《【最終章開始!】 ベイビーアサルト ~撃墜王の僕と、醫見習いの君と、空飛ぶ戦艦の醫務室。僕ら中學生16人が「救國の英雄 栄のラポルト16」と呼ばれるまで~》第29話 醫務室Ⅱ①
「あ、暖斗くんは、ちょっと外で待ってて。あ、廊下じゃ悪いか。食堂にする?」
醫務室の前で依(えい)にこう言われた。
僕は、DMTのエンジンを切ってから、MK後癥候群が出てけなくなった。いつもの通りベッドに乗せられて醫務室の前まで來ていた。
いつもと違うのは、僕を今まで運ぶ役目だった初島(はつしま)さん、來宮(きのみや)さん、桃山(ももやま)さんが、パイロットとして先に醫務室にった事だ。
「別にどこでもいいよ。っていうか、醫務室の隅で待つけど?」
僕の言葉に依の目が泳ぐ。
「え? あ、ちょっと。うん。食堂でいい?」
と、そこへ浜さんが現れた。
「逢初さん、これ」
依へ何かを手渡す。チラっと見えたのは、子の服みたいだった。そっか。たぶん検診けながら中で著替えるんだ。それじゃあ僕は中にれないか。浜さんが僕のベッドを食堂へ押す。
「あ、あと、私が暖斗くんと居ますので」
浜さんのその言葉を聞いて、今日僕を運んでくれた折越さん、仲谷さん、泉さんが退出していった。
「じゃ、浜さん。お願い致します」
「暖斗くぅん。バイバ~イ」
食堂は、誰も居なかった。廚房に戻った仲谷さんの、調理をしてる音だけが響いていた。もうすぐ夕食か。なんかいい匂いがしてきてる。
まあ、僕は今からミルクだけどね。
ふと食堂の天井を見つめる。浜さんは無言のままだ。こっちから話しかけてみようか。
「前に浜さんと話したのも、この食堂だったね。確か桃山さんとふたりで」
「あ、はい」
「‥‥ゴメン。僕はあまり話とか面白くないんで、浜さんと何話したらいいか、思いつかないや」
「はい」
やっぱり浜さんは無口な子らしい。桃山さんに促され、會話を振られてやっと話してたのを思い出す。
「で、でも‥‥」
「ん?」
あ、浜さんの方から話しかけてくれた。
「‥‥‥でも暖斗くんは、い、今のままでいいと思います」
今のまま、って、ああ、會話が面白くないキャラの件かな。
「そう? まあ、この前はBotに負けちゃったり、今のままじゃ良くない事もあるんだけどね」
「暖斗くんは、戦ってて怖くないんですか?」
「え?」
素樸に聞かれた。
「だ、だって、この艦に乗るまで、普通の中學生だったんですよ?」
「うん‥‥‥。そうだけど。みんなそれぞれ研修けたじゃん」
「けましたけど、放課後の3時間を充てて何日研修したって、部活みたいなもんです。本職のパイロットになれる訳がないじゃないですか。DMTの修理とかもそうです。いくら七道さん達がすごくても、無免許の素人です」
彼は、そこまでいって、暖斗くんがダメっていう意味じゃないです、と慌てて付け加えた。
「浜さんの言いたい事はわかるよ。素人中學生が『験乗艦』したら、この事態だもんね。ま、自分でもよくこんな事してるなあって思うなあ」
「へ、返事がまだです」
「え?」
「怖くないですか? の、返事がまだです」
あ、そうだった。無意識に話を逸らしてしまったじを、彼に突かれてドキリとした。
「あ~~、う~~んと。やっぱ初陣は張したなあ。正直出撃前は手が震えたよ。はは、カッコ悪いね。で、いざ乗ったら、前の日寢れなかったせいか、逆にウトウトしてさ、何か異世界転移する夢‥‥」
「當たり前です」
彼は與太話になりそうな僕の話をぶった切って強く言った。
「素人中學生がBotとはいえ実戦なんですから、震えて當たり前です」
「フォローありがと。はは。そうなんだよ。戦ってる最中も震えててさ。で、張して訳わかんなくなりそうだったよ。やっぱビームが當たるとさあ‥‥」
それから、戦場の怖さについて、僕は饒舌に語った。喋る事で怖がる自分をどこか正當化しようとしていた気がする。浜さんは無表で聞いていたけど、僕の話がひと段落ついた所で質問をしてきた。
「じゃあ、いつ止まったんでしょう? 手の震えは」
ハッとした。そういえば、いつの間にか、なんだけど、的には? いつ?
