《【書籍化決定!】最強スキル持ちは、薬草採取しかできない》40 ギルド理事の招待

とりあえずその日は宿屋に泊まり、馬車のガタガタでいわしてしまった腰をいたわる。

スェルも隣のベッドで充分にをいたわっていた。

奇しき偶然で同道した冒険者アレオも宿の隣の部屋に泊まっている。

あの傲慢失禮なギルド付嬢のおで『王都で一旗揚げる』という夢を早くも斷たれた。

それは當然ながらショックだったようだ。

彼の人エリーさんに傷心をめてもらう聲が、夜通し壁越しに聞こえてきた。

そんで翌朝。

早くも冒険者ギルド側にきがあった。

僕のことを訪ねてきたのは、よさげななりのオジサンだった。

「ギルド理事アンパョーネンが書レッパルスと申します」

やけに整った口ひげが印象的な男が、恭しく頭を下げる。

「エフィリト街の冒険者エピク様ですね? そしてそちらはかつてのA級冒険者『赤烈』のバーデング様のご令嬢スェル様と伺っております」

「はひッ」

スェルが怯えて変な聲になった。

この人まあ、こっちの個人報をスラスラと……。

「僕らがこの宿に泊まっていることもよく突き止めましたね」

「エフィリト街の方々は重要なお客様です。我々が派遣したギズドーンの醜態。何よりまずはそのことをお詫びいたしたく……!」

ギズドーンはたしか失蹤した前ギルドマスターの名前だったはず。

お偉い中央様はあれくらいの失態何事にもじていないのかと思ったが、一応負い目にはなっているみたいだな。

「その件にて謝罪も済まないまま、當方でまた失禮な対応があったと伺いました。重ねてお詫び申し上げます」

「お偉いギルド理事會の人たちが簡単に頭を下げるんですね?」

「理事會は偉くなどありません。全世界に散らばる冒険者ギルド、それらを繋ぎ連攜をにする。それだけが役割の組織にすぎません。まして私自は理事ではなく、その下につく者、益々偉ぶる理由などありません」

「ご立派な態度ですが、そうは思っていない人も王都のギルドにはいるようだ」

「先日アナタ様たちに対応した付嬢のことですね? その節は大変失禮いたしました」

正確には失禮ぶっこかれたのは僕じゃないけれど。

被害者は、そっちのアレオくんたちだ。

早朝、一緒に朝食をとる彼らは図らずもこの場面に居合わせ、ギルド理事関係者が頭を下げるという稀有な事態に驚いて、呆然としている。

「その件についてご説明させていただければ現在、王都の冒険者ギルドにおいて移籍希者を拒否する規則はありません。申請を味し、要件を満たしていなかった場合お斷りする事例もありますが、何の検討もなく拒否することはギルドの就業規則と照らし合わせても絶対にありえないことです」

「しかしここにいるアレオくんは実際に拒否されました。彼が所屬していたギルドから渡された移籍許可証を目の前で破られましたよ」

「それは擔當した付嬢の獨斷です」

淡々と質疑応答がなされる。

「ここ王都は國の中心であり、自然他のギルドよりも多くの移籍希者が來訪します。移籍申請の付作業も多く、彼はどうやら同じ作業の繰り返しに飽き飽きしていたようです。それで自分の判斷で即時卻下を」

「そんな判斷が許されるんですか?」

「當然許されません。我々は今回の事例を深くけ止め、再発防止に全力で取り組むつもりでいます」

「先のことは知りません。僕らは今現在のことにすぐいてくれることを希します」

「といいますと?」

「ここにいるアレオくんとエリーさんの移籍をすぐに承認してください」

そう言うと隣で見守っていたアレオくんが、目を丸くする。

元々驚きで見開かれていたが、さらに驚いて大きく見開く。

「彼らは熱を持った冒険者です。彼らは王都のギルドでやっていけるかどうかチャンスだけでも與えてほしい。お願いします」

「エピク殿からの希となれば、我々は最優先で取り組みましょう」

……。

なんか僕からの要求がズバズバ取りれられる?

ここまで言いなりだと卻って怖いよ。

A級冒険者の候補ってだけで、ここまで下手に出てもらえるものなの?

