《【書籍化決定!】最強スキル持ちは、薬草採取しかできない》22 魔の森封鎖
僕はエピク。
先日はペガサスを助けました。
スェルが調合してくれた薬によって完治したペガサスは簡潔にお禮を言って天空へと去っていった。
自を襲撃した冒険者ガツィーブを咥えぶら下げて。
襲撃犯は他にもいたんだが全員載せると重そうだし面倒くさかったんだろう。
殘りの蹴散らされた犯人たちはここに放置しておくわけにもかないので僕が街に運んで、面倒を押し付けられた形なんじゃないかと思った。
ペガサスは去り際、『いつか禮は必ずする』的なことを言い殘していったが、どこまで本気なのやら?
とにかく僕らは期待せずに、日々を真面目に過ごすことにした。
◆
そして後日。
今日も元気に薬草採取しようと思ったところで問題が発生しました。
魔の森へ行くためには街を出ないとなんだけど、そのためには城門をくぐらないといけない。
防衛のため、また犯罪防止のためにも街はぐるりと城壁で取り囲まれ、數ない城門から出りを徹底管理している。
その城門で何やらガヤガヤ言っているのだ。
「ゲハハハハ! やはり來たな裏切者が!!」
なんと城門にギルドマスターがいた。
さらにその周りに冒険者らしい人が數名。城門を塞ぐように並んでいる。
あれでは通る人の邪魔になって大迷だろう。
「何事です?」
僕はまず、城門の出りを管理する衛兵さんに伺った。
彼らは苦笑いするばかりで返答に要領を得ず、ますます何があったのかわからない。
「今日から城門の出りに我ら冒険者ギルドも噛ませてもらう! どうやら違反行為を行う者がいるようなのでの!!」
「違反行為?」
「そう! 我ら冒険者ギルドの許可なく冒険者活フィールドにり、素材を強奪していくもの!! そやつは明確に冒険者ギルドの規約に反するものであり世界の秩序をすヤツじゃ! よって制裁を加えなければならん!!」
これ、もしかしなくても僕のことだよね?
ついにバレたか?
冒険者ギルドをクビになった僕が、いまだに魔の森にり薬草採取をしていることに。
こないだガツィーブに遭遇してしまったから、そこかられたのも充分あり得る話だけども。
「隨分と騒がしいことだな」
「あッ、薬師協會長さん?」
どうしたものかと困っているところへ薬師協會長さん登場。
隣にスェルもピッタリ寄り添っていた。
「どうしてここへ? 協會長さんだって仕事が忙しくて本部から出られないでしょうし?」
「これだけ大ごとになっていればね。さすがに騒ぎがデカすぎて私まで聞こえてきたよ」
それで出てきたってことか。
「しかし、大膽なことをしますな冒険者ギルドマスター殿。冒険者を使って城門の占拠とは、街に対する反逆行為ととられても文句は言えませんぞ?」
「何を言う薬師協會長! 反逆行為を行っているのはアンタじゃろうが!!」
「ほう私が?」
バチバチと火花を散らす組織トップ二人。
「お前の汚いやり口は見抜いたぞ、このオレ様がなあ! 何が『獨自の手ルート』じゃ! お前は、ウチでクビになった底辺冒険者を使い、不當に冒険者活フィールドに侵させて素材を盜み取っていたのじゃ!!」
「々と言葉の扱いが不適切ですな」
やっぱりギルドマスター、真実に気づいてしまったか!?
僕がギルドから追放されてなお、ギルド用達の狩り場である魔の森を出りしていること。
いつかバレるものと覚悟していたのだが。
実際にバレてドギマギ心臓バクバクするが、それに比して薬師協會長はまったくじない!
「『盜み取っている』とはまさに人聞きが悪い。街中の土地とは違い、外に広がる大地は誰のものでもない、そこに生えるもの、駆け巡る獣を自分のモノにできるかどうかは才覚次第だ」
「詭弁をらすでないわぁ! 魔の森は、この街から冒険者ギルドへ管理を委託されているもの! つまり魔の森で採れるものはすべて冒険者ギルドのものじゃあ! 我々に斷りなくとっていけばそれは盜人じゃあ!!」
「街が冒険者ギルドに認めているのは『管理』であって『所有』ではない。そもそも恐ろしい魔の森の所有権など街自主張していない。恐れ知らずなことを言うものでないぞギルドマスター」
大聲でまくしたてるギルドマスターに、一歩も引かず対する薬師協會長。
その決然とした態度がカッコいい。
「ギルドマスター、アナタこそ一刻も早く勘違いを正すべきだ。モンスターが跋扈する魔域を、人間が所有するなど思い上がりでしかない。冒険者によるモンスター発生地域での活は、あくまで人間の領域から脅威を遮斷する、防波堤代わりの行為に過ぎない」
「だ、だから何だというんじゃあ!?」
「モンスターはそれほど危険な存在だということです。ダンジョンなり、魔の森のような魔域でどんどんモンスターが増え、溢れ出し、人の街や村に押し寄せてくる。そんなことがないよう間引きするのが真の冒険者の役割なのだ。素材の調達や売買などは二の次に過ぎない」
「ぐ、ぐぬ……!?」
平靜に原則だけを主張する薬師協會長さんに、相手も反論できずに押し黙る。
「ゆえに街も、魔の森の出り自は制限などしていない。親が子に『危ないからるな』と諭すことはあるがね。要するに自己責任。出りは自由だが死んでも誰も面倒は見ない、ということさ」
