《視えるのに祓えない、九條尚久の心霊調査事務所》再會
それから巖田さんは無論逮捕され、リナちゃんが元の両親のところへ無事戻ることが出來たと聞かされた。
しばらくテレビニュースはそのことで持ちきりだったが、もちろん私たちの存在はなにも報道されなかった。半年間監されていた無事に保護される、と大々的に報道されているのみだった。
その時見たリナちゃんの顔寫真はロングヘアの可い笑顔の寫真で、ああ、元々はこんなふうに笑う子だったんだと思ってまたし泣けてしまった。
そしてし経った頃、リナちゃん……いや、加奈子ちゃんの本當のご両親がぜひ私たちに會ってお禮を言いたいと聞き、九條さん、伊藤さんと三人揃って警察署に出向いて行ったのだった。
「なんかさ、不幸中の幸いって言っていいのか分からないけどさ。この半年間、リナちゃんはそれなりに大事にされてたっぽいんだよね。栄養狀態も問題ないし、々なものを買い與えられてて」
三人である一室に通されリナちゃん達を待っている時、伊藤さんが小さな聲で話した。
「ああ……そんなじありましたね。初めは本當の親子と信じて疑いませんでした」
「まあさー、リナちゃんが話せなくなって病院に連れて行ったってのは噓みたいだったけど、一応心配して僕らに依頼を寄越したんだしねぇ。やり方歪んでるけど」
最初に會った様子を思い出す。リナちゃんをいつでもおしそうに抱きしめて、名前を呼んでいたのに。あれこそが異常だったなんて。
……人は見かけによらない。し心臓が冷えた。
伊藤さんが続ける。
「どうも巖田さんって、子供が出來ない質だったみたいだね。それで昔結婚しようとした相手にも逃げられちゃって、しずつ狂ってしまったみたい」
「悲しい話ですね……」
彼がやったことは許されることではないし、人間として最低の事だ。ただ、その心の闇の裏にはやはり悲しみが存在していたのか。
絶という悲しみをけれて生きていく方法を、彼は見いだせなかったんだ。
「まあ、かといって同はできないけどさ」
「それはそうですね。と、いうか伊藤さん、どこでそんな報を仕れたんですか?」
心の中で芽生えた疑問をぶつけてみた。彼はニコリと笑顔で言う。
「警察の人に顔見知りがいてさ。まあ僕たちも今回巻き込まれた関係者だしちょっと聞いてみた」
「…………」
ここ最近、伊藤さんの顔の広さや人懐こさがあまりに驚異すぎてし引いている自分がいる。スーパー伊藤さん、これ敵に回しちゃダメなやつ。
一どうなったらこんなふうに育つんだろう。今度じっくり彼の半生を聞いてみたいと思った。
隣でパイプ椅子に腰掛けている九條さんが苦い顔をして言う。
「それにしても、一週間ほど拘束され中々の労力を消費する依頼だったのに今回はタダ働きです。大変不愉快です」
困ったように息を吐く九條さんに呆れて言った。
「依頼料いらないって言ったの九條さんですよ」
「そう宣言したことは後悔してませんがね。早く次の依頼がってこなければ。出來ればさっさと解決できる容易なもので」
「前から思ってましたけど九條さんって意外とお金にシビアですよね」
「當然です、こちらも商売ですよ。金がなくてはポッキーも買えない」
「その基準なんだ……」
私がポツリと呟いた隣で、伊藤さんが聲を大きくして言った。
「いいですよ依頼料くらい! 命が無事なんですから!」
九條さんと二人ギクっと反応する。伊藤さんは鼻息荒くして言う。
「拐犯とわかってて二人で會おうとするなんて、律儀なのもいいですけど時と場合を考えてくださいよ九條さん! 警察の人にも注意されたでしょう!?」
「はい、あの後しこたま叱られました」
「ちゃんが行っちゃった後の僕の気持ち分かります!? リナちゃんいるから追いかけられないし、警察に電話して早く來いってブチ切れる事しか出來なかったんですから!」
(ブチ切れ伊藤さん、ちょっと見てみたい……)
「ちゃんもの子なんだから、無茶しないの!」
「「はい、すみませんでした」」
私と九條さんの聲が重なる。あれ以降一日一回はこのお叱りを伊藤さんからけている。だいぶ心配掛けてしまったらしい、まあそれもそうだ。素直に反省せねばならない。
確かに無謀なことをしたと自分でも思う。九條さんもだけど。
項垂れているところに、ノックの音が響いた。
はっとして私達は立ち上がる。開いた戸の先に、見覚えのある顔が見えた。
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