《【第二部連載中】無職マンのゾンビサバイバル生活。【第一部完】》30話 避難所通いのこと

避難所通いのこと

よほど疲れていたのだろう、だいたい10時間以上もぐっすり眠ってしまった。

倦怠はないが、怪我のせいかし熱っぽい。

立ち上がるとしふらついたが、長く寢すぎたせいだろう。

鏡の前に立ち、包帯の狀態を確認する。

は止まったようだな。

左肩の痛みはほぼないが、顔の傷はまだじくじく痛む。

いかんせん右目の視界が利かないと不便で仕方ない。

傷を開かないように四苦八苦しながら、右目が出るように包帯を巻きなおす。

・・・こんなもんかな。

なんか某人斬りの宿敵みたいなビジュアルになったけど。

所詮この世は焼定食・・・って流行ったな昔。

は止まってるけどまだ傷の部分の包帯は取らないでおこう。

時刻は朝の6時ちょい。

人がき出したら宮田さんにお禮を言いに行こうか。

2度寢としゃれこむかあ。

おやすみぃ。

・・・がやがやと人の聲やく音がする。

8時半か。

そろそろいいだろう。

支度を整え、リュックサックを背負って保健室から出た。

すれ違う警や避難民にぎょっとした顔をされながら、職員室を目指す。

「田中野さん!もう大丈夫なんですか!?」

途中で森山くんが俺を見つけ、駆け寄ってきた。

「いやあ、面目ないハハハ、々とご迷を・・・」

「気にしないでくださいそんなこと!傷は大丈夫なんですか?」

「痛いけどなんとかなってますねえ。」

話しながら歩く。

・・・神崎さんが絡まないといい青年なんだよなあ。

は盲目ってやつだな。

うーん・・・俺は面の経験値はゴミクズなので、いいアドバイスとかはできないよなあ。

そもそもそんなに親しくないし。

「田中野さん!・・・お元気そうでなによりです。」

森山くんと職員室にると、俺を見た宮田さんが立ち上がって近付いてくる。

「油斷した結果です。なんとも恥ずかしい・・・この度は誠にありがとうございます。」

「そんな、あなたにはいくつもの借りがあります。この程度のことで・・・」

頭を下げると慌てて言われるが、こいつは俺の心の問題である。

「いえ、どうやら醫薬品も使わせた様子。このご恩はきっちりお返しさせてください。」

包帯やら消毒やら、おそらく抗生質も使ったことだろう。

この狀況下では大変ありがたいと同時に心苦しい。

持ちつ持たれつの関係を保つためにも、俺の神衛生上、借りは返さなければ。

「そうですか・・・では本調子になったら頼みたいことがあります。まずはしっかり養生してください。」

「ありがとうございます。」

「こちらもできる限りサポートしますので。あなたは自分で考えているよりも貴重な存在なんですよ?」

俺の気持ちを理解したのだろう、宮田さんは渋々同意してくれた。

ありがたい。

っていうかやっぱり俺への評価が不當に高い不合。

「そういえば、この學校って技教室とかあります?」

聞くと、どうやらかなり大きいものがあるようだ。

よし、それなら・・・

「ガソリンを提供するので、電気を使わせてくれません?」

家にはまだ備蓄がたんまりある。

涼しいところに保管しているが、ガソリンも劣化するしな。

使えるときにどんどん使った方がいい。

ガソリンの提供については悪いと斷られたが、頼み込んでけ取ってもらえることになった。

室の使用に関しては、快く承諾してくれたが。

よし、一旦家に帰って食料やなんやらを持ってまた來よう。

よくしてもらっているが、食事なんかは自前のものを用意しないとな。

家の野菜くんたちに水もやりたいし。

宮田さんにも森山くんにも無理をするなと言われたが、顔の傷以外は健康なので大丈夫だ。

けるときにいておかないとな。

いつまでも世話になりっぱなしなのも気を使うし。

一度帰宅することを伝えて職員室を出た。

すぐに帰って準備をしなければ。

「おっおにいさあああああん!!!」

「たったった田中野さあああああああああん!!!」

玄関までたどり著いた時に、由紀子ちゃんと雄鹿原さんに見つかってしまった。

瞬く間に左右を挾まれてしまった。

なんてタイミングだちくしょう。

「わたっ私!私おにいさんがまみれで運び込まれるの見ちゃって・・・!!しっ死んじゃうかと思ってえ!!」

涙をポロポロこぼしながら由紀子ちゃんが縋り付いてくる。

「坂下さんに話を聞いて、ウチも心配してたんですよお!!」

雄鹿原さんも涙目で薄してくる。

あと君たち距離が近いよお!!

