《【書籍化決定!】最強スキル持ちは、薬草採取しかできない》93 捜査権

「……充分にあり得る話だな。大聖教會の勝手悪辣さは言うまでもないが、それ以前に既に一度行った悪事だ。繰り返すことに躊躇はあるまい」

ブランセイウス様は深刻そうに頷く。

それでも深刻ぶるだけで狼狽えようともしないのは、さすがだ。

毒殺のターゲットは他でもない自分自なのに。

己の命が脅かされることにしの恐怖もじていない。

「ヤツらがその愚行に走るには、まだまだキミの人となりを正しく理解していない……という前提が必要だが。たとえ私を消し去れたとしても、キミが自由にれる存在などではないというのはすぐにわかるだろう」

「僕だって彼らの思い通りになるつもりはサラサラありませんが……縁起でもないことを仰らないでください」

今ブランセイウス様を失うことは、全國民の悲しみとなるだろう。

そんな大切な人を自分らの都合で簡単に消そうとしているのが大聖教會だ。

「しかしあの権力に憑りつかれたイリエリヒルトなら充分にやりそうなことだ。去り際の捨て臺詞も、言葉の裏に忍ばされたのは私に対する抹殺宣言なのだろう」

「わざわざ口にしなくてもいいのに」

オブラートにたっぷり包まれていたとしても気づく者は気づく。

明敏なブランセイウス様ならなおさら。わざわざ相手の警戒を呼んで、いざ狙うぞとなった時に功率を下げる愚かな振る舞いだ。

「それでも言わずにはいられなかったんだよ。あのようにプライドばかりが高いはな。忍耐するにしても負け犬の遠吠えぐらいしなければ慘めさに耐えられんのさ」

「なるほど」

でバッチリと害意がこっちに伝わってきて、対策を立てる必要じさせてくれたからよかったが。

「大聖教會……というよりイリエリヒルトが私の毒殺を企てているかもしれないというのはわかった。それでキミには対策があるんだろう?」

決めつけたように言う。

それはただの決めつけではなくて一定の拠があって言うんだろう。

僕が何の作戦もなく、ただ予測だけを言うわけがないと思っているんだ。

「大聖教會は、アレでも一応神の信徒です。毒のエキスパートでは決してない」

そんな彼らが毒を使うんなら、専門家に任せるという方法がもっとも現実的だ。

「そして毒を使うなら薬師です」

「薬と毒は、本的には同じものだからな。遙か辺境の地で毒を使われた時も、薬師であるキミの婚約者が解決したんだったな」

「……ええ」

なんだろう?

スェルが話題に上がった時に発生する謎のは?

「あの、誤解しないでください。大聖教會の側に毒を用意したのも薬師だと思います。しかし薬師協會は、いかなる目的でも毒の製造利用は徹底して止しています。最大の忌です」

「ふむ?」

「これに違反した薬師は協會を除名されるだけでなく、刺客を差し向けられるんだそうです。それぐらい薬師の業界で、毒を扱うことは罪深い」

デメテールの土地における騒は、既にスェルを通じて薬師協會本部へ通達されている。

すぐさま対策が取られ、もう今頃は行に移されていることだろう。

そういう裏方の活は薬師協會の方ではなく薬師結社の領分になるそうだが……。

「まず間違いなく、大聖教會に肩れした毒使いは、同業者の掟によって消されます。ブランセイウス様には王様として、そのことを容認してほしいんですが……?」

「……各職種ギルドや協會には、ある程度の裁量を許している。部違反者に私刑を課す権利もな。とはいえエピクくんの推理が事実だとしたら、その毒使いは弒逆犯。しかも大聖教會の不正の生き証人にもなる。見つけ出せたなら是非ともこちらに引き渡してほしいものだが……」

「そのように伝えておきます」

さすがに國王様を殺されてるのに『々に済ませます』とはいかないか。

國家の一大事だもんな。

薬師協會も、こんな重大事に発展しかねないから薬師結社という裏組織まで作って厳重管理してるんだろう。

今回、その努力が見事虛しく不祥事発生してしまったんだが……。

薬師協會及び結社は、全力を懸けて犯人を見つけ出さないと自分自の存続にも関わる。

「僕も捜査に協力するつもりです。大聖教會と繋がる毒使いを必ず見つけ出します」

「それが、これからのキミの行方針か?」

「はい」

まず前提として、今なお終結せずに絶賛継続中の大聖教會との戦いから降りるつもりはない。

いまだしぶき吹き荒れるようなハッキリした戦いになっているが、ドロドロ渦巻く戦いはもう後戻りできない段階にまで進んでいる。

その最中で『もう関係ないです』とばかりにエフィリト街に引っ込むような不義理なマネはできないし、何より大聖教會は放置しておけばいずれ必ず僕らに忍び寄ってくるだろう。