「それからもう一つ、先日エピク様に無禮を働いたギルド付嬢ですが……」

「あの問題の」

「今日付けで解雇いたしました」

そこまで!?

たしかに本人が『クビになる』とか言って泣きわめいていたが、まさか本當に解雇されようとは。

「これで彼がエピク様を不快にさせることは金際ないとお約束いたします。つきましては……」

「はい?」

「我々の招待に是非とも応じていただきたい。我が主がアナタ様の來訪を心待ちにしております」

なんだか怖くなったが、ここまで向こうに折れてもらって無下にはできない。

この招待には応じるべきだろう。

「わかりました、できればスェルも……」

「スェル様にも是非ご同行いただければと思います。我が主はアナタ方二人にお目にかかることを心より待ちんでおります」

ここまでお膳立てがしっかりしているの!?

本當にどういうことか。

相手の思が読めなくて怖くなってきた。

とにかくこうなったらもう會うしかない。

スェルにも一応目配せして意思の確認を取るが……。

「行きましょう。エピクさんのA級昇格は、街の皆がんでいることです。やっぱりちゃんと會って正式に認定してもらわなきゃ」

それもそうだな。

僕自あまりA級になろうというモチベがなかったので、昨日は相手を揺さぶる材料に進退を使ってしまったが。

僕がA級冒険者になることに街の皆の期待がかかっているんだ。

そういう意味でも招待に応じないわけにはいかない。

「アレオくん」

「はいッ!?」

これから別行となりそうなので聲をかけておく。

「と言うわけで僕らはギルド理事に會いに行ってくるけれど、キミらは移籍作業頑張ってね」

「ギルドには話を通しておきますので、今日からクエストをけることができると思われます。アナタの王都でのご活躍を期待しております」

書さんまで付け加えて、これはもう完璧にアレオくん頑張らなきゃいけない雰囲気。

「エピク……! お前、本當に凄いヤツだったんだなあ……!?」

「そんなことないよ、ただのD級冒険者さ」

今の時點では。

それがA級冒険者にチェンジできるか否かは、これからの判斷と行にかかっている。

まずはこれから會うギルド理事がどんな人か……!?

僕たちが案されたのは、意外にもギルドの建じゃなかった。

昨日訪れた場所と違うのですぐにわかった。

「こちらはギルド理事アンパョーネン様の私邸になります」

「私的な邸宅!?」

それって、いきなり仕事スペースじゃなくてプライベートな空間に呼ばれたってこと!?

なんですかその油斷ならないもてなし方!?

「こちらも失禮は充分承知しております。ですが現在、我が主は公共の場に出ることのできない狀態にあるのです」

「どういうこと!?」

「一目見ていただければ……」

書の人はそれ以上何も言わずに、僕らを屋敷の奧へとうのみ。

そして充分に奧まったところまで引き込まれたと思ったら。

「こちらが我が主人の寢室になります」

「寢るところ!?」

益々何なの。

僕らの戸いも介さず書さんはドアをノックし……。

「旦那様、レッパルスにございます。室いたします」

開かれたドアから室の様子を窺ってすぐに納得することができた。

ベッドに男の老人が橫たわっている。

調が悪いことが一目でわかった。顔が悪く顔中に脂汗が浮かんでいて、呼吸もれる。

傍らで看護するメイドさんがいるが不安なのか、彼まで病人に負けず劣らず顔が悪い。

「容態は?」

「酷くなる一方です。今朝ほんのし口にされた粥も、すぐ吐き戻されてしまわれて……!?」

狀況からこの病んだ老人がギルド理事であるのは間違いない。

理事が職場であるギルドに來られない理由も、かせないほど病気で衰弱しているかだったのだ!?

「ちょっとすみません」

すぐさまスェルがいて、おじいさんの容態を診る。

こういう時こそ薬師スェル頼りになる。

「……」

「どうスェル、何の病気かわかる?」

「これは病気じゃありません」

え?

病気じゃないのに、こんなに苦しそうに寢込んでいるのは……!?

「これは呪いです。魔力を越えた神力によってを蝕まれているんです」

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