《【書籍化決定!】最強スキル持ちは、薬草採取しかできない》42 解呪剤を求めて

「げに遠大なるは神の思し召しよ。不敬の罪には関わりある者まで徹底して裁きながら。その奧に許しの道を殘しておられる……!」

正直、ギルド理事さんがこんなにも責め苦しめられているのはギズドーンのとばっちりでしかない。

しかしアイツをギルドマスターに任命したのはギルド理事會だし、責任がまったくないかと言えばそうでもない。

神に逆らうとはそう言うことなんだろう。

メドゥーサ様だってを守るためにも、自分に牙剝く者は徹底してやり返すのは當然のことだ。

改めてギズドーンの仕出かしたことがとても軽はずみなことだったと思い知らされる。

「スェル、々やんなきゃいけないこともあるけれど、ここは……!」

「わかっています。解呪剤の作を最優先しましょう。薬で助かる人を苦しんだまま放っておく人に薬師の資格はありませんから」

さすがスェル。

お父さんから薬師の心構えを叩きこまれている……!

「おお、なんと慈悲深い……!!」

病床で涙するギルド理事さん。

呪いに何日も苦しめられ続けて神も參ってるんだろうけれど。

「このたびの災いは、我らがキミたちの街へと送り込んだようなもの。恨まれていても仕方ないのに、そんな我らに救いの手を差しべてくださるとは……!?」

「病や怪我で苦しむ人に薬を処方するのが薬師の仕事です。アナタは病気でも怪我でもありませんが……」

ギルド理事さんのスェルへの眼差しが、天使でも崇めるみたいになっていた。

スェルが天使。

あながち間違っていないかもしれないが……!?

「だからこそ解呪剤の作には、普段使われない特殊な材料が必要です。それが都合よく手にればいいんですが……!」

「それこそ我々にお任せください!」

り行きを見守っていた書さんが言う。

手困難な素材の確保こそ冒険者の仕事。特にここ王都の冒険者ギルドならば常時貴重なモンスター素材や薬草鉱石を所蔵していますし、なければクエストを出して取ってこさせればいい。理事會の壊滅はギルドの存続を左右します。A級冒険者とて員する理由になりましょう!」

「そんな大袈裟な……!?」

それにギルド理事さんって一人じゃないでしょう大勢いるんでしょう?

こういう言い方はアレですが、こちらのお一人が何とかなったとしても他の理事さんが無事なら理事會も立ちいくんじゃ……!?

「全員です」

「はい?」

「ギルド理事會を構する理事三十一人全員が呪いに苛まれています。我が主人だけではないのです。皆さま一人の例外もなく寢臺から出られぬほどに衰弱し、現在ギルド理事會は機能不全に陥っています」

「なんてこったい」

さすがメドゥーサ様、いざ報復するとなったら一切の手抜きがない。

関係者皆殺しにする気概でおられる。

怖い。

「だったら解呪剤も量がないといけませんねえ。すると素材だって必要量が増す……」

「左様ですね、しかしご安心ください! ここ王都の冒険者ギルドにかかれば手にらない素材など……」

「エンシェントドラゴンの生き

「は?」

「『古代竜』とも稱されるエンシェントドラゴンから生きたまま採取したしいんですけどあります? ママの呪いをはね返すには數百年を生き延びて神格を備えた竜の力が必要不可欠なんですけど?」

そう告げられた途端、書さんの顔が蒼白になった。

理事さん本人も表に絶が浮かんでいる。

「ままま! ちょっと待ってくださいッ!!」

そして慌てだす。

「エンシェントドラゴンですって!? そんな超大の素材が必要なんですか!?」

「手にらないんですか? 何でも揃うって言ったのに?」

「何でもとは言っても限度があるでしょう!? この地上に君臨する、神にもっとも近い超越者それがエンシェントドラゴンですよ!? 迂闊にれば國が滅びかねません!!」

「ウチのママもそうですけど……?」

そうそう。

アナタたちは既にっちゃいけない神にってるんですよ。

それでこの危急存亡に陥ってるんですから、助かりたければ腹を括らないと。

「しかしエンシェントドラゴンが相手となれば討伐を條件にれなくても余裕でS級案件です……! ということはS級冒険者をかさなければ。しかし基本的に理事と同格の権限を持つ上に、気まぐれで気難しいアイツらをかすには……!?」

書さんが頭を抱えてしまった。

どうやら『ギルド理事を呪いから救え!』ミッションは早速暗礁に乗り上げた模様。

「あの、だったら……!」

そこへさらにスェルが言う。

「エンシェントドラゴンの生きは私たちで用意しましょうか? ちょうど手っ取り早く手にれる方法がありますんで」

「古代竜の素材を!? そんな方法があってたまりますか!!」

あからさまに揺して困していた。

「ここへ向かう直前にママから教えてもらったんです。最初は『何だろう?』と思ったんですけど。今になってやっと意味がわかりました。ママはこうなることを完全に予測していたんですね」