ちなみにその例外は冒険者で、活フィールドで行方を斷った場合速やかに捜索隊が組織されるし、怪我や死亡に対して保険金が下りることもある。
つまりそれがギルドに所屬する旨味ということだった。
報酬額をいくらか中抜きされる代わりに非常時の補償や、クエスト注の効率化をけられる、その有利を得るためにギルドに所屬するのももっともな選択だ。
逆に言えば、そうした安全効率を無視してフリーの冒険者でいることも別に違反ではない。犯罪でもない。
「キミたち冒険者ギルドは、自分らの儲けを確保するためにギルド所屬だけが冒険者への道だと吹聴しているようだがね。そういう行こそ問題があるのではないのかね?」
「だ、黙れ!? 部外者が冒険者ギルドの運営方針に口出しするでないわッ!」
「ならば我ら薬師協會の方針にも部外者に口出ししてほしくない。誰から薬剤を手にれようと我々の自由だ」
とりあえず口ゲンカでは到底薬師協會長さんに勝てる気がしない。
それをギルドマスターもじ取って押し黙っていたが……。
「ぎ……、ぐふぇふぇふぇふぇふぇふぇ……! そうやって強がっていられるのも今のうちじゃぞ?」
と突然態度を改める。
「お前らがいくら屁理屈をこねようと、今日から冒険者ギルドに所屬せぬ者が魔の森にることは止する。そういうルールを我ら冒険者ギルドで作した!」
エフェリト街冒険者ギルド特別規則。
魔の森に立ちることができるのは冒険者ギルド関係者のみとする。
だって。
「ギャーッハッハッハッハ!! これでお前らは魔の森に立ちることはできん! 現行で取り締まれないなら新しいルールを作る! これが権力者の凄さよ! 一般市民が思い知ったかぁ!!」
いや、それって無理あるでしょう?
いくら権力者だからってできないことはある、それ以上に強大な権力を持った人が他にいればなおのこと。
そもそも魔の森の所有権は、この街自主張していないって言ったのに冒険者ギルドがさも『森はオレたちのものだ』と言わんばかりのその言。
冒険者ギルドだって、この街に所屬している一組織に過ぎないだろうに。
顰蹙を買うことは想定していないのだろうか?
「これでもう、お前のところのクソ蟲は草を運び込むこともできんなぁ? 兵糧を斷たれた気分はどうじゃあ?」
「とことんやり合うつもりのようだな」
「ま、ウチでもう一度素材を買いたいというなら、報酬五倍辺りから検討してやってもいいぞ? もちろん『土下座』という誠意を見せたあとでな?」
完全に勝ったつもりなのかギルドマスターは、高笑いしながらその場から去っていく。
「お前らはここに殘れ! クソ猟者を街の外に出してはいかんぞ!」
引き連れた冒険者はこのまま城門前に殘していくようだ。
そして最後に僕の方を睨みつけ……。
「このクソ底辺役立たずが、よくも恩を仇で返してくれたなあ?」
「お、恩を仇?」
一何のことだろう。
心當たりがなさすぎて衝撃をけた。
「仮にも冒険者ギルドに所屬しておきながらオレ様に歯向かうなどの程知らずの極悪よ! その思い上がり必ず後悔させてやる! 薬師協會の連中同様、最後にはこの街にいられなくさせてやるからな!」
というのを捨て臺詞に去っていったギルドマスター。
皆ポカンである。
「なんなのあの人!? 私の想像を超えて失禮過ぎない!? あんな失禮な人がこの世にいたの!?」
スェルが大層憤慨なさっていた。
そういやこの子、あのギルドマスターとは初対面だっけ。
「スェルもいずれ一人立ちするなら覚えておきなさい。世の中には想像を絶する非常識な人間がいるものだ。そんな相手に常識の対応をすれば卻って付け込まれるだけだ」
「じゃあ、これからどうするんです?」
ギルドマスターに森の出りをじられてしまった。
このままでは僕も薬草やモンスター素材を採取できないし、そうなると薬師協會も薬を作れない。
再び大ピンチなんでは?
「別にピンチでも何でもないよ、彼らの決定を覆す手段なんていくらでもある」
薬師協會長さんはこともなげに答えた。
「とりあえず都市議會に訴えるとかね。ギルドの規則と街の法、どっちが優先されるか実際に検証してみるがいい。それかエピクくん、本來のキミならあの程度の障害、苦も無く蹴散らせるんではないかね?」
城門を塞ぐようにして立つ數名の冒険者が、こちらを睨むように見張っている。
通の妨げ以外の何者でもないので、そのうち衛兵さんにしょっ引かれるんじゃないかな?
「今回、私はその中で、あえて『何もしない』という選択肢を取るつもりだ」
「えッ? どうしてお父さん!? あんな勝手な人たちの思い通りにさせるの!?」
「自然のり行きに任せて、アイツらの思い通りになると思うのかい?」
薬師協會長さんは、古の軍師がいかにも浮かべそうな邪な笑みを浮かべて……。
「彼らも知るといいんだよ。冒険者ギルドがモンスターのうろつく危険區域を任されているのは、特権でも利権でもなく負擔だということを。エピクくんを追い出した魔の森がこれからどんな慘狀になるか、まさに見ものだね」
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