《【書籍化決定!】最強スキル持ちは、薬草採取しかできない》105 深夜の襲撃

バカなどういうことだ?

「眠り薬です! 霧狀に散布して、呼吸するだけでって効くように作ってます! エピクさんは寢たふりしながら大分吸い込んじゃってますよ!!」

マジか!?

クソ、『消滅』スキルで洗浄……!

……ホントだ。

ウソみたいに眠気が消え去った!

さっきまでが鉛のように重かったのに、対処をとった今じゃ羽のように軽い。

「気づかれないようにや匂いを消す処置まで完璧です。この霧狀睡眠薬を作ったのは相當腕の立つ薬師ですよ」

……そのワードに、電撃的に思い當たる節があった。

「じゃあ、やっぱり當たりか……!?」

「私も気づくのに時間がかかりました。私はもうお母さんの加護で大抵の毒は効かないようになってるんですが、そのおで気づくのが遅れるなんて……ッ! これは対策を講じないといけないですね……ッ!!」

でも毒そのものが効かないなんてスェルの萬能大分上がってない?

僕とは別方向で無敵になっている。

「でも想定通りの展開ですよ。やっぱり相手はアクションを起こしました。恐らくはこの霧狀睡眠薬でしっかりきを止めてから、次の行を起こすはずです」

しっかり意識をなくした上で拘束するのか、それとももうここで息のを止めてしまうのか。

どちらにしろ、そこまで相手の思う通りにされるわけには……!

……ぐう。

「エピクさん!」

はッ!?

しまった、また眠気が……!?

「睡眠薬はまだ充満してます。一旦の薬を『消滅』させても、また新しく吸い込んじゃったら同じことの繰り返しです!」

たしかに……。

これじゃ埒明かないってことか。

『消滅』スキルによる服毒対策も萬全じゃないってことだな。

「この中和剤を飲んでください。この薬が効いている限り、大抵の薬は効力を失います。これからの戦いに必要なはずです」

「さすがスェル」

気が利く。

こんなものまで即座に用意できるとは。

そして彼の言うことにも実が伴う。

僕らはこの街へ、毒師を探し當てに來た。

そしていかにも毒使いらしい攻勢が今初めて仕掛けられてきたんだ。

問題の核心が近づいてきたと思わざるを得ない。

「このまま寢たふりを続けましょうエピクさん。絶対に相手側から次のアクションがあります」

「たしかに……」

眠り薬を撒いただけじゃ、翌朝でも『あーよく寢た』で終わりだからな。

絶対に起きる気配のない僕らに何かしら仕掛けてくるはず。

それは何だ?

……ガタ、と音が鳴った。

來た。

キィィ……と蝶番のれる音。

この部屋のドアか? カギは閉めておいたよな?

「隨分簡単にってきますね……」

スェルも小聲で言う。

ますますヤバさのゲージが上がる。

ここまで來てもう出方を窺う必要はない。

まさか『部屋を間違えました』なんてこともあるまい。

寢たフリを解き、こっちから飛びかかって一気に沈黙させる。

者は二人か。

片付けるのに二秒もかけなかった、音も立てなかったから仮に見張ってるヤツがいるとしても、この暗さで気づくことはまずあるまい。

「スェル明かりを」

「ハイハイ」

ノビた侵者の顔近くで明かりをつける。

確認のためにも必要なことだ。

「この顔は……知ってるぞ……!」

夕方にノシたベテラン冒険者()の一人だ。

これでハッキリしてしまったな。

襲撃の迅速さも相まって、冒険者ギルドはクロだ。

僕が直接辭去を告げた冒険者ギルドから報が流れなければ、このタイミングであわただしく襲ってきたりはしない。

「問題は、冒険者のどこからどこまでが違法に加擔してるかだけど……」

「考えてる場合じゃありませんよエピクさん! 今は行あるのみ!!」

スェルの言う通りだ。

こういう狀況の場合、この宿屋の一室のすぐ外か、何にしろ極めて近くに仲間が待機しているはず。

この侵者たちが戻ってくるのが遅ければ怪しむことだろうし、さっき顔を確認するために明かりも點けてしまったからな。すぐ消したけど。

が重要なこの場面で明かりがつくこと自怪しい。

この暗闇の中で燈火はメチャクチャ目立つことだろうから、外に待機している誰かも不審に思っている可能、大だ。

「このまま全力で強行突破してしまおう」

「全速ですね?」

そう全力で全速だ。

目指すは晝間のダンジョン探索で確認した、行き止まりの向こうの謎空間。

あそこにすべての謎の答えが詰まっていることは間違いない!

行くぞレッツゴー!

僕らは窓を蹴破り、外へ飛び出した。

既にもう非常事態なんだし、行儀よくドアから出なくてもいいなと思ったんだ。

そしてそんな僕らの判斷は正解だとすぐにわかった。

「なんだこりゃッ!?」

宿屋から外に出て、すぐさま異常に気が付いた。

大群が宿屋を取り囲んでいる!?

人の大群だ!

數からして百以上はいる。

月明りで照らし出された人の群、視界に収まっただけで背筋がゾクリとした。

「ひぃッ!? 何ですかアレッ!?」

僕に抱えられて一緒に飛び出したスェルも、同じものを見て驚愕する。

それぐらい生理的にゾワゾワする景だった。

「これだけの人數、どこから集めてきたんだ!?」

僕がそう思ったのは、訪れたこの街の規模を思ってのことだった。

この街はそもそも、山奧にあるダンジョンに付隨してできた旅籠町。

すべてがダンジョンに準ずる街なのだから、小さく淺いアルデン山渓ダンジョンに付隨したこの街だって小規模であるはずだ。

実際そうだし、総人口も百人ちょっとを超える程度が々だと値踏みしていた。

その雑に対して、目に前に広がるこの群衆。

辻褄が合わないではありません?

「総人口百そこらの小さな街で、百人以上の群衆が集まるって……。住人全員が集まらないと不可能じゃないか!?」

「そうかもしれませんエピクさん……!」

一緒にいるスェルが言う。

「あの群衆……男の人だけじゃなくての姿もチラホラ見かけます……! それにおじいさんおばあさん……あっちには子どもも……!!」

老若男揃い踏み!?

ということは……!

「本當にこの街の住民総出ってことです。この街は丸ごと毒師の支配下にあるってことなんですよ!!」

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