《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第18話 8対1②
遠目のBotにはビームを打ち込む。MKでインフレした太いビームは、2機のBotのシールドを瞬く間にはぎ取った。そのまま実裝甲にダメージを加えていく。
「削られたシールドの回復もイケてる。MKって便利だな」
麻妃が呑気に言うけど、ね。あの後癥が無ければね。
「あっ! 敵がなんか集まって來てるよ。陣形じゃね? あれ」
その聲でとっさにモニターを見ると、7機のBotが、2機、3機、2機、と規則的に並んで來ていた。
マズイ! と思ってビームを打ち込むが、2機で集まってる左側のBotは、その砲撃に耐えてみせた。
Botに著弾したビームが、機表面に張られたシールドに相殺されて、夜の森に花火みたいなを散らす。
「弾かれたぞ。暖斗くん」
「何で。さっきはダメージったじゃん」
「2機でつるんでシールドバリアを積層(レイヤリング)したんだよ。1機が防に徹して。暖斗くん! 右側の2機に突っ込もう!」
麻妃の指示通り、レーダーに見える右側に突撃(アサルト)する。DMTが蹴った大地が、発するように後方に飛んだ。
「あの2機はさっきダメージってる。陣形が完しちゃう前に!」
至近に踏み込んでサリッサを繰り出す。壁役のBotが々になった。が、なぜか後ろのもう1機が逃げ遅れてる。
「ほら、2機で連結(オクルーザル)してた。やっちゃえ暖斗くん」
2機目を難なく仕留めると、こちらも一旦距離を置いて仕切り直す。
3機で集まったBot、そのの1機が撃って來た。
「それ當たっちゃダメ」
「了解!」
飛來する弾にマージンを十分に取って回避。無理はしない。
麻妃の言う事が僕にも理解できてた。敵は3機でエンジンをつなげて高出力砲撃、殘りの2機がシールドで高出力防を擔當するつもりだ。僕のDMTがMKでパワーアップしてるから、5機のBotも役割分擔して、対応、対抗してるんだろう。
でもこのままでもいけない。今度は敵の火線をギリギリでかわしながら、壁役の2機に何とか近づいて槍を突き立てた。
シールドや砲撃にエネルギーを配分してるってことは、機―逃げには使ってないってこと、そしてビームの防に徹してるって事は、サリッサの理攻撃に対処できないって事だ。
2機のBotはすぐに撃破できた。
すかさず、砲撃役にも盾を構えて突っ込んだ。さすがに被弾する。
「うおおお!!」
サリッサの刃部の旭煌がひときわ明るくなった。
エンジン出力が、さらに上がった!?
僕のDMTが急激に間合いを詰め、次弾をチャージするBot達を、そのる槍先で蹴散らした。1機、2機、‥‥3機!
――――地面に落ちたBotに確実に止めをれて、戦闘は終了した。
「お疲れ様~♪ いや、なんか今迄イチ良い戦闘だったような」
麻妃の呑気な聲が聞こえてきた。僕は彼に聞いた。
「まあ、Bot8機も倒したからね。これで全部かな。さらに待ち伏せしてるとか?」
「渚さんも艦のAIも、もう居ないって言ってるよ。居るならとっくに參戦してるって」
「そっか」
戦艦(ラポルト)へ帰投しながら、麻妃と僕はそんな事を話している。
「でさ、麻妃。最後の3機やった時に、さらにパワーが上がった気がしたんだけど?」
「え、そっか? ウチは気付かなかったよ。まあ、後で解析データでるでしょ?」
「印加電圧は?」
「今回も5%アップのままだよ。2倍――10%アップとかも出來るけど、キミの後癥の方が心配だからねえ。いきなり10%とかは無理って言うか、止めといた方が無難だって」
「あ~。逢初さんが言ってたね。首から下がかなくなるのが初期癥狀なら、重癥化したら心肺機能とか消化系に影響出るかもだから、心に留めといてって」
「何それ依、怖い事言うじゃん」
「醫者って心配って言うか、悪い予想を基本にしてるよね」
「それはしゃ~ないかもね。『大丈夫です』って言って、大丈夫じゃ無かったら大変な事になる仕事だもんね‥‥‥‥」
「はあ~。‥‥また醫務室かあ」
「あのまま3機だけなら、MK無しで勝ち切りたかったんだけどな~。あ、ウチ、今度こそ赤ちゃんプレイしてる暖斗くん見に行くよ!」
「來なくていい! ‥‥し、赤ちゃんプレイしてね~し! どうせこの會話も全回線(チャット)なんでしょ? 変な事言うなって」
「あ~あ。自分のKRM(ケラモス)は自分で整備點検だからなあ。ウチ、『すぐやる派』だし。終える頃には暖斗くんミルク飲み終わってネムネムだもん。KRMも整備班がやってくれないかなあ。今回だけでも」
「ははは。七道さんがブチ切れるよ。‥‥‥‥で、‥‥‥‥來ないね」
「‥‥‥‥ああ、やはりというか、‥‥本當に來ないね」
僕と麻妃は、同時にはあ~、と息を吐いた。
「何? 何が來ないの?」
渚さんの聲だ。全回線から聞いてきてる。
「いや、あの」
麻妃が説明した。
「暖斗くんと、『戦闘終わって油斷してますトーク』してたら、奇襲フラグが立って敵が現れるかな。って」
渚さんは呆れてた。
「‥‥あなた達、打ち合わせ無しでそんな事してたの? いいからもう帰って來なさい」
と、普通に怒られた。
一方その頃、戦艦ラポルトの1F、CAD/CAMエリアでは、逢初依がウロウロしていた。
「また逢初か。戦闘配置中に」
見つけた七道が咎める。
「あ、七道さん。お願いしたは出來てますか? メールで送った」
依は屈託の無い笑顔で答えた。
「それはココじゃなくて3Dプリンターの所。もっと奧だよ。ったく、いい加減CADとプリンターの區別を憶えなよ。この前も一緒くたにしてただろ」
「ごめんなさい。わたし、機械モノは苦手で‥‥‥」
依は後ろ向きに謝りながら、3Dプリンターの方へ走っていった。
「まったく、あんな何に使うんだよ」
七道の問いに、依は手を振って答える。
「もちろん、今から醫務室で、で~す」
※「またこの娘 変な事するつもりか?」と思った そこのアナタ!!
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