《【書籍化決定!】最強スキル持ちは、薬草採取しかできない》89 反撃の結婚式
新王による宣戦布告。
しかも國最大の信仰団を相手に。
その天地を揺るがす大事件に、この場に居合わせた群衆は実際揺した。
大聖に伴われて押し寄せた五千人の信徒はもちろん。
それを押し戻そうとお城から出てきた吏や騎士やメイド。その辺から集まってきた野次馬。
そして僕。
その誰もが証人として新王ブランセイウス様の宣言を耳かられ、しかと記憶に刻んだ。
「何を……! 何を言っているのです……!?」
大聖イリエリヒルトはワナワナと肩を震わせて、今にも喚き散らそうと高ぶる気持ちを抑えている様子。
「我ら大聖教會を敵に回すなど……気はたしかですか? この國の信仰……心の安寧、神の正義を擔う我々を……!!」
「信仰自は否定しない。人が心やすらかに生きていくために神への祈りは必要なだろう。しかし、必要なものに寄生し私腹をやしてきた者たちは斷固排除しなければならぬ」
ブランセイウス様の心強いお言葉。
今の彼は、國王としての威厳と自信に満ちている。
「信仰のために人を殺していいなどという理屈はない。お前たちがこれまでやってきたことは、信仰という正論に卑しい私を隠した侵略行為だ! 私の治世では、そのような行為は斷じて許さぬ!!」
右手に剣を、左手にしいの肩を抱き、高らかに宣言するブランセイウス様の姿は明らかに王様だった。
その姿を目の當たりにして涙を流し、自分から跪く人まで現れる。
「大聖教會の存続は認めよう。冠婚葬祭もこれまで通りお前たちの取り仕切りで行うがいい。……ただし! これより教會が武力を行使することはいかなる理由があろうとも許さない! 政治に口出しすることも! お前たちが私的に有する聖兵も解散を命じる! 即刻武を放棄し、兵は一介の神に戻るがいい! 従わないのならば國家への反逆とみなす!」
「そんな橫暴な!!」
大聖が金切り聲を挙げてぶ。
自分たちの栄華が確定する場と思って乗り込んできたのに、逆に斷罪の場と化すのだから、そりゃあびたくもなるだろう。
「橫暴か? そもそも王都の中で國王の直接指示に従わない軍事力が駐屯できることが異常なのだ。突然反を決行されたら鎮圧するのは大仕事。解散が嫌と言うのなら教會の総本山を、王都から離れた街へと移すがいい」
「そんなッ!? 王都から追い出されたら有力な支援者との繋がりが斷ち切れてしまいますわ!」
大聖だけでなく、彼が引き連れてきた信徒たちも口々に新國王への不平を鳴らす。
しかしそれ以外からは何のブーイングも出なかった。
野次馬もあとからどんどん集まってきて今やイリエリヒルト側の信徒五千人を上回っている。
そしてその誰もが不平も不満も鳴らさない。
ブランセイウス様の主張は正しいと、暗に肯定する沈黙だった。
「なんだ……!? 何なのです? 敬虔な信徒たちよ、教會の聖なる領域を踏み荒らされようというのに何故反対しないのです!?」
「人のすべてが自分に従う敬虔信徒だと思っているなら、大間違いだ」
ブランセイウス様の反論開始。
僕も『よッ、待ってましたー!』と合いの手を忘れない!
「人に神は必要だが、ほとんど多くの人々は神に従うのであって教會に従うのではない。自分たちが神の代理人を務めるからと言って、自分自が神そのものだと勘違いするのはもっとも罪深いことだ」
「何を……!? わたくしたちは神の心を遂行するために……!?」
「もうよかろう、儀式を行う」
儀式?
一瞬何のことかと戸ったが、すぐに結婚の儀式であることに気づく。
もちろんブランセイウス様とティターニア様のお式だ。
「この場で婚姻を整えられるようにするとは気の利いたことだ。それが結婚誓約書だな? サインしてやるからさっさとよこせ」
「なッ! それはわたくしとアナタが結婚するために用意したもの! 他のの名前を書くなど斷じて許しません!!」
飛びかかりそうになった大聖を、僕が立ちはだかって押しとどめる。
「くッ!?」
「依頼主にれるな」
地味に仕事している僕。
大聖は、鬼の形相で忌々しげに……。
「こんな汚れた結婚を大聖教會は絶対に認めませんよ! 我々が認めるのはわたくしとアナタの結婚だけです!」
「それならそれでけっこうだ」
思った以上にあっさりしたブランセイウス様の返答。
「その時は私たちの婚姻を王権の下に認めるだけのこと。そうなれば今まで教會が執り行ってきた冠婚葬祭が、お前たちの獨占ではなくなるということだ」
「……ッ!?」
その言葉に目に見えて息を飲んだ大聖。
このままブランセイウス様たちが自分たちの判斷で結婚を強行すれば、これから多くの新婚夫婦がそれに倣うことだろう。
大聖教會なんか無視して自分たちだけで結婚を決められる。
僕もスェルと正式に式を挙げる時は教會なんかに話を通さないぜ。
そうなったら教會の権威も形なしだ。
支払われる寄付もなくなって財政もひっ迫するだろう。
既に兵力を取り上げられ、異教を信奉する土地を攻められなくなった狀態から式典を司る権利まで失えば、教會はすべての権益と能力を失うことになる。
そうなれば後に待っているのは完全なる消滅か、一か八かの完全対立しかなくなる。
自分たちのみを葉えるのにかこつけて敵対相手にこんなエグイ選択を突きつけるなんて。
やっぱりブランセイウス様は稀代の為政者なのか!?
