《【書籍化決定!】最強スキル持ちは、薬草採取しかできない》41 七縁に祟る
ギルド理事さんは、呪いにかかっていた!?
「呪いによるの不調は、病気とはまったくの別です。他者からの悪意にを蝕まれ、ゆっくりと衰弱していく。その侵食力は者の力量によりますが、強ければ呪詛対象を死に至らしめることも可能です」
解説しながらスェルが、苦しむギルド理事さんをさらに注意深く観察する。
「……この人がけた呪いは、この人を死なせるパワーが充分にあります」
「まさしくその通りです」
理事の書さんが答えた。
病床の理事本人にもはや會話する力もなかろうだから。
「王都中の醫師や回復師に見立てさせましたが、スェル様の診斷と同様でした。主が助かるには、呪いを行っている犯人を見つけ出すか、強力な解呪で呪詛返ししなければならないと」
「しかし、いずれも不可能だった?」
「左様です」
なんだかよくわからないうちに話が深刻化していった。
僕らはA級への昇格のことを話し合いに來たつもりだったのに、どこへ向かおうとしてるんだ?
「冒険者ギルドの総力を結集して呪者を見つけ出そうとしましたが、王都中を探してなお見つかりませんでした。聖による解呪も試みましたが、聖の力をもってしても呪の進行を遅らせることすらできない始末……」
「……」
「我らももはやどうにもならないと諦めかけておりました。しかし今やっと、一縷の明が覗いたのです……」
どういうこと?
「スェル様、エピク様。アナタ方なら我が主の呪いを解いてくれると。もはや衰弱の果てに死を待つばかりの主人を救いだしてくれると伺い、藁にも縋る思いで……!!」
「ちょっと待ってください?」
誰から吹き込まれた、そんな話?
呪いとかそんな話、僕らはこれまで関わったどころか聞いたことすらない。
完璧に今回が初見。
そんな右も左もわからぬ門外漢の僕らにどうやって呪いを解けと?
そもそも誰が言った?
「……ワシ、じゃ……」
吐息とも聞き違えそうなか細い聲。
その聲はたしかにベッドに橫たわる老人から発せられた。
「……旦那様!? 喋ってはなりません、おに障ります!!」
「客人を迎えながら主人のワシがもてなさずしてどうする……? ただこの干からびたを見せるために彼らを呼んだのか? ワシを使って見世屋でも開こうてか?」
「そんなことは……!?」
もはや限界近くまで衰弱しながらも、神力に限りはないようだ。
この時初めてギルド理事と言う存在に心させられた。
「……さて客人よ。寢臺からの挨拶で失禮ながら……冒険者ギルド三十一人の理事が一人、アンパョーネンと申す」
「エピクです」「スェルですッ!?」
互いに自己紹介が終わり、さらに話が進む。
「キミたちを呼ぶように指示したのは他でもないこのワシじゃ。ワシは、自分が置かれた狀況をよく理解している……」
「というと……」
「自分が呪われていること。その呪いによって遠くないうちに死に至ること。……誰がワシを呪ったか。その者がワシを呪った理由。……そしてどうすれば死と呪いを回避できるか。……そのすべてを」
おお。
さすがギルド理事、すべて手の平の上ということか?
しかしギルド理事は病狀で乾いた笑みを浮かべ……。
「自慢するようなことでもない。すべては向こうから教えてくれたのじゃ」
「向こう?」
「このワシに呪いをくださった偉大なる方のことじゃ」
……なんですか、その大仰な言い回しは?
アナタに危害を加えて死にまで追いやろうとする憎いあんちきしょうではないんですか?
「しかし、それほどに敬わねばならぬ方ゆえな。キミらにも心當たりはあるのではないか?」
「はあ……?」
「その方より呪いを賜ると同時に、その理由まで宣託された。我らは神罰をけたのじゃ。みずからの傲慢の報いを食らったのじゃ……!」
元々衰弱にあえぐ理事さんが、さらにきを増す。
恐るべきモノの話にれることで意識が高ぶっているのか。
「キミたちの街で、ギルドマスターを務めていた男……ギズドーンという名の。キミらも知っておろうな?」
「それはもう……!?」
さすがに知らなかったことにはできないし、これから先もなかなか忘れられそうにはない。
もう二度と會うことがないにしても。
「安心なさい、あの大バカ者がキミたちの前に現れることはもう二度とない」
「やっぱりです?」
「ここより遠く離れた都市ビルヴォにおいて、ヤツの死が発見された。中に無數の刺し傷があり、その數五十箇所以上に上ったそうじゃ。あまりにも執拗かつ殘忍な手口ということで、取りよりは怨恨の線で吏は捜査しておる。……しかし、我々にとってそんなことはどうでもよい」
前ギルドマスターは死んでいた。
衝撃の事実であるはずだったが何故か驚きはなかった。
彼の死は、既に都市議長さんによって予言されていたから。
『あの方に死を決せられて、それでも生き延びる自信があるのか?』だっけ? あの人の慧眼が的中したという結果があるだけだった。
……あ。
もしかして……。
「そうギズドーンが賜った死も、我らを侵す呪いも、源は同じ方なのじゃ。その理由もな、あの方より直接宣告された」
メドゥーサ様か……!?