心配してくれるのはうれしいけどさあ!!

あっ!俺にもついにモテ期が到來したのかな!?

・・・何言ってんだ一回り以上も年下の子たちに。

気持ち悪いでござるぞ拙者。

知り合いを心配することぐらい普通だろ。

この子たちは天然記念級の善人だし。

・・・アホに絶滅させられないといいなあ。

「し、心配かけてごめんね由紀子ちゃん。アレだよ俺もう大丈夫だから。」

「ひぐっ、そんな包帯巻いてるのにいいいい!?」

「あ、頭の出は派手に見えるからね・・・?」

「あんまり無茶しないでくださいよォ!!」

「申し訳ない申し訳ない前向きに善処します!」

2人の子高生に詰め寄られる30代無職男

事案の気配がする絵面だ。

周囲の視線が痛いぞ。

ここは警がいっぱいいるのでしょっ引かれるかもしれない。

コワイ!!!!

あっ柱の影に野球部か陸上部かわかんない原田くんが!!

何見てんだこの野郎!やんのかコラァ!!

睨みつけると逃げていった。

お前は悪くないけどお前が悪い!!

俺の格好をみて帰るつもりだと察した彼たちが、お願いだからここにいてと懇願してきた。

また危ないことに巻き込まれると思っているようだ。

さすがに外に出る度そんなのに巻き込まれ・・・てるな!?アレェ!?!?

しばらく夜はこっちに泊まるし、怪我が治るまで危ないことはしないしない、したいとも思わない。

なんとかそう2人を説得すると、何本かのチョコバー賄賂の効果もあってか納得してくれたようだ。

甘いは役に立つ、無職覚えた!

そんなこんなで、一旦なんとか我が家まで帰ってきた。

軽トラから釣り用の道を下ろし、家の中に運び込む。

釣りに行くのは避難所への借りを返してからだ。

傷も治ってないし。

缶詰やアルファ米をいくつか持っていく。

井戸水も小さめのポリタンクに詰める。

庭の野菜に水をやるついでに、以前本屋から回収した家庭菜園の本に載っていたお手製水やり機を作

ポリタンクに水を満タンにれ、を二つ開け、片方にこよりを通す。

もう片方は空気だ。

こよりが下になるように畑に設置。

これで、こよりを伝ってしずつ水が供給されるはずだ。

たぶん。きっと。

まあ一日一回は家に帰る予定だし大丈夫だろう。

以前ホームセンターから回収した鉄棒や、おやじの日曜大工コーナーから鉄板を回収。

おやじは鉄板で一何を作るつもりだったんだろうか?

グラインダーもないのに・・・

學校にもあるとは思うが、金床や金づちも持っていく。

と炭もだ。

刀の手れに使う細々としたものも忘れずに。

ガソリン20リッターりの攜行缶も2つ持っていこう。

まだ6つ殘ってるし。

戸締りをしっかりしたら出発だ!