さっき判明したばかりの僕の生い立ちのこともあるが、僕らの街を守護してくださるメドゥーサ様はいついかなる時も彼らにとって邪魔な存在なのだから。

僕自の安全安心のためにも大聖教會は今のうちに息の止まってほしいんだ。

「王宮にも有能な追捕使はいる。彼らに任せてもいいのではないか?」

「國家がけば相手方にも知られるでしょう。裏をかくためにもここは僕らに任せてください」

なんせS級冒険者ですので、僕。

「一人の協力も必要ないのか?」

「薬師協會は、自分たちの持つ製薬のを外にらしたがりません。だからこそ関係ない者は毒薬を作れなければ手もできない。そのおで防がれた暗殺事件は數多いと思います」

「しかし我が兄の件は防げなかった」

「だからこそ薬師協會に挽回の機會を上げてください。彼らは裏切り者を見つけ出し、永遠に闇に葬り去るでしょう」

もちろんブランセイウス様に有益な報をすべて吐き出させてから。

「その上で危険な毒の知識を封じ込めます。僕の婚約者も薬師ですから、僕もと見做され一緒に捜査することができます。この件は僕に任せてください」

大聖教會が毒殺でもってここまでの狀況を有利に運んできたからには、彼らが囲う毒師は重要な手札の一枚に他ならない。

僕らが追って捕獲することができれば、大聖教會は攻撃手段の一つを失うことになり、武がなければ刺すこともできないのでブランセイウス様の安全も保障される。

大聖教會が手をこまねいていれば、その間に議會を率いて、大聖教會に不利な決定をいくつも下すことができる。

「わかった。毒師についてはエピクくんに任せよう」

「念のため、こちらで進展があるまで口にれるものには注意してください」

今ブランセイウス様に倒れられては困りまくるからな。

いや、これからの國の未來についてもブランセイウス様が末永くいてくれなければ困るから毒殺は斷固NO。

ノーモア毒殺。

「あら、それなら大丈夫よ」

それまでまったく沈黙を保っていたティターニア様が言った。

「妖も毒に通じるものだから大抵の毒は無効化してみせるわ。ブラちゃんを殺そうとするものなんかシャットアウトよ」

「「え?」」

意外なところで唐突に王妃としての有用を示してくるティターニア様だった。

同日。

王都の薬師協會本部にて。

「エピクさん」

「スェル、長らく放っておいて悪かった」

別行をとっていた婚約者との再會を果たす。

も王都へ來ていたのだ。

勇者気取り王子様タングセンクスの件で、僕が召喚をけたのと同時に。

僕を心配して……ということもあるが、その他にも用件があった。

そう、大聖教會が使っていた毒についてだ。

基本この世界で毒を扱えるのは、薬師協會に所屬した薬師しかいない。

しかも厳正な審査をけて薬師結社にも所屬した一人前の薬師になって初めて、毒薬のような難しいものの作にも攜われる。

そこまで厳正に扱ってきた毒薬が悪用されたとなれば一大事。

薬師協會及び結社は解決しなきゃいけないのはさっき話した通りだ。

ということでスェルも目撃者として速やかに報告する義務を持ち、そのまま犯人究明に攜わっている。

薬師結社の長老たちと共に。

「おおおおおおおッッ! 婚約者殿ぉおおおおおッッ! 助かりましたぞぉおおおおおおッッ!!」

一緒にいた結社の長老ジジイさんたちに抱き著かれる。

やめてほしい。

「アナタのとりなしのおで國の介を防ぐことができました!」

「なんとお禮を申し上げていいか! やはり持つべきはS級冒険者の旦那さんじゃのおおおおおおおッ!!」

アナタの旦那さんみたいな言い方やめていただけません?

主義である薬師協會&結社にとって國の介は死活問題。いくら大事なだと言っても國に言われれば開示せざるを得ないし、まして國王殺害の容疑が掛けられていればなおさら。

いつぞやの昔には、とある強引な王様が薬師協會に圧力して毒の製造、利用法を渡しように迫ったこともあったらしいが、薬師側は協會結社の表裏協力して一切応じなかったそうだ。

もしその時屈していたら今頃王室には毒り混じり、お茶もおちおち落ち著いて飲めない危険な場所になっていたことだろう。

今回明るみになった國王毒殺事件は、そうした昔からの苦労が一気に水泡に帰しかねない由々しき事態。

さらにはデメテールの民さんたちに毒が使われたのも、ことによっては民族紛爭に陥りかねない超弩級の変事。

だから薬師の皆さんも必死になって犯人を追っている。

今回は裏の薬師結社が主立ってくらしい。まあそもそもそういう組織だし。

「とりあえず婿殿のおで、我ら獨自で犯人を追えそうじゃの。まずは一安心じゃわ」

だからそれだとアナタん家の婿殿みたいなんですが。

今日ブランセイウス様に進言したのも元々は結社の長老さんたちから言い含められていたこと。

図らずも僕が息子であることが判明したこともあってか思ったよりスムーズに聞きれてもらえた。

「しかしそれも、僕らが果を上げないと意味ないですよ。捕まえられないなら容赦なく介してくるでしょう」

僕が王宮ですったもんだしている間に進展はあったんですか?

「もちろんですよ、ここまででわかったことを聞いてください!!」

スェルが自信ありげに言った。

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