山の主にして神にして魔というべきあの方なら、遙か遠くにいる誰かを呪うなんて朝飯前に思える。
「ギズドーンをギルドマスターに任命したのは他ならぬ我らギルド理事會。さらに先代のギルドマスター離任に伴い、その後釜を會議の上で承認した。ギズドーンは主だった功績はないものの、王家に近い大貴族の端に連なる者。ここらで経歴に箔をつけさせねば王侯との付き合いに支障が出るやもとおもねった人事であった……」
「それで僕たちの街は大きな迷をこうむったんですが」
ここ王都のような栄えた土地にいる人たちは、何か問題のあるヤツはすぐにでも地方に送ってしまえばいいと考えているようだ。
地方は人材のゴミ捨て場じゃないんだぞ!!
「キミらの怒りももっともだ。ワシらが今、その安易な判斷の報いをけている事実を思えば……!」
「アナタに呪いをかけたのは、僕らの街の近くに住まう魔の山の主ですね?」
メドゥーサ様の名を直接上げるのは避けた。
なんか恐れ多くて。
「……いかにも。ギズドーンのバカめは保からあの方へ刺客を送ったそうな。あの方の怒りを発し、街を滅ぼさんと。何と愚かな……!」
はい、愚かです。
「ヤツは神の意思を侮りすぎた。ヤツの淺知恵など通用せず神罰は、それをけるべき者へと的確に下された。もっとも罪が重いのは悪を計畫し実行した者。その張本人であるギズドーンは、既にもうこの世にない」
「次は、ギズドーンの橫暴を許した者に罰が下ると?」
「その通り、ワシらのことじゃ」
ギズドーンをあの街のギルドマスターに推し、並々ならぬ権力を與えた……ギルド理事會。
それがメドゥーサ様の神罰の標的となった。
かつて僕たちは、命を賭してメドゥーサ様に直談判し、何とかギズドーンの罪が街全に適用されることを防いだ。
アイツの勝手を許し、暴走を防げなかった僕たち全員が裁かれるところだったんだ。
僕たちは神の怒りの範囲から外してもらえることが葉ったが、そうでない者もいたってこと。
それほどに人間を超えたモノを怒らせるのはげにも恐ろしきことだった。
……でも僕が出発する時なんも言ってなかったよな、あの人!?
一言あってもよかったんじゃね!?
「それでギルド理事さんはこんな狀態に……?」
「もうかれこれ半月、この地獄の苦しみにもがいておる。こんなに苦しいのならいっそ殺してくれと思ったぐらいじゃ。しかし、希もあった」
希?
「キミたちのことじゃ。あの方は我らに呪いをもたらすのと同時に、このようにも告げられた……!」
以下、ギルド理事さんの語ったことの要約。
メドゥーサ様はかく語りき。
もうすぐ騒の中心となった街から二人の若者が來るんで、全力でもって縋りなさい。
きっとその子らがアンタたちを助けてくれるでしょうよ。
……と。
「件のエフィリト街からA級昇格の審査をけるために若い冒険者がやってくると聞き、すべてが符合した。キミたちこそが我らの救世主であると……我々をこの苦しみと死から救い出してくれると……!」
「えー?」
「そちらの若い娘さんが付き添っていることも聞いて確信したものじゃ。あの方は二人の若者と告げられた。神託はまさしく仔細に渡って間違いがない……!」
ここに來てやっとわかった。
一度はギルド付嬢とトラブルを起こして席を蹴った僕たち。そんな若者に対してギルド全がこうまで下手に出る理由が。
彼らは、メドゥーサ様に掛けられた呪いを僕たちなら解けると期待している。
それで縋る思いなんだ。
そんな相手を門前払いにした付嬢をブチギレてクビにもするわな。
しかし、実際のところどうなんだ?
彼らのみは、僕らの手で呪いを解いてもらうことに違いない。
しかし僕は呪いの解き方なんて全然わからないぞ?
そういう時は……?
「スェル!?」
「はい、この呪いの解き方はママから教えてもらっています」
やった!
さすが神にして魔の娘!
こういう時は誰より頼りになる!!
「解呪剤を飲めばすぐによくなると思います。ママも宣告したんなら、今の私の手に負えないほど重い呪いは課さないでしょうし」
「なるほど」
でもそれって逆に言えば、スェルにもどうにもできないぐらい強力な呪いも、やろうと思えばかけられるってことかな?
今こうして、生かさず殺さずみたいなじで苦しめているのは、ギズドーンを罰した時と違い、直接的な損害に関わっていない理事さんには命までは奪わない道を殘しているからではあるまいか?
【書籍化】宮廷魔導師、追放される ~無能だと追い出された最巧の魔導師は、部下を引き連れて冒険者クランを始めるようです~【コミカライズ】
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