《迷宮宿屋~空間魔法駆使して迷宮奧地で宿屋を開きます~》29

予定通りの日程をこなして、全員で無事帰還スクロールで帰還する。

「帰ったか!」

出迎えてくれたのはギルマスだった。

ギルマスは嬉しそうな顔でとりあえず私に素材を解場に持って行ってくれと言うと各リーダー以外は休んでてくれと言った。

言われた通りに解場に向かおうとするとーーー

「マリーロズ」

アイズさんに呼ばれた。

その聲は何時ぞやのような真剣な聲で。

振り向くとアイズさんは真顔で私を見ていた。

「お前、仲間になれ。お前の力が俺達には必要だ」

ギルマスを含め、その場の全員が直する中アイズさんは私に近づいてくる。

彼の言葉は、命令だった。

上位者の命令。逆らうことを許さない言葉。

目の前に來て私を見下ろす私より頭二つ以上大きな最高峰の冒険者。

「お前がいれば大量の資を運べて、安全地帯が気軽に作れる。お前一人で迷宮の探索ももっとぐっと進むだろう」

そして一呼吸おいて、彼は言った。

「俺達で迷宮踏破をしよう、マリーロズ」

それはとても重い、そして魅力的な言葉だった。

けれど、私のには響かない。

なことに彼が何気なく言った言葉。それによって、本気のアイズさんの言葉は私には屆かなくなったのだ。

「返事は『はい』しか聞かねえぞマリーロズ」

「お斷りします」

斷った瞬間、凄まじい威圧がアイズさんから発せられた。怒りか殺意か。分からないけれど言葉を発することもきつい威圧

でも、カタカタ震えながらも。

私は笑みを浮かべていた。

「いつか、迷宮で…」

「ああん?」

「冒険者が頼りにできる、買取所も兼ねた宿屋を迷宮の奧地に作ります」

笑みを浮かべて、獰猛な表のアイズさんに真っ向から噛み付く。

「………」

「そのためにはまだ空間スキルのレベルも、空間の広さも、軍資金も、知識も足りないんです」

圧はだんだん増して、震えは大きくなっていくけれど。

しっかり目を見開いてアイズさんを見返す。

「私の『夢』の邪魔をしないでください。ちゃんといつか、アイズさんも泊まらせてあげますから」

「………」

「………」

「………」

睨み下ろすアイズさんをしっかりと睨み返す。

しばらく睨み合った末にアイズさんは目を細めて、笑った。

「オープンの予定が立ったらちゃんと言えよ。『ドラゴン殺し』は一番客にぜってぇなってやるからよ」

そう言ってごしゃごしゃと私の髪をかき混ぜて、アイズさんはギルマス達と去っていった。

な、何とかなったの…?

張が抜けてその場にへたり込むと、すごい勢いででムサシさんに抱き上げられた。

「なにしてんだよマリィちゃん!アイズさんに啖呵切るとか、もう俺の心臓止まるかと思ったよ!」

「……私も止まりそうで、腰抜けました」

「あー、もう!!」

そして解場に直行されると、何故か私がいた場所ではわあっ!と盛り上がる聲が聞こえた。

場に著くも何故か扉を開けて中にろうとしないムサシさん。

ん、と思って彼を見るとムサシさんの口は尖っていた。

「俺達も、マリィちゃんをパーティにおうとしてたのに。あんなすげえこと聞いちゃったらえないじゃんか。マリィちゃんの馬鹿」

「それは……すみません」

近くにあるムサシさんの頭をでる。

しばらくで続けて、ムサシさんはやっと解場の中にってくれた。

さて、素材を引き渡して報告書をあげて。

そのあとは何をしようかな。どれをしようかな。

宿屋開店が遅いとアイズさんにもせっつかれそうだし。

もっともっと、頑張らないとね!

第一章[完]

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