《ネメシス戦域の強襲巨兵【書籍六巻本日発売!】》聖域の寶
「星アシアの技がバルバロイたちに使われる? そんな馬鹿な!」
ケリーが不満気だ。コウがアシアを解放して、アシア大戦を経てようやく為し得たもの。
戦ってもいないバルバロイが手にしていいものではないという思いだ。
『かつて東方遠征と呼ばれた時代。技水準が遅れていたマケドニアがいかに発展したか。――後発であることを最大限に利用して古代ギリシャの最新技を労することなく手にれたからです』
「星エウロパがもっとも栄えていた星でしょうに」
クルトも不満を隠さない。歐州の歴史には往々にしてあることではあるが、そんなことまで歴史に倣わなくてもいいのだ。
『異種技の混合は困難でしょう。彼らは幹であるMCSを利用することは不可能です。土臺が違いすぎるのですから』
「MCSを利用した作系は大丈夫だろう。アストライア、君が危懼している事態は、金屬水素などの基礎技だろう?」
ウンランがアストライアの懸念事項をずばりと的中させる。
『兵の燃料効率が上がるだけでも、バルバロイには利點となるでしょう。しかし彼らは一から設計しなければいけない。私達は構築です。そこに大きな違いがあるのです』
「俺たちはAIによって目的に沿った部品が提示される。バルバロイはそうではないということか」
『星エウロパでは技封印は解放されていませんから。超AIが眠ったままなのです。起きてもいない超AIが技を解放するはずもありませんから』
「そこでヘルメスがでてくるのか」
『このI908要塞エリアでは徹底した外部との報遮斷が施されています。この點ではヘスティアの真意は明らかです。バルバロイと星エウロパとの信を遮斷するためでしょう。決勝戦も戦闘データも私達だけに渡すために用意されたものなのでしょうね』
「そういう意味ではヘスティアは味方ということか」
『間違いなく。しかし直接信は防げても間接的な抜けはいくらでもあります。人的流です』
「つまり、だ」
嫌悪を隠さずに、ケリーが結論を述べる。
「半神半人の協力があれば星アシアの施設を利用すれば、星アシアの施設が使える。つまりあいつらが同盟を組んで大挙してバルバロイが押し寄せる可能があるってことだ!」
『その通りです』
アストライアは大きく頷き、ケリーの結論を肯定するのだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
アストライア艦に衝撃がる。エイレネも同様だ。A級構築技士たちが地面に膝をつく。
『アストライア。アシア! 落ち著いて聞いて。I908要塞エリアではなく、このブリタニオンが直接攻撃をけているわ。アストライアとエイレネを急出します』
「落ち著いてなんかいられないわ! どういうことなの?」
『外にいるあなたが確認しているはず。一刻も早く離れて!』
「待って! コウたちはどうなるの!」
『魂に賭けて守ってみせるわ』
ヘスティアはビジョンすら現さない。それほどの急事態なのだろう。
ブリタニオンの海中區畫に接続されている格納庫からアストライアとエイレネが出される。
『エイレネ。あなたは大丈夫ですか?』
『私は大丈夫。ブリタニオンが宇宙へ引き上げられている』
「ブリタニオンを持ち上げるほどのトラクタービーム?」
「外にいる私が確認しているはずだわ。一刻も早くI908から出を!」
よほどの衝撃をけないと、アストライア艦が揺らぐことはない。
エイレネに搭乗している構築技士たちも含めて思わず地面に手をつくほどの勢いで出されたのだ。
『姉さん! 先行してシルエットベースに戻るよ! 構築技士の安全確保を第一に! ウーティスの安否は任せたから!』
『賢明な判斷です。私達は距離を置いてでも狀況を確認します。コウを置き去りにするわけにはいきません』
『アシア。私では誰から攻撃をけているかわからない。あなたならわかるはず!』
「I908要塞エリアのシェルター外だと私と繋がるね、星アシア圏なら何が起きているか、外にいる私が把握しているはず。ヘスティア。回線はアストライアと繋げておいて」
『あなたに預けたいものがあるから、あとでけ取って。アストライアがI908要塞エリアから出した時點で渡すから。アシアのエメではダメなんだ』
