「フリーのジュエリスト、か。前は東から？　問題を起こさないようにな」

「お仕事は、しっかりやらせていただきますね」

検問のような場所にたどり著き、検査をける。

と言っても、免許証のような分証はない世界だ。

あるとしたら、その地域ごとにお偉いさんが限定的に出しているだろう。

機の力を落とし、2人でトラックに乗った狀態での応対は、悪いものではなかった様子。

最初は輸送業だと思ったようだけど、機が荷臺にあるのに、隨分と驚いていた。

「思ったより道路狀況がいいわね。整地されてるのかしら」

「重いが行き來しますから、公共事業みたいになってるのかもしれませんね」

ほら、と言われそちらに視線をやれば工事中の看板。

JAM未満の重機や、作業員が道路を補修しているのが見えた。

その周囲の町並みを見つつ、まずはジュエリストが集まる場所へ。

酒場か、仕事が集まる役場というところだ。

以前のような政府はないけれど、近い存在は各地にある。

その人たちが、自分の地位の維持を引き換えに、人々をまとめているのだ。

さぞかし味しいをと思うかもしれないけれど、その苦労はかなりのだと思う。

「外にはミュータント、いつ盡きるかわからない資源、大自然の猛威、ですものね」

「ええ。私はなれってお願いされても、嫌だわ」

カタリナとそんな雑談をしつつ、目的の建を見つける。

トラックが何臺も止まり、行きかう人でにぎわっている。

他と同様、トラックを止めて防犯裝置をオン。

まあ、機銃や警告音聲がセットになったようなものだけど。

こんな白晝堂々、そういうことをする連中もなかなかいないでしょう、多分。

「さて、どんな話があるのやら」

カタリナを引き連れ、役場らしい建にる。

瞬間、様々な視線が刺さるけど、スルー。

いちいち気にしていては、きりがない。

「今日來たところよ、何か登録とか必要かしら」

「いや、ダメなら戻ってこないってだけだ。駆け出しと一緒で悪いが、そっちから選んでくれ」

とても役場の対応とは思えないけれど、公務員なんて言葉が意味を持たない時代だ。

こうでもしないと、やっていけないみたいなところもあるのだろうか。

気にせず、雑に印刷されたチラシめいたものや、掲示板に書かれたを見ていく。

「護衛はまだちょっとパスで……あら、野良ゴーレムの排除？」

「実りがなそうだと思われてるんでしょうか」

著飾っているわけではないけれど、（カタリナはほぼの姿だ）2人となれば、目立つ。

背中に視線が刺さるのをじつつ、仕事を選んでいく。

結局、野良ゴーレムの排除と、街道の見回りをセットでけた。

どちらも役場が依頼主だったから、ちょうどいい。

どちらも明日から実行することになる。

後は宿を探しに、街に出ることにしよう。

「さーて、どこがいいかしら……ね？」

「あれ、なんでしょう……JAMですよね」

街にトラックで乗り出してすぐ、道路を進む人型を見つけた。

都合5、見た目はほぼ同じ姿。

なんというか、鎧ってじの様子が、町並みに溶け込めていない。

道路の脇にトラックを寄せ、彼ら？が通り過ぎるのを待つ。

大げさなブレード、もう大剣と呼べそうなものを背中に備え付けている。

敢えて言うなら……そう、騎士…そういった類だ。

「お姉さんたち、ここは初めて？」

「ええ、そうよ。さっき著いたところなの」

窓を開けていたからか、道端から聲。

そちらを向けば、看板を抱えた1人のの子。

人けしそうな態度に、思わず返事を返してしまう。

「そっかー。あれね、この街の騎士団だよ」

「騎士団？　ええっと……ちょうどいいわ。泊めさせてもらおうかしら」

の持っていた看板は、宿屋のだったのだ。

力仕事は出來ないから、外で宣伝と呼び込みを、というわけだ。

喜ぶの案をけ、ひとまずトラックを駐車場へと向ける。

エンジンを切り、降りた私たちに、は濡れタオルを差し出してきた。

サービスの一環、ということなんだろうけど、なかなか珍しい。

チップは後でめるかもしれないから、封を開けていない焼き菓子を1袋そのまま渡す。

「いいの？　やったー！　あ、こっちだよ」

片手には菓子袋、もう片方の手で私を引っ張る。

その勢いに苦笑しつつ、招かれるまま宿へ。

「いらっしゃいませ。何泊されますか？」

「ひとまず一泊は。仕事、けた後なのよね」

これまた珍しいことに、カウンターのすぐ後ろの壁には、大きく料金表。

個人的には、ここは信用出來るなとじる。

「それはそれは。地図等ご用でしたら、ご相談くださいね」

「ありがと。さっそく周辺の確認だけでもさせてもらおうかな。カタリナ、その子に部屋を案してもらって？」

「ええ、わかりました。お願いしますね」

元気よくき出すに、カタリナが引っ張られていくのを見ながら主人とカウンター越しの會話だ。

慣れているのか、既にプリントされている地図が出て來た。

地形が変わることもあるし、あくまでも參考だと念押しされつつ。

「山に森、沼地なんてあるのね」

「泥からは良い分が出できるとか聞きますけど、何か棲みついてるそうで」

その後も、確認したい項目を聞き、が改めて呼びに來たので部屋に向かう。

掃除もしっかりされていて、思った以上に過ごしやすそうだ。

ひとまずはと荷を降ろし、しばしゆっくりするのだった。