《【書籍化決定!】最強スキル持ちは、薬草採取しかできない》95 毒師の謎

一旦話を整理しておこう。

俺たちは現在、大聖教會が使う毒を追うミッションに挑戦している。

ヤツらは『毒』というツールでもって邪魔者をながらに排除している。

その隠れた悪事を暴けば、相手にダメージを與えられるしブランセイウス様の安全も上がるだろう。

様々な手を進めた末に、浮かんだ一つの手がかり。

ヤツらが使ったという毒をれてあったガラス瓶。

毒は狀で、すべてを出し切ったあとも薄いとなって僅かな毒が、瓶の側にこびりついている。

それが重要な手掛かりになろうということだ。

瓶に殘った僅かな毒の分、原材料を突き止めれば、この毒がどこで作られたのかもわかるかもしれない。

あるいは調合の癖などがあって、それでだれが作ったかの手掛かりにもなったり?

「でも、こんなにない量でわかるものなの?」

殘っていると言ってもやっぱり空の瓶。

そこからこそぎ取っても確保できるのはせいぜい數滴といったところだろう。

ここから何かを調べるのは……何と言うか手掛かり不足ではないんだろうか。

「大丈夫です。それぐらいで逃げ切れるほど薬師結社は甘くないですよ」

「そうすか」

「薬師には薬師のスキルがありますので」

そうだった。

この世にはスキルという、げにも便利なものが存在する。

僕自だって『消滅』スキルという牛刀でニワトリを割くようなシロモノを持っている。

で世の中はスムーズに回っているのだ。

「薬師結社のお爺さんたちが『分解析』スキルで、どんな毒草が使われているか調べてくれました」

「役に立つんだあのジイさんたち……!?」

思わず失禮な言葉がれてしまう。

「あの毒に使われていたのはレギン草、キサ花のっこ、ジキュウバネの種子、赤いシバコラネアの樹……。ヤリドクガエルやドクドクフグなどのの毒も使われていますね。それにヒ素や鉛も々……」

「た、たくさんあるんだね」

「そうですね。相當に複雑に調合されています。この毒に期待された効き目を考えれば腑に落ちますけれど」

この毒を使われたデメテールの民たちは、水源を通じて井戸に溜まった水や、その水をかけられて育った農作を経由して服毒された。

最初の効き目はとても弱く、しかもバラまかれた分多くの人々が一斉に癥狀を訴えるから、まず伝染病の発生を疑われたものだ。

要するに『毒ではなく病気』と思わせるための巧妙な調整が行われた毒。

その分、んなものを混ぜ合わせていたってことか。

もう一件の毒殺事件……王様の急死だって最初は毒ではなく『神罰』として騒がれていた。

どちらも見事に周囲の人間を騙せた。

見のきっかけは僕やスェルのような、毒に関して一見の覚えがある者が関わっていたから。

そうでなかったらこの目論見は無事完遂していたかもしれない。

「ここからわかることは、この調合を行った薬師……いえ毒師に相當な腕前があるってことです。多くの経験、そして僅かな分量を見極める鋭い覚がないとこんなに微妙な調整はできない」

スェルの意見に僕も大いに頷く。

素人目でもける印象だ。ならばこれは大きな手掛かりにならないか?

「そんなに腕がいいなら世界に何人といないし、名前だって売れてるだろう。そこから犯人を絞り込むことができる!!」

「…………」

「ん?」

どうしたの?

そんな無言になって?

「私もそう考えました。そして薬師協會にある薬師たちのリストと照らし合わせて、教會さんと繋がりのありそうな腕の立つ薬師をリストアップしていきました」

「おお!」

順調そうじゃないか!

スェルの分析によれば、使われた毒は相當高度なシロモノなんだろう。

そんなものを作れるハイレベルな薬師はなく、絞り込むのも苦労はないはずだ。

いいものを作ったおかげで卻って命取りになる。そんなことがあり得るんだな。

「そして絞り込みした結果……」

「うんうん!」

「誰も殘りませんでした」

「うん?」

誰も殘らなかった?

どういうこと?