「預けたいもの? わかった!」
『ありがとうアシア。どうかみんなを無事に送り屆けて』
「あなたこそこんなところで死んではダメよヘスティア。――最大戦速でもって要塞エリアから離します」
『膨大なデータを確認。これは私では信できる容量ではありません。まずはシルエットベースへ転送します』
アストライアの表も険しい。
「みてください! 闘技場を!」
放送が流れたままの地下闘技場に一同が視線を向ける。
三機は地面に片膝をつき、そしてそのままうつ伏せに崩れ落ちた。
『宇宙居留地船【ブリタニオン】の影響――クーゲルブリッツエンジンが最大限に稼働しています。おそらくトラクタービームに対抗するためでしょう』
「何が起きている。――星アシアで何をしているのか」
アシアの怒りをエメが抑えることができなくなっていた。口調さえいつもと違う。
今はほぼアシアとなっている。エメは神をアシアに預けた。今は彼の力が必要だ。
『出まで20分程度時間を稼ぎました。稼いだ時間を無駄にしないでください』
今までに無く、切迫したヘスティアだった。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「何が起きているんだヘスティア!」
互いに正はばれている。
ヘルメスは既にボガティーリの後部座席に乗り込んでいる。
ボガティーリの畫面にヘスティアが姿を見せた。
『私が聞きたいヘルメス。貴様は二度も私の【ブリタニオン】を躙するか?』
靜かな怒気さえじるヘスティア。
「知らない! 今回の出來事に関してはまったくの無関係だ!」
『黙れ。星エウロパからお前は何を持ち込んだのだ? それが原因であろう?』
ヘスティアが一喝する。ブレザーコスプレを好み伊達眼鏡を用しているお気楽な超AIではない。
まさに神ヘスティアが顕現したかのような威厳さえじられる。
「寶のことか? 確認中に君がI908要塞エリアを奪ったんだ! 奪った君が確かめたらいい! 今回の件は本當にわからないんだ!」
『星エウロパの策謀。貴様はこの事態を意図的に行ったのではないか?』
「手にれたを死ぬようなことをするわけないだろう!」
必死な弁明を繰り返すヘルメス。この事態に関してはまったく関與していない。
それどころか自らようやく手にれただって失いかねない事態だ。それは三星に匹敵する価値の消失である。
『それもそうか』
ヘスティアはヘルメスを凝視し、ようやく頷いた。
『ヴァーシャ。ヘルメス。急いでI908要塞エリアから離しなさい。カタパルトからあなたの可変機を出します』
「謝するヘスティア」
超AIはやはり公平だと思うヴァーシャ。ヘルメスとの間に何があったかはあずかり知らぬところではあるが、恨は相當あるようだ。
それでもヘスティアは彼らを逃がすと決斷したのだ。
『意図的ではないのなら見逃します。あなたはそのを失った時、暴走するでしょうから。ブリタニオンはもって20分。――行けヴァーシャ。生き延びてヘルメスを抑えろ。失敗したら私自らが罰を與える』
「承知したヘスティア。我が友ヘルメスは守り抜いて見せる」
ヘスティアもまた彼が敬すべき超AIとわかって、奇妙な満足を覚えるヴァーシャであった。
ボガディーリは電磁カタパルトで出し、離陸した。
眼下からは徐々に浮かびあがるブリタニオンが見えた。
「ブリタニオンの重力発生裝置で宇宙からのトラクタービームに対抗しているのか。なんて荒業だ」
「誰がこんなことを」
「バルバロイだろうが…… 何をもって? こんな真似が可能なんだ。僕だって何も聞いてないぞ!」
悲鳴に似た金切り聲を上げるヘルメスに、心驚愕するヴァーシャ。
ヘルメスのあずかり知らぬところで起きた異常事態だと確信できた。
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決勝戦が終わるいや否や事態は急転直下。ヘルメスでさえ予期しない事態が発生します。
あまりの急事態に、ところどころヘスティアが素に戻っています。人格が変わったわけではありませんのでご安心を。
持ち込まれた寶の正や攻撃者は徐々に明らかにされますのでご期待ください!
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