《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》ファイティングマシン
2022/09/30にネメシス戦域の強襲巨兵⑥アシア大戦完結篇の発売が決まりました!
「聞いたことねえ兵種だな」
「俺もだ」
「同じく」
三人とも初耳の兵だった。
何より不安をじさせる不気味な形狀。畏怖はないが、どことなく異形なのだ。
「二腳よりはバランスはいいと思うが……」
「移砲臺の一種か。もしくは高度調整可能な戦車か?」
イマイチ外観から戦闘力が推測できないファイティングマシンのライプラス。
車に似たから巨大な単眼を持つ頭部らしきものが突き出る。首の長い亀のようにもダチョウのようにも見える、奇妙な形狀の広域レンズだった。
「數分もすれば能力もわかるだろ。油斷するなよ!」
バルドが二人に聲をかける。
戦闘よりも解析に夢中になってもらっては困るからだ。
「當たり前だ」
「わかっている」
「名前はあれだ。風神トライに雷神トライでいいだろ」
兵衛による投げやりなネーミングがその場で名付けられる。
兵衛とコウは気を引き締める。
謎兵の謎はますます深まるばかりだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ファイティングマシンを目の當たりにして、思わずアストライアが眼を瞑り額を抑えた。
その表は険しい。
『アシア。あれは……』
「わかっている」
アシアも諦めに似た表でファイティングマシンを眺めている。
にゃん汰やアキも見覚えがあるのだろうか。むずそうな顔になっていた。
『星間戦爭の戦闘兵(バトルマシン)。戦車であり戦闘機でもあった、本來は宇宙空間戦闘用。MCSに依存しない兵。――ですがあの三腳(トライポッド)は何なのです?』
「彼らは金屬水素も使用できない狀態だから、その代替かな。飛行するかわりに、簡素な腳で地上は対応したのだと思う。車じゃない理由なんてわからない」
『バトルマシンならば陸海空宇の領域で行可能でしたからね。星エウロパはいったいどんな慘狀になっているのでしょうか』
二人は推測を語り合う。非常識な形狀に頭を痛めていたのだ。
「【うなぎのゼリー寄せ(ジェリードイール)】を思い出すにゃ」
「猟犬を名乗らないでしいですね……」
にゃん汰もアキも思う所があるようだった。
「バトルマシンには及ばないからファイティングマシン、という名稱かな。確か地球における古典SFにそんな名前の兵があったはず」
『火星人が乗っていた兵ですね。英國技なら対抗できそうですが』
「それは関係ないと思うよ?!」
アストライアも英國技に謎の過大評価が生まれているようだ。
『本部の上下左右運は激しいでしょう。パイロットがバルバロイなら乗り酔いやGの心配も不要です』
「肝心の戦闘力はどうでしょうか?」
アキの疑問にアストライアが首を橫に振る。
『金屬水素や火薬が制限されている以上、原理が単純な電熱科學技のレールガンかレーザービームなどの學兵主でしょう。五番機や兵衛のラニウスには分が悪いはずです』
「星間戦爭だと猛威を振るったけど、上位のアンティーク・シルエットにぶった切られてたからね。アルゲースの電弧刀は當時の理剣を超えている」
『バトルマシンならば荷電粒子砲とレールガンが主でした。あのサイズに搭載可能なレーザーでは宇宙艦には無力ですからね。しかしレールガンはともかく荷電粒子砲は不可能なはず。となるとレールガンでしょうか』
「それならただの戦車でよくないかな」
『そうでしょうね。何かしら、エウロパの実にあった機能を搭載しているはず』
「それが猟犬――ライプラスの名を持つことにつながる何か、かな」
『猟犬と名乗るからには、それなりの機はありそうです。お手並み拝見といきましょう』
ファイティングマシンに、アストライアはあまり危懼していないようだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「バルド。さっきの打ち合わせ通りだ。いいな」
「おうよ!」
三人は簡単な方針を決め、あとは臨機応変だ。軍隊ではないのだから個人の技量任せな面はある。