「さあお前が決めるがいい。妥協か? 徹底抗戦か? お前の一言で大聖教會の命運が決まるのだ。大聖の肩書きに相応しい決斷となろう」
「……ッッ!! ……ッ!」
大聖は、表だけで人が殺せそうなほど凄まじい憤怒の形相を作ったがそれ以上はできなかった。
毆りかかることは無論、任せに罵詈雑言を喚き散らすことも。
何とか……壽命を三年ほど削りそうな極限の忍耐を発揮して……。
フゥ、と実に濃厚そうなため息をつく。
「……司祭、結婚誓約書を渡してあげなさい。そして神の名の下に……我らが崇める神の名の下に……ッ! この夫婦を認めて差し上げなさい……ッ!」
「よ、よろしいので?」
「何度も!! 同じことをッ!! 言わせないでッッ!!」
ついに我慢が利かなくなって大聲を上げる。
可哀想に老いた男司祭はビビりつつ大慌て。
「ででででで……ッ! ではこの誓約書に署名を……!!」
「よかろう。……ティア、ここにキミの名前を……」
「アナタが教えてくれた人間の文字ね? ちゃんと覚えているわ」
ティターニアさんも羽ペンを流麗にって、その仕草だけで見る人を魅了するほどだった。
ブランセイウス様も軽やかにペンを走らせて、署名完了。
「でででで……! では誓いの言葉を……!」
「私、ブランセイウスはティターニアを妻とすると誓う」
「私、ティターニアはブランセイウス様を夫にすると誓うわ」
つつがなく遂行される儀式。
このさまは騒ぎに集まった観衆聴衆がつぶさに確認した。
「こここここ、これにてブランセイウスとティターニアの男は夫婦となった。病める時も健やかなる時も、二人共に歩まれるよう」
教會が神の名の下に二人の婚姻を認めた。
それは互いにとって妥協の産であろうが、教會には完全敗北だろう。
大聖を王妃にして、王権を取り込み好き放題する計畫が頓挫したのだから。
それだけでなく、教會側が悪魔の手先呼ばわりした妖王を妃に迎えたとなれば、王家と教會の完全な手切れと皆がけ取らざるを得ない。
それもまた大聖教會にとって大きな痛手だった。
「とりあえず賢い選択をしたなイリエリヒルト。しかしだからと言って聖兵解散の勅命は撤回しない。即刻総本山に帰り命令を遂行しろ」
「アナタは愚かな選択をなさいましたわね。どうして神の定めた運命に抗おうとするのでしょう? 選択を間違うほどに地獄が近づくだけだというのに……!」
まったくもって思い通りに行かなかった大聖は、怒りので魔のごときおどろおどろしさ。
もちろん本の魔で神でもあるメドゥーサ様の迫力には到底及ばないが、それでも子分の聖ヒサリーヌと比べたら大蛇と思えるほどの恐ろしさがある。
「ですが、數多の間違いはまだ取り返せる間違いですわ。我ら大聖教會ではやむなき理由があれば離婚が認められますもの。アナタもすぐに自分の愚かさに気づいて、その婦を手放すことでしょう」
「私の妻を侮辱するな。このまま貴様を牢にぶち込んでもいいのだぞ?」
「まあ、話をお聞きください」
いつの間にか冷靜さを取り戻した大聖の表が、靜かな淑に戻っていた。
卻って不気味。
どうした?
「ブランセイウス様は國王におなり遊ばしでしょう? であれば世継ぎを殘すことは絶対の義務のはず」
「それがどうした?」
「妖に果たしてそれが務まりますでしょうかね? ただでさえ種族の違う相手、異種族との間に子が授かりますやら……?」
「……ッ!?」
その言葉にブランセイウス様の表が変わる。
結婚すれば子どもができるものだが、王様にとっては他の家庭以上に重要なこと。
何しろ王様は次の代を絶対殘さなければいけないのだから。
王妃様との間に子を授からない場合、二人目の妃を娶ってでも……という話をどこかで聞いた。
それはブランセイウス様の立場に當てはまる。
「わたくしに求婚する時は、そのとの関係をすっかり解消なさってくださいませ。わたくし第二妃などはゴメンですわよ」
「その心配はないわよ」
今まで事態を見守るのみだったティターニア様があっけらかんと言った。
「私とブラちゃんのの結晶なら、とっくにもう生まれているじゃない。こんなに立派になって、お母さんは嬉しいわ」
は?
ブランセイウス様とティターニア様の子どもがもう生まれている?
どこに?
え?
何でこっちを滅茶苦茶見詰めてるんです?
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