「2回目、3回目の出撃? そ、それ以降でしょうか」
僕の脳裏に、セーラー服に白をはおった影が浮かぶ。気がつかなかったけれど、僕の様子を、浜さんはじっと見ていた様だ。
「もういいよ~」
廊下から、依の聲がした。浜さんは、無言でベッドを醫務室へ押し出す。
「ああ、ども。浜さんて、無口なイメージあったけど、結構話すんだね」
「はい。私って基本しゃべらないんですけど、き、今日はしゃべる日でした」
と、言いながら、ベッドは醫務室へっていく。
「いや~。先にシャワー浴びたかったっス」
とは來宮さんの聲。初島さんは、
「ま、パイロットスーツぎたかったしね」
と言っていた。そこに、僕を見つけた桃山さんが話しかけてきた。
「私達3人は、當然、というか、MK後癥はありませんでした」
「センパイ。MKお化けが來たっス」
そこへ依が。
「來宮さんと初島さんは、男子にも怖じしないよね? 最初から。どうして?」
「あ~。私達はスポ中フェンシング部で、男合同の部活。だから普通に男子いるし、男子と練習で勝負もするし」
「普通っス。普通にガンガン行きますね」
ふたりが顔を見合わせてそう言うのを、桃山さんは眩しそうに見ていた。
「なんかうらやましいな~。青春ってじ。ウチだって弓道部は、ホントは男合同のはずなのにな~」
「あの、私、自分の仕事があるんで」
浜さんだった。依が答える。
「あ、ありがと。浜さん」
「うたこ。また後で」
「うん。じゃね。いちこ」
浜さんが退出した後、依が、僕に向かって解説してくれた。
「浜(はま)一(いち)華(か)さんだから『いちこ』。桃山(ももやま)詩(うため)さんだから『うたこ』、ね」
最初に話した食堂でも、そんな風に呼び合ってたなあ。
そうだ。浜さんと言えば。
僕は桃山さんに言う。
「今、浜さんと食堂で々話したよ」
彼は目を輝かせたて、僕のをペシペシ叩いた。
「そうですか! うたこと話してくれたんですか。やった! 暖斗くんいい人!」
そこへ、バックヤードに行っていた依が戻って來た。手には、いつものミルクと、あれ?
左手の小指を保冷剤で冷やしている。
「どしたの? 左手」
「あ、これ。わたしドジだから、向こうでちょっと火傷しちゃって」
「大丈夫?」
「ぜんぜん大丈夫よ。念のためやってるだけ」
僕と依がこんな會話をしてるのを、スポ中ペアが「ふ~ん」と視線をわしていた。
「あ、コレっスか。例のミルクってのは。暖斗くん。グイっといっちゃってください」
「え? みんなまだ居るの?」
「暖斗くんが飲んでるとこ見たいなあ♪」
初島さんが作り聲でそう言うと、桃山さんも続いた。
「飲んだ後の寢顔がカワイイというウワサも」
「ちょ、ちょっと待ってよ。やだよ。人に見られるのは」
僕は抵抗したが、スポ中ペアは容赦無かった。
「でも逢初さんにやってもらってるんでしょ? 毎回。逢初さんは他人じゃないと?」
「暖斗くんの授シーン見たいっス。レア映像」
「授って言うなあ!!」
僕が絶した所で、依と目が合った。
依は、困ったで白のポケットを指さしている。ああ、チラっと見えるよ。いつも僕が著けさせられているピンクの前かけ、でしょ。
それの存在がバレるのはもっと恥ずかしい。
何とかしなければ。え~~と。
やばい。何も思い浮かばない。
※暖斗くん地味にピンチ! でもまあだいたいこんなじ。
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