《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第11話 重力子エンジン②
「暖斗くんは時間つぶしてて良いのか?」
晝下がりのDMT整備デッキで、僕と七道さんの會話は続いていた。
「うん。もうDMT戦の訓練は終わったし、午後は様子見の靜養なんだよね。MK後癥があったから大事をとって。でも自室にいるのも落ち著かないから、ここに來ちゃってますよ。――――あ、朝の食堂であの後、子だけで何話したの?」
子會(議)では、戦艦の名前が「ラポルト」に決まってから、僕だけ紳士的に追い出された。まあ、男子がいると話しにくい事を話したんだろうけれど、七道さんには聞いてもいいような気がしたから。
「あのね。そういうのは察しろよ。そういうトコだぞ」
普通に怒られた。まあ、そうなるか。
「まあ、話せるネタで言うと、お風呂の順番かな。私ら整備班が一番文句言ったからな」
「風呂? なんで?」
「ほ~ら、典型的な絋國男子の反応キタ。暖斗くんは、自室3Fにあるだろ?」
「うん。そだね」
「3Fは男子1人しか居ないから、當然風呂もトイレも自由に使える」
「あ‥‥!」
そう、この戦艦(ラポルト)の居住區、4Fは艦長、士専用で誰もいない。3Fは男子フロア、という事で、僕1人が使ってる。子は全員2Fで、まるで修學旅行の部屋割りみたいなんだけど。そうか‥‥‥‥15人で、1つの風呂とトイレを使ってるのか。
「ま、男子と子が同じフロアじゃ々気を使う、ということで、運営が最初からこうしたんだけどな。まさか験乗艦が長引くとはみんな予想してなかった。お風呂は、3Fと同じ大きさだから3人くらい同時にれるけど」
「うん、ゆったりしてて良いよね。ホテルみたいで」
「良かね~んだよこれが。みんな思い思いの時間にるから、整備が終わった22時とかに私らが行くと、一番混んでる狀況なんだよ」
「あれ」
「私らも毎日遅い訳じゃないけど、戦闘あった時は22時とか23時とかになる。次の日も早い。そんな時にヒマな子達がのんびり湯舟につかってたら、頭こね~か?」
「はい。おっしゃる通りです」
そっか。やっぱ々問題が出てくんだね。
「だから、アノ・テリアにアプリ作って、お風呂は予約制にしてくれって、稟議書出したんだよ」
「じゃ、問題解決だ」
「いや、そこにあのアホ折越が、『ちなみ時間予約とか忘れそう。空いてる時にればいいんじゃな~い』とか言いやがって。アイツ商業科のクセに」
‥‥‥‥う~ん。彼なら確かに言いそうだ。って、あれ、「この艦に曲がったヤツはいない」んじゃなかったっけ? 七道さん。
「結局、終始靜かだった逢初が口を開いて、『わたしも醫務室に泊まり込む事があるので、時間予約制の方が』ってなってから流れが変わって、アプリ作る方向で話がまとまったよ。アプリは紅葉ヶ丘が片手で速攻作ってた。もうパッドに実裝されてるよ。時間が來たらアラーム鳴るヤツ」
あ、ホントだ。3Fも予約できる。あ、じゃあ。
「じゃあさ、2Fが混んだら3Fを使えばいいんじゃない? 僕は気にしないし、戦闘後は醫務室からけない事も多いから」
――――100%厚意のつもりだったんだけど。
「‥‥‥‥暖斗くん。何か企んでないか? お風呂でドッキリ! とか、畫の再生回數増やそうとしてないか?」
100%悪意でとられた。‥‥イヤだから畫サイトから一旦離れようよ。
七道さんが作業をしながら言う。
「なんかさあ、また話が逸れたぞ。重力子エンジンは革命的だって伝えたいんだがな」
そうだった。そういえばいつの間にか風呂の話になってた。
「教えて下さい。師匠」
僕が真面目なじを作ってそういうと、彼も振り向いて、うむ、と言った。
「ところで暖斗くん。この前の戦闘でMK使ったけれど、アレ、重力子回路の電圧上げるって、岸尾が言ってなかった?」
そういえば。
「‥‥回路の印加電圧を上げる、とか」
「うん、それで、回路の電圧を、何%上げたと思う?」
「それは‥‥‥‥」
僕は、MK解放してからの、艦に取り付いたBotを排除した戦闘を思い出す。
「50%くらいかな。かなり、DMTの運能上がってたし」
「それね、あの時は、5%だったんだよ」
5%! 驚いた。たったそれだけ!?
