《地球連邦軍様、異世界へようこそ 〜破天荒皇は殺そうとしてきた兄への復讐のため、來訪者である地球連邦軍と手を結び、さらに帝國を手にれるべく暗躍する! 〜》第11話―1 偵察、そして邂逅
次回更新であの娘達が久しぶりに登場します。
※20203/29 想でご指摘のあった大陸の居住箇所に関する記述ブレを修正。
目的地に到著すると、一木は細かい作業から解放され、より的な作業に従事することとなった。
的には、サーレハ司令を中心とした參謀長、兵站、艦務、務、首席の五參謀がゲート周辺の防衛、衛星に各種工場の建設、ゲートから衛星、第二星までの航路確保、衛星軌道上の確保などの空間業務を。
一木師団長を中心とした外務、文化、報、作戦の四參謀に衛生課長、治安維持課課長を加えた地上派遣部隊の構員が的な地上降下後の作戦を練っていた。
そして今日も、一木は薄暗い部屋で艦隊の幹部たちと顔を突き合わせて會議に參加していた。
會議を進行するのは、地上派遣部隊の副司令を一木が任命した報參謀の殺(シャー)大佐だ。
160cmほどと小柄ながら、筋質で引き締まった形に調整されたを持ち、長い髪を後頭部でまとめた姿はどこか格闘家めいた雰囲気をじさせる。しかし名前と見た目とは違い気さくで姉的なSSで、業務全般に不慣れな一木は、作業開始間もないうちから?頼りにしていた。
そんな彼が、會議室の前面に投影された地図を示しながら、今の議題である降下地點の決定を告げた。
「つーことで、部隊の降下地點は帝都西方の沿岸部にあるルニ子爵領に決定だ。ここなら帝都が近いから渉もしやすい。距離がちょうどいいから圧力もかけられる。それでいて外様領主の領地だからそこまで失禮に當たらないと來てる」
東西に長い楕円軽をした大陸の地図。その西側にある短い半島の付けにある帝都。そのさらに西側に二百キロほど移した先にある、海に面した小さな街を中心としたルニ子爵領。そこにポイント・ルニと表示が付いた。
すると、香辛料の匂いがする人影が機に突っ伏した。大雑把に短く切りそろえた金髪と、どこかあか抜けない印象の素樸な人。軍服の上からなぜか白いエプロンを著込んだ文化參謀のシャルル大佐だ。
「あー、やっぱり大陸東部に拠點を置く案はダメですか、そうですか」
シャルル大佐の言葉に、殺大佐はサメの様な歯をむき出しにして叱りつけた。
「シャールールー! いい加減にしろよ。お前はどうせ狩猟採集調理がしたいだけだろうが! そもそも大陸中央の山脈から東側は人間が住めるような場所じゃねーんだ! そんなところに拠點作ってどうするんだ! 」
殺大佐の言う通り、この海洋星の唯一の陸地である大陸、その東部には人間が全く居住していない。
これはこの星の海に理由がある。
この星の海には極めて狂暴かつ大型の生が多數生息しており、海岸線がほぼ崖になっている大陸西部以外の地域に人類が居住することはほぼ出來ないのだ。
海岸線がほぼ砂浜になっている大陸東部は、調査した第20獨立旅団”サンルン”のSS部隊に未帰還者を出すほどの脅威に満ちており、その脅威は海岸線以外の河川周辺や、海洋から陸地に適応した生により大陸東部全に及んでいた。
殺大佐の言葉を聞いたジーク大佐も、小さく挙手した後シャルル大佐に説明した。
「確かに帝國の目につかない東部に拠點を設けることによる利點は無くはないけど、正直デメリットの方が大きい。例えば東部にある一般的な河川……だいたい川幅が數キロあるのが普通なんだけど、ここには全長十メートル近い食爬蟲類や甲殻類が生息しているのが當たり前なんだ。”サンルン”のレポートだと、拳銃の5.5mmケースレス弾はほぼ通用しない。小銃の6.8mm樹脂薬莢弾で傷つける程度。強化機兵の火でやっと安定した戦闘が可能……こんな所に駐留するなんて正気じゃないね」
