに大きく、個人の解釈によって大きく異なってくる。平和だったとは言い難い。

「フットボールのようなものですね。しかし…… これはストーンズ戦力としても未知の領域。ヘスティアに謝しないといけない」

「確かにレポートに書けない極事項だな! キヌカワとネジが飛んだBAS社のパンジャンが知ってるだけってことか!」

「せめて名前で呼んであげて……」

アシアのエメが力無く擁護する。

「今回もただの見遊山では済みません。私もあらゆる限りのデータを取りましょう。兵解析はケリー。戦闘面の技に関してはクルトさんにお任せします」

「おう! 任せろ!」

「承知いたしました。四本腕。単に腕が四本あるだけなのか、効率的に作しているのか。見極めましょう」

『エイレネはヘスティアのサポートに回り不在のようです。私も參加致しましょう』

「アストライア! 助かるぜ!」

三人の構築技士たちは、未知の危機をじ取り迫した面持ちで詳細を詰めるため會議を開始した。

いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!

アシア大戦完結編の作業と新作の修正がんばっています! し短めです。ごめんなさい!

ちゃんと完結編出せるといいなあと思いつつ、落ち著いたら本編がんばります!

新作連載始めました!

機裝ミルスミエス~鋼と魔法のカレヴァラ戦役! 霊姫と征く反転攻勢!

メカのローファンです。魔法を使うとしてのメカ。より現代兵に寄った世界で、フィンランド神話と日本神話モチーフです。

なかなかび悩んでいるので、こちらも気が向いたら呼んでいただき、気にったら応援していただけると嬉しいです。

メカはやはり現代から続いている要素がしいとゲームメーカ様たちとのお話中にでて、それを踏まえて執筆しています。

ネメシス戦域も転移者たちは現代に近い時代の延長ですしね!

歐州の歴史は功罪ともに大きい? フランス革命、その後とか! 続きを楽しみという方は↓にあるブクマ、評価で応援よろしくお願いします。

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