「薬師協會には所屬する全薬師の名前と所在地がリストになっています。冒険者ギルドとか鍛冶組合とかだとここまで厳正な管理はしてないでしょうけれど。薬師に関しては重要なことなので……」

「ああ、はい、わかります……」

薬師協會には全世界の薬師を記したリストがあって、薬師結社はそれを自由に閲覧できる権限を持つ。

裏切り者を粛正することが結社の役割なんだから。

「さっきも言ったようにここまで高度な薬を作れる薬師は何人もいません。王都に住むのもごく數人……すぐに調査がってシロだと判明しました」

「おおう」

「王都から離れた土地に住む人も何人かいます。距離的に時間がかかるでしょうが、だからこそ教會さんと協力関係にあるとは考えにくいです」

純粋に距離が離れていて、どうやって毒作りを依頼して、どうやって出來た毒を送り屆けるねん……という話になるしな。

「薬師協會のリストにいない凄腕の毒師がいるとか」

「それはないんじゃぞぉおおおいッッ!!」

スェルの代わりに薬師結社の長老さんが力いっぱいぶ。

煩い何?

「こんなことが起きないために加した全薬師を登録しておるんじゃ!! 記載れなんてありえんわい!!」

「そして薬調合を學ぶには、薬師協會に所屬するしかない!! さらに深い知識を得るためには薬師結社にも誓いを立てねばならん! 我らにまったく関わらずに超ウィザード級の薬師になるなんて不可能じゃあああああッッ!!」

なんでジイさんたちそんなハイテンションを保っているの?

こんな推理パートで騒がれても煩いだけなんですが?

「でもとにかく、この線から毒師を見つけだすことは無理ってこと?」

せっかくいい合に進んでいっていたのに。

線が途切れてしまった。

「はい、なのでこれから新しいアプローチを試みます」

「新しいアプローチ?」

「私のスキルを使って……」

スェルの目の前になんか置かれた。

アレは何?

ガラスでできた明な……お皿みたいなもの?

円形の明お皿には、何かしらのが薄く張っていた。

「瓶から採取した毒です。うっかりらないでくださいね」

「ハイ……」

「この毒に向かって……『分解析・極』!!」

スェルが手をかざして毒皿の上へ!?

雙方の間からが発している!?

「これこそスェル様だけが使うことのできる究極解析スキルじゃあああああああああッッ!!」

まーたジイちゃんたちが元気。

「メドゥーサ様の娘たるスェル様は、あらゆる薬師の才能を超える!!」

「この方なら、ワシらのスキルでは探り切れなかったさらなる報をも読み取ることができるじゃろうすはぁあああああああああッッ!!」

「さすがスェル様!! 我らの希の星! スター! シューティングスターぁああああああッッ!!」

ジイさんどもがやたら浮かれているのって、もしかしてこれが原因?

スェルの薬師スキルにしてる。

「お母さんに々習ったものですから……」

と何でもないことのように言うスェル。

でもそれって凄いことなんじゃないの?

「『分解析・極』によって、この毒の製作者の名前がわかりました」

それって凄いことじゃないッ!?

霞の先に消えかけていた謎が、手をかざしてビャーッとするだけで解決したっていうの!?

「この毒を作った人はロドリンゲデス……という名前のようです」

「なんじゃと!?」

それに真っ先に反応したのは結社の長老ジイさん。

「バカな、何故あの男が……!?」

「知ってるんです?」

「かつて薬師協會に所屬しておった男じゃ……!!」

なーんだ、やっぱり関係者じゃん。

毒や薬の知識は薬師協會に所屬しなければ手にらない。

その大前提はやっぱり崩されていなかった。よかったよかった。

「いや、これはこれで問題ですぞ……!」

結社の長老さんが言う。

何か問題でも?

「ロドリンゲデスは、死んだはずの薬師ですじゃ」

何?

「ヤツが死んだのはもう二十年前。やはり悪辣な毒使いで、事態が明るみになり薬師結社から刺客を放たれましたじゃ」

「死もキッチリ確認したはずじゃ。何より薬師協會のリストから名前が消えておる。これは特殊な魔法がかかっていて、刻まれた名前の命盡きるまで、決して消えることはないはずなのですじゃ」

裏を返せば、登録された本人が死ねばリストに刻まれている名前が勝手に消えると?

凄い便利じゃないか。

しかしすると益々謎は深まる。

大聖教會に毒を提供している人は……ゾンビ?

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