何しろ呪いをかけた本人が彼だからな。

メドゥーサ様は、自分を害そうとしたギルドの一族郎黨消し去るつもりで、その救済方法も実の娘に授けていた。

こうなるとわかってであることは疑いない。

罰することを躊躇せず、それでいて悔い改めれば助かる道をちゃんと殘してあるのが神の所業か……。

「……お願いしたい。偉そうなことを言っておきながら慙愧に堪えません。我々ではエンシェントドラゴンの生きを手にれるなどは一朝一夕ではとても無理です……!!」

「ただ、私一人では不可能です。相手は昔から生きている竜なので、薬師の私なんかがとても敵う相手じゃありません」

荒事を擔當する人材が必要ってことか。

ならば、それは僕に任せてもらおう。

僕の能力が、その古代竜とやらにどこまで通じるかはわからないが、消し去るだけしか能のない僕がここで役に立たずしていかがする。

そりゃ、ここでならもっと経験富な現役A級冒険者などを護衛につけてもらえるのかもしれないが……。

ずっとポジションを守ってきたスェルの隣を、今さら誰かに譲るつもりはない!!

「僕も行きます。エンシェントドラゴンの生きは僕とスェルで採ってきましょう」

「エピクさん!!」

なんか極まったスェルに抱き著かれた。

そこまでするようなことを言ったつもりもないんだが、スェルもここ數日行を一緒にしたアレオくんたちカップルの影響をけたのか?

「しかし……エピク様が実力者だという話は聞き及んでいますが……!?」

それでも不安そうな書さん。

そりゃあそうだろうよ、初めて會うよく知らない相手に命運を託すのは。

「よいではないか、彼らを信じよう」

それに比べて肝の據わったギルド理事さん。

病床にあってもその神の落ち著きは、書さんより強い。

「古代竜が相手では、いかにA級冒険者であっても太刀打ちはできまい。そんな者どもを護衛につけても無駄な人死にが出るだけじゃ。それならば彼らにすべてを賭けた方がより賢明であろう」

「左様で……!?」

「聞けば二人は、古代竜より遙かに偉大なこの呪いの主と対峙し生還したという。であればみは充分にある。改めて二人にお願いしよう。サポートにも全力を盡くす。必要なものがあれば何でもそこの書に申し付けてくれ」

それは有り難いですけれども。

でも僕から必要なものってあるかな?『消滅』スキルがあるから、武とか元々いらないし。

まあスェルの方に々あるかもしれないからすべて彼に一任しよう。

「ときにエピクくん」

「はいッ?」

まったく予期せぬタイミングでギルド理事さんから話しかけられた。

「キミはA級の認可をけるために上京してきたのだったな、それなのにキミの都合もかまわず、こちらの用件ばかりで申し訳ない……!」

「こちらが急なのはわかっていますから」

アナタの今にも死にそうな様子を見て『それはさておき』とか言えないよ。

言えたら鬼だ。

「キミが地元の狩り場にてA級相當モンスターを日常的に狩っている旨、報告はけておる。本來なら真偽を確認するためにこちらでも何かA級相當のクエストをけてもらい、無事クリアすることで正式に昇格認定するのが一般的な流れじゃ」

「そんなじですか……?」

「しかしキミがこれから挑もうとするエンシェントドラゴンは、A級相當モンスターが雑魚になってしまうほどの大難敵。無事目的を果たせたなら、キミの実力はA級など軽く凌駕していると言って過言ではない」

……。

結局何が言いたいのだろうか、この人?

「そこでじゃ、この一件キミの昇格を判斷するクエストとして扱おうと思う。そして無事クリアした暁にはA級ではなく、S級冒険者に昇格してもらおうと思う」

「はい?」

いやいやいやいやいやいやいやいや……!?

僕A級になるためにわざわざ王都まで來たんですけども。それがS級じゃ話が違うじゃないですか?

え? SはAより上?

じゃあいいのか大は小を兼ねるのか?

「こちらから無茶ばかりを言っておるので、せめてもの詫びじゃ。無論、助けてもらう禮をそれだけで済ませるつもりはない。クエストクリアの報酬はワシの私財からできる限りを割こう。それゆえよろしく頼む」

「そんなおかまいなく」

僕としては、この行が昇格するという目的に兼ねられて助かっていますよ。

それではいっちょ行ってみるかな。

古代竜退治に!

……え? 退治しない?

だけ取ってくればいい?

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