《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》19話 隣町遠征のこと 1
隣町遠征のこと 1
『そなたの中には夜叉がいる!この娘の中にもだ!』
ここ、音楽の盛り上がりとストーリーの盛り上がりがシンクロしてアツいんだよなあ・・・
俺も腕から蛇オーラ出ないかなあ。
野太刀グニュウってしたい。
今日のラインナップはこないだの豚さんと同じ會社が作った映畫だ。
外見も中面もイケメンのまさに完璧イケメンの主人公が、呪いを解く手段を探して鹿に乗って旅したり野生のとをはぐくんだりする冒険活劇。
これも豚さんと同じくらい見てるが全く飽きない。
あー今回も面白かった。
狼に乗れたら楽しいんだろうなあ。
次は天空のキャッスルを探すヤツか三代目大泥棒のヤツにするかなあ。
今日はアホ金髪ことリキくんたちを軽く刻んだ翌日だ。
昨日は帰ってからまず刀をしっかりと手れし、細部を確認した後簡単な食事をして泥のように眠った。
そして4時に起床し、大好きな映畫を見ながら英気を養っていた。
何のためにって?
今日は隣町に坂下のおばさんを探しに行くからだ。
このゾンビ騒始まって以來の大移だ。
ぞんぶんに気合をれておかないとな。
時刻は朝の8時。
準備をして軽トラに乗り込む。
裝備、ヨシ!
戸締り、ヨシ!
畑の水やり、ヨシ!
腳立隠し、ヨシ!
予備ガソリン、ヨシ!
木刀、ヨシ!
日本刀、ヨシ!
食料と水、ヨシ!
煙草、通常急予備の3箱、ヨシ!!!!!!!!!!!!!!
さあ出発だ!
ちなみに由紀子ちゃんには母親を探しに行くことを知らせていない。
もう死んでたり行方不明だった場合、悲しませることになるからなあ。
そういう場合はシュレディンガーの母親狀態のままにしておいた方がいい。
あっ、避難所が満杯だったの完全に忘れてた・・・
まあ避難民の親なら大丈夫か・・・?
宮田さんたちに土下座しつつカートンでも渡せばOKしてくんないかな・・・?
まあいいや、見つけてから考えよう。
土手沿いに東に向けて車を走らせる。
今から向かう隣町は川をさかのぼった所に位置する。
坂下のおばさんがいるであろう病院はそこの中心部にある。
普通なら50分で到著だがどうだろうな。
案の定というかなんというか、車道は放置車両が結構ある。
幸い道が完全にふさがるということはなく、蛇行しながらだいたい平均時速40キロ前後で走れている。
車、ゾンビ、直視したくない何かの破片をかわしつつそこそこ順調に進んでいる。
・・・ガソリンが盡きて來たらこういう車から抜くのもありだな。
現在はわが詩谷市を抜け、隣町である『秋月町』にったあたり。
景はのどかな田園風景だ。
車の數も減ってきて
うーん走りやすいなあ。
思ってたより早く到著できそうだ。
いやあ見事な緑だなあ。
あれはキャベツかな?
キ ャ ベ ツ ???
オイオイオイ完全にスルーするところだったオイ!!
土手から降りられる道を見つけ、畑に突撃する。
素晴らしい!若干育ちすぎだがキャベツはキャベツだ!!
見晴らしがいいのでゾンビの有無もすぐわかる!ゾンビ無し!!
さっそく手前のものを5つもらう。
ここの場所はカーナビにマークしておこう。
いつまでキャベツがあるかわからんが貴重なビタミンをゲットだ!
車まで戻り、出発する。
キャベツを1つ取り、何枚かはがして食う。
固いが食えないことはない。
バリバリと音を立てて噛む、噛む。
うまい!泣きそう!でも土の味がする!!川で洗えばよかった!!
しかし久しぶりの生鮮食品だ!
が喜んでいるじがする!
