《迷宮宿屋~空間魔法駆使して迷宮奧地で宿屋を開きます~》1

第二章より8:00 20:00の一日二回更新になります

また第2章から様子、下品な酔っぱらい要素が含まれます。

レイド依頼から2年。ついにこの日が來た…。

「マリィちゃん、今まで本當にありがとう」

「またすぐお持ってきますから…!」

シスターと抱き合って、泣きながら泣きじゃくる弟妹とも抱き合う。

そう、16歳。孤児院を強制退去の日が訪れたのだ。

アンはとっくに院を出ている。

16歳になるギリギリまで住み著いていたのは私くらいだった。でも、だって。

「寂しいよう…!」

「ねえちゃ、ひっく、泣くなようさん…!」

「おみおくり、するのう!」

玄関先でわーわー皆で泣きじゃくって。

1人また1人泣き疲れて寢落ちしながら、一時間後。スンスン鼻を鳴らせながら私は孤児院を出た。

また來る。絶対に遊びに來る。

そう思いながら私は新居ーーーーー冒険者ギルドへと足を進めた。

「ただいま戻りました…」

「おかえり、て、うわ、目がパンパンよ」

「いっぱい泣いてきました…」

「こっちいらっしゃい。もう、そのままだと腫れちゃうでしょ?」

晝前の比較的人がない時間に帰ったから冒険者もなく、事務員のアンリさんに捕獲されて私は溫かな蒸しタオルを貰った。

それを目元に當ててるとまた涙が出てきた。

事務所の隅でスンスンまた泣いていると突然頭がでられた。

びっくりしてタオルから目を離すとそこには困った顔をしたトールさんがいた。

じっと見つめ合って。

じわあと涙が出てきて。

トールさんがギョッとして慌て出す。

「おいトール、マリィちゃん泣かせてんじゃねえぞー」

「何マリィを泣かせてるんだ」

「最低」

「ち、違う!おいマリィどうしたんだ」

トールさんとの長差はだいぶんだ。にも関わらずサッと抱き上げられてゆさゆさと縦に揺さぶられる。

が、私も長をした。

故に抱き上げられると著するようになった。

故に……。

「トールさん、甲冑が痛い…」

「あ、ああ、悪い。ほら泣くな」

降ろされて蒸しタオルで涙を拭われる。

いや別にいいけども。めようと必死になってくれるのはわかるけども。

私もう16歳なんだけどなあ。

そんな事を思っていると涙は引っ込んだ。

「すみません、今日からこちらで暮らすことになったので寂しくなっちゃって」

「ああ、そうだったのか。それは仕方ないな」

「はい。トールさんはクエスト帰りですか?」

「ああ。報告をしに來たらマリィが泣いてるのが見えて、アンリと仲間に行けって言われて…」

そう言ってトールさんはカウンターを振り返るがそこには誰も居なかった。

そういえばさっきからかうような聲が聞こえたが…。

「銀華のメンバーならさっさと出ていったわよ?」

アンリさんがそんな事を言うと、トールさんの眉間に深いシワが目の前で刻み込まれた。

とりあえず手をばしてそのシワをばそうとでると、怒っていたはずのトールさんがふっと笑った。

「引越し祝いで飯でも行くか?どうやら仲間に置いてかれたみたいだし」

「奢りですか?」

「もちろん」

それならば行かない手は無いな。

ニコニコ笑って立ち上がると、何故か苦笑を浮かべたトールさんがぽんぽんと頭を叩いた。

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