あげくの果てには、レポートにはさらに巨大な生や狂暴な陸上生。未知の好戦的知的生命の存在をほのめかす記述まであり、今回の任務が帝國との連邦加條約の締結である限り、わざわざ出向くような場所ではない。
しかし、他の參謀から『料理に正気を捧げた』と言われるシャルル大佐には関係なかったようだ。
「そんな大きい甲殻類が! ああ、第076艦隊のソンヨン大佐からもらったヤンニョムダレに生きたまま漬け込んでケジャンを作ってみたい……やっぱり東部に基地作りません? 」
一同ドン引きのその発言に會議室が沈黙に包まれる。
それを破ったのは不機嫌そうに火のついていないたばこを加えている外務參謀のミラー大佐だ。
正直、一木はこのミラー大佐が苦手だった。表面上は人のキャリアウーマン的な雰囲気のSSなのだが、どうも逐一採點されているようで落ち著かない。目のやりどころに困る大きなと、それを強調したシャツとミニスカートもだ。構造的に見ている先がばれ易い一木にとっては目に毒そのものだ。
「この料理キチは放っておいて、降下後の事を話しましょう。子爵領に降下して、渉使節として滯在を求める。その後渉に臨む……のはいいけど、だらだら下っ端の僚とやり取りしてたら時間かかるわよ? いつもみたいに護衛艦降下させて帝都上空を威圧して砲艦外はしないって言うし」
そういって橫目で一木を見るミラー大佐。
一木は一瞬たゆん、と揺れたに視線を奪われそうになるが、ぐっと我慢して答えた。
「ええ。今回は可能な限り相手の反発を抑えるような形で連邦加條約の締結を目指したいと思います」
「なんで。言ったわよね? 護衛戦隊の空飛ぶ軍艦、そこから降下する強襲猟兵の巨大な姿……。これを見せれば大概の異世界は渉を求めてくるわ。いちいち帝都からの距離なんか気にすることはない。スピーディーな條約締結をしない理由は? 」
「確かにそれで向こうの非戦派は渉に応じるでしょうが、強派は不満に思います。強派が主流ならば戦爭ですし、そうでなければクーデターの可能すらある。よしんば強派を武力で押さえつけても、今度は大陸の諸侯や屬國が反発します。戦爭には勝てても、統治するには一個師団ではとても足りません。可能な限り向こうの正規の流れで渉していきます」
「へー。それで結局連邦にたてつく非民主的な強派を見逃すの? 」
「いえ。渉する中で、向こうから非合法に手を出すよう工作した上で殲滅します。が流れないとの気の多いやつが絶対に暴発しますからね。異世界相手は適度に瀉すべし」
そこまで言って、一木はミラー大佐から視線を外した。限界だったのだ。
「って、最後のは學校のけ売りですが……基本方針はこの流れでいきます」
そこまで聞くと、ミラー大佐は火のついていないたばこを吸うしぐさをして、ふっと笑みを浮かべた。
「この師団長使いになりそうね。前いたやつ、ジークにこの王都軌道砲撃して降伏させましょう、っていきなり言って私ブチ切れたのよね」
その言葉に他の參謀達や課長が嫌そうな顔をした。
どうやら、一木の思っている以上にこの組織は人材難の様だ。
「とは言っても、正攻法の渉だけですんなり地球連邦にりますって流れになるとは思えないのよね。私が丸め込んでも結局後でめるだけだし、報參謀。なんかいいじの奴いない? 」
ミラー大佐の言葉に、一木は疑問を持った。いいじ?
「なんですかいいじのやつって? 」
「要はこちらの考えがわかるような奴、渉の突破口になりそうなやつ。例えば改革派の王族とか、やたらと先進的な人権意識を持った政治家とか、逆に脅す材料たっぷりの皇帝の親類とか」
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