俺は元々キャベツが大好きなのでいくらでも食えそうだ。
今日の朝飯は移しながらキャベツとサラダ的なチキンとなった。
帰りにもうしもいで帰ろう。
世話する人間がいないと枯れちゃうから、今見つけられてよかったよかった。
どっかにトマト畑とかもないかな。
うちのミニトマトはまだまだ時間かかりそうだし。
「病院・・・あれだよな?」
キャベツを堪能しながら運転し、町の中心部に到著した。
結局1時間半ほどで到著できた。
だがここでアクシデントが発生した。
後もうしで病院、という所で完全に道が塞がっている。
病人が大勢出たのか、とりあえず病院なら安全だと思ったのか知らないが、2車線に渡って車がギッチギチに詰まっている。
遠くに病院らしき白い建が見える。
カーナビで確認したところ500メートル先に病院があるはずだ。
迂回路はないようだ。
仕方ない、歩くとしよう。
攜行缶のガソリンが直日で気化されても困るので、道端の民家の影に軽トラを停めた。
俺は刀を差し、木刀を握って歩きした。
車の影からフラフラ出てくるゾンビを、時にはやりすごし時には土に還し進んでいく。
目につくコンビニやスーパーは略奪の後が濃く殘っており、いいものはなさそうだ。
病院の全景が見えてくるにつれ、敷地には緑の特徴的な車両が多く停まっている。
正面ゲートらしきところに、長い筒にも見えるライフルを持った迷彩服の人影もいくつか見えてきた。
ここの避難所は自衛隊の管轄か。
基地が壊滅したらしいとは宮田さんに聞いていたが、こんなところに生き殘りがいたのか。
俺の存在を認識したのだろう、玄関にいる自衛隊員の一人がこちらへ銃を向け、問いかけてきた。
「そこで止まりなさい!この避難所は満員でれません!!」
うわーなんかデジャブだなこの展開。
「あのーすいませーん、ここに定住するつもりはありません!友人の母親がここにいるはずなんで、安否を確認したいだけです!」
木刀を地面に置き、両手を上げながら隊員に答える。
いつの間にか5人に銃を向けられていた。
こわい。
あわてて腹ばいに伏せたらそこまでしなくてもいいと申し訳なさそうに言われた。
恥ずかしい。
そうこうしているうちに無線で連絡をけたのだろう、病院の中から明らかに強そうで偉そうな隊員が出てきた。
うおお・・・宮田さんに勝るとも劣らない筋モリモリのマッチョマンだ。
だが宮田さんと違い目つきは鋭い。
宮田さんが熊ならこっちは狼ってとこかな。
長も同じくらいか?
「こんにちは。私はこの避難所を統括している、花田一等陸尉です。」
1等陸尉ってたしか一般的な軍隊では大尉になるんだっけ?
結構えらい人なのかな?
禮儀正しいし好印象だ。
目が一切笑ってないのが怖いけども。
「こんにちは、私は詩谷に住んでる田中野と申します。先ほど部下の方に言った通り、友人の母親を探しに來ました。」
花田さんは一瞬俺の左腰にある刀を見、目を細めた。
「それは・・・」
「自衛用の武です。ここで抜く気はさらさらありませんよ。」
俺の返事に満足そうに頷く花田さん。
俺がたとえ宮本武蔵でもこの狀況で抜くわけがない。
一瞬であきチーズめいた愉快な死にされてしまう。
「それで、ご友人のお母さまが何故ここにいると?」
「本人からこの病院の看護師をしていると聞いていたので。名前は『坂下真弓(さかした・まゆみ)』さんです。高校2年生の娘さんがいます。」
「なるほどわかりました、確認させます。そこのテントでお待ちください。神崎!田中野さんに詩谷の狀況についてお聞きしろ。」
「ハッ!!」
俺の返答に納得したのか、花田さんは病院へと戻っていく。
神崎と呼ばれた隊員さんは、先ほど真っ先に俺を見つけた人だ。
聲が高いなあと思っていたら隊員の方だったのか。
ザ・クールビューティーってじの人だ。
のこなしから、なにか武道をやっているじがする。
「こんにちは、私は神崎陸士長です。田中野さん、こちらへ。」
「あっはいご丁寧にどうも。」
神崎さんに導され、病院り口の脇にあるテントへ。
椅子をすすめられたので、リュックを下ろして座る。
飲みを用意させるのも忍びないので、リュックから水筒を出す。
食事をしてもいいかと聞くと、構わないと言われた。
なのでキャベツを出す。
本日の晝食はキャベツ半玉と水なり。
まさかキャベツが出てくるとは思わなかったのか、若干目を見開いた神崎さんがかわいい。
その後もチラチラ視線を向けてくる。食べたいのかな?
・・・いや、キャベツを生のままモリモリ食べる生命が珍しいからだなたぶん。
そこから市の狀況や避難所の現狀などを聞かれたので、合間にキャベツを齧りながらわかることを答えた。
「私からも質問なんですが、やはり自衛隊の詩谷基地は壊滅したんですか?」
「こちらでも詳しく把握できていませんが、今のところ連絡が全く取れないのでその可能は高いかと。」
「屋退避を呼び掛けているラジオ放送は自衛隊が流しているんですか?」
「いえ、あれは政府から一斉発信されているものです。」
他にもゾンビ化の原因についてなども聞いたが、
・潛伏期間が人によってまちまちなこと。
・噛まれたら遅かれ早かれ必ずゾンビになってしまうこと。
・今まで噛まれて助かった例はないこと。
・ここの避難所でも噛まれた人は隔離し、発癥すれば処理していること。
など、宮田さんが言っていたことと大差はなかった。
報が錯綜していないだけマシか。
あと、自衛隊も警察と一緒で、各部との連絡が取れないから現場の判斷でいているということだった。
・・・政府機構って大丈夫なのかな。
上だけとっくに壊滅してるでござる。
みたいなことになってなきゃいいけども。
そうこうしていると、テントの外が騒がしくなった。
おばさんが來たのかな?
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