試合開始の合図が會場に鳴り響き、戦闘がスタートする。
散開した三機。狙われた標的は――五番機。
「ロックオンアラート! 著弾まで1分も無いとは!」
ファイティングマシン風神トライから放たれた三メートルサイズの大型極超音速弾であった。一種の対艦ミサイルなのだろう。
「コウ!」
バルドも不安を覚える弾速だ。當然有線である。
コウは地面からわずかに浮き、加速した。著弾するまでにミサイルも急激に速度を増す。
「そうだろうなッ!」
當然コウだってそうする。五番機はさらなる加速して、紙一重で回避した。
ミサイルは急上昇し、背後から五番機を補足する。
「――ッ!」
當然導はあるだろう。片手抜きで一閃し、ミサイルのワイヤーを切除する五番機。
しかしミサイルは追尾を止めなかった。
「AIによる自己判斷導か!」
有線が途切れウィスが遮斷されても、ミサイルは追尾を続ける。
コウが一瞬唖然とする。星アシアではありえない兵だからだ。
「コウ!」
思わずバルドがんだ。
ありえない反転で、再び五番機に迫るミサイル。
加速する距離はなく、飛來時より速度はない。
「五番機!」
コウは呼びかける。
五番機は聲もなく、何かをしたようだ。
五番機の頭上すれすれをミサイルが通過する。
ミサイルは限界まで加速し、30秒も経過しないうちに風神トライの元に戻り――直撃した。
轟音とともに、ひっくり返るファイティングマシン。細長い三腳ではマッハ20の速度をもつ三メートル近い飛翔の直撃に耐えることは不可能だったのだ。
ウィスがある戦車なみの重裝甲とはいえ、無傷では済まない。
「導兵ならフェンネルでコントロール奪取が可能だ。星エウロパはそんな知識さえ喪失しているのか?」
ケリーが呆然と呟いた。
無人兵のコントロールはフェンネルが奪取する。それは星アシアでは徹底された常識であり、もはや無線の小型導兵が使われた事例が確認できないほど。
大型パンジャンドラムにフェンネル同様のものを仕込むぐらいしか対策は不可能であり、星アシアの常識だった。
『二千年の年月が、バルバロイにフェンネルさえも忘れさせたのでしょうか。所詮は対マーダー用途。星間戦爭時代のバトルマシンレプリカにすらなっていない。――愚かな』
冷ややかな視線で転がるライプラスを見據えるアストライア。
兵統括AIとして語る言葉さえもたなかった。
いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!
全開ちょこっと記載したようにファイティングマシンは古典SFである宇宙戦爭に登場した火星人がる戦闘兵からのオマージュです。
最初に映像化されたメカはアルバート・ノザキ氏という東京生まれの日系アメリカ人がデザインされたものです。分子崩壊させる線が撃てます! コワイ!
この兵はロンドンに火星人襲來。外伝的な位置付けでシャーロック・ホームズとワトソンが戦っている外伝で、邦訳もあるそうで一度読んでみたいですね。今でいう出版社によるクロスワールド的なものでしょうか。
スピルバーグ版では大阪で何か破壊したというセリフがあり、大阪人がどうやって撃破したのか気になるところ。
新刊告知です!
【ネメシス戦域の強襲巨兵⑥ アシア大戦完結篇】
遂に発売です!
小山英二先生考案による六巻ラストを飾る構図! 下の畫像よりご確認ください! 迫力です!
あのん先生によるラストエピソードのイラスト! 今回もデザイナーズノートあり!
そしてマグマスタジオ様による戦略図。あの場所が掲載されていた理由が、判明されます!
英國面増量しました?
9月30日発売です。編集部から連絡がありkindleUnlimitedは期間限定10月1日から! ここの方針はよくわかりません……ごめんなさい!
書籍版もよろしくお願いします!
ファイティングマシンにバリツは通じる?! 書籍版もアシア大戦完結……! 続きを楽しみという方は↓にあるブクマ、評価で応援よろしくお願いします。
大変勵みになります! 気軽に想等もお待ちしております!
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