「ただ、その結果、追加で回路に流れこんだ電流量は、40%くらいだったから、暖斗くんので合ってるんだ。つまり何が言いたいかというと、こんな風にMKに関しては訳わからんって事だ」
驚く僕をよそに、七道さんは続けた。
「20年程前、絋國の研究チームが未知の素粒子『グラビトン』を発見した。スピン2、質量0、電荷0、壽命∞、予想されていた質だった。そこから10年かけて、その『グラビトン』を2%だけコントロールできる電子回路が開発された。回路に通電させただけで、任意の時空が幾何學的に収、指向重力場が発生する」
「子や電子と、このグラビトンが相互作用する宇宙の理(ことわり)を解き明かしたんだ。私はグラビトンの発見より、こっちの方が意義深いと思っている」
僕は、頭に思いついた疑問を、そのまま口にした。
「絋國の研究チームが発見したんなら、獨占できなかったの?」
「それな。グラビトンを研究してたのは絋國だけってワケじゃ無く、世界中でやってたんだ。絋國が一番乗りだったってだけの話だよ。絋國の功をヒントにして、他の國も開発した。技洩もあったかも知れないけど。で、こんな便利なモン、あっという間に世界中に広まった。今じゃ、絋國も重力子回路を輸出してる。まあ、最新最強能のヤツは軍事用だけどね。これを自國製造できるのは、先進工業國10ヵ國ぐらいだし」
「そうなんだ」
「で、重力子回路と発電機を組み合わせたのが、重力子ダイナモーター。それを兵に組み込んでテストをしていたら、特定のパイロットの時にだけエンジン能が上がる、という謎現象が起こった」
「それがMKなんだ」
「そう。あ、MKってのはここ最近の言い方な。特定の人間の脳波が、重力子回路の電気の流れに干渉する。そもそも、回路に大電力を流して大重力を得る算段だったのに、何故かどんなに電圧かけても電気が流れない! って、研究者は頭抱えてた時だ――」
「――さらなる謎。ある周波數、電子のふるまいが、重力子のふるまいに影響を與えてる。トランジスタ現象、なんて呼ばれたりもする。なぜ回路に電流が流れないのか? なぜMKによってならば流れるのか?」
と、七道さんは滔々と語った。僕は素直に驚いた。
逢初さんもそうだけど、この艦の面子は、どの子もすごい一蕓を持っている。
選ばれたのには理由がある。
「すごい知識だね。でも、MKってホントに謎の能力なんだね」
「まあ、謎っていえば、『重力』そのものだっていまだに謎だ。地球の重力が月をぶん回し、太の重力が地球をぶん回し、銀河系の重力が太系をぶん回し、その銀河系は、それ同士の重力が引きつけあって、遙か未來に衝突するらしい。とんでもない力だよ。重力ってのは」
一気にしゃべった七道さんは、楽しそうだった。僕も、こういう話は好きな方だ。
「でも、その重力子回路に影響を與えるMK能力者ってのも、本當に謎だよな」
「僕は全然自覚ないよ。昔から普通にできてた事だし。でもそんな事言われたら『オレのなるグラビトンエナジーが~』って、発癥しちゃうかもよ。あはは」
「リアルな中2だけにね。はっはっは」
2人で笑いあった。勉強と、ちょっとした気分転換になったひと時だった。
※んん? 暖斗くんと璃湖さん、いい雰囲気? と思ったそこのアナタ!!
――――たぶん気のせいです。
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