にとんぼ返り完了。

途中のスーパーにでも寄るかと考えたが、また怪我でもしたら神崎さんに殺されるかもしれない。

本調子に戻るまではやめとこう。

涙を呑んで諦めた。

まずはガソリンを下ろす。

校舎の臺車を借りて、燃料倉庫へ運ぶ。

ここにある発電機は軽油、ガソリン、電気、ガスなどの様々な種類のものがあるらしい。

さすが學校だなあ、それだけあれば夜間や急の電気には困らなそうだ。

準備したものを技教室に運ぶ。

校庭に面していて搬がしやすかったので助かった。

ていうかこの前ニンジャアトラクションしたベンチの後ろが教室だった。

あの時は気付かなかったなあ。

このまま作業にっても良かったが、ちょうど農作業の時間みたいだったのでし手伝う。

近くの警は、ガソリンを提供してくれただけで十分だと言ってくれたが固辭した。

見えるところでしは働いておかないと、避難民の方々に不公平を持たれるとも限らない。

不和の種は可能な限りつぶしておく。

実家無職の時に學んだことだ。

料を土に混ぜたり耕したり、種を植えたり水をやったり。

正午ほどまで農作業に勤しんだ。

さて、軽く晝食を済ませて自分の作業に取り掛かる。

まずは七に炭火を起こし、以前のように鉄棒を棒手裏剣に加工していく。

トンカントンカンやっていると、音に釣られて子供たちが寄ってくる。

見ててもいいけど、危ないから近付くなよーなんて注意したら、子供たちに混ざって神崎さんを発見。

俺が言うのもなんだけどあなた仕事は!?!?

若干気にしつつ形を整えた棒を砥石でシャコシャコ。

2回目だから慣れたもんだ。

ここなら家と違って周りを気にする必要はないから捗る捗る。

持ってきた鉄棒はすべて手裏剣へと形を変えた。

以前の4倍の量を作れたぞ。

教室部をする。

棚の備品に刃がアタッチメント式のグラインダーを発見。

しまった・・・これを先に見つけておけばよかった・・・。

うおお!旋盤まであるじゃないか!!

工業高校でもないのに本格的だなあ・・・

あ、そういえばここ10年前まで工業科あったじゃん!

友達が通ってたのを忘れていた。

なるほどその名殘か・・・?

とにかく、これで家から持ってきた鉄板が使えるな。

鉄板の表面にマジックペンで縦橫に直線を引き、たくさんの正方形を作る。

発電機からドラムリールで電気を引き、グラインダーに接続。

切斷用のチップソーを付け、萬力で固定した鉄板を切斷していく。

おお、はやいはやい。

金ノコなんかとは大違いだ。

あっという間に手のひらサイズの鉄板が量産できた。

こいつらにまたペンで形を描いて大まかに切斷。

だいたいの形ができたので、グラインダーに研磨用の刃をセットし、削っていく。

単純な形なので簡単にできるなあ。

數が多いから単調でもあるが。

斜めに刃を付け、それぞれの先端を刺さりやすい鋭利な形に整えたら完だ。

じゅ~う~じ~しゅ~りけ~ん~(貓ロボ)

というわけで、今回俺が新たに制作したのは『十字手裏剣』と呼ばれるものだ。

こいつは棒手裏剣とは違い、俺の流派でも回転させて投げるものだから、弾道が安定しやすく程距離も長い。

俺の家ではここまで大掛かりなものがなかったので、今まで作れなかったのだ。

早速外に出て試してみよう。

まだいたんですか神崎さん!!仕事はぁ!?

あっ特に今はないんですかそうですか。

・・・視線が気になるが気を取り直して試す。

威力は棒手裏剣とどっこいどっこいだが、回転するだけに投げやすい。

刺さりやすいから使いやすいなあ!

「・・・あの、投げてみますか神崎さん?」

「ありがとうございます。」

あんまり見てくるので渡してみる。

あっ上手!!

スコンスコン刺さってるじゃん!

・・・本當になんなんだこの人は。

戦闘力が高すぎるぞ。

気にったようなので、棒手裏剣と十字手裏剣を一枚ずつ進呈した。

嬉しそうだがそれでいいのか自衛

そして校舎の影からこっちを見てる森山巡査ぁ!!!

怖いからこっち來なさいよもう!!!

手招きしたら顔を赤くして逃げた。

・・・恥ずかしがるポイントがおかしいぞオイ。

まあとにかく、対人裝備としては、棒手裏剣とこれで確定だな。

またホームセンターで材料を仕れてこよう。

棒と鉄板だから最悪そこら辺のものでも流用できそうだ。

いい時間になってきたので、片づけをして休むとするか。

今はケガ人がいないので、保健室を使ってもいいそうだ。

ありがたいなあ・・・

あっ、プレーヤー持ってくればよかった!

・・・明日は持ってこよう。

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