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( ^-^)_旦~

ウォルトさんから亡くなった冒険者の話を聞いた日の夜。

私はオーレンの部屋にいた。夕食を終えたウォルトさんは、機に向かって何かの研究をしているようだった。

ランプを燈して、ベッドに並んで腰掛けながらオーレンと一緒に窓から見える星を見てる。この住み家から見える星空は凄く綺麗だ。

「私達は、ウォルトさんに出會えて幸運だったよね…」

「間違いない。命を救ってもらっただけじゃなくて…味しい料理を食べさせてもらって、々なことを教えてもらった。本當に…ウォルトさんには謝しかない」

男の獣人といえば暴で気の荒い印象しかなかった。まさか、森で優しい獣人に命を助けられて、々なことを教えてもらうなんて夢にも思わなかった。

「ここでの生活は、すごく楽しい。けど、そろそろ行かなきゃ…だよね…」

こんなこと言いたくない。でも、言わなきゃいけない。

「そうだな…。クエストの依頼をけたっきり、ギルドに戻ってないんだ…。面倒くさがって逃げたか、魔にやられて死んだと思われてるだろうな」

「うん…。戻って事を説明しないと」

しばらく無言が続いたが、ふぅ…と息を吐いてオーレンが口を開く。

「明日…街に帰ろう…」

「うん……そうしよう…」

そうして私達は重い腰を上げ、ウォルトさんの元に向かうと、明日ここを離れることを告げる。それを聞いたウォルトさんは、いつもと変わらない優しい表を浮かべた。

「解った。いつ頃出て行くんだい？」

「朝のには出て行こうと思います」

「じゃあ、最後に朝食を一緒に食べよう。それでいいかい？」

「はい」

「じゃあ、ゆっくり休んで。街までの道は明日教えるよ。ちょっと遠いから、力を戻しておかないといけないよ」

そう告げると、ウォルトさんはまた機に向かって何か書き始める。

オーレンと私は、その後ろ姿に揃って頭を下げた。

★

次の日の朝。

約束通り朝食を一緒に食べる。

ウォルトさんが作る料理は全てが味しくて、この短期間ですっかり胃袋を摑まれた。私達が元気になった要因の半分以上は、料理のおかげと言っても過言じゃない。

食事をしながら街への帰路を教えてもらう。どうやら歩いても１時間程度みたい。

談笑しながら食べ終えると、ウォルトさんと一緒に後片付けを終えて出発の準備を始める。

まずは…。

「隅々までやりなよ！」

「解ってるよ！お前こそちゃんとしろよ！」

せめてものお禮に、一生懸命、部屋やお風呂を綺麗に掃除して謝の気持ちを殘していく。數日しか滯在してないし、森の中に建ってるのに街で借りている住居よりも居心地が良かった。

「終わったね…」

「あぁ。終わった…」

掃除を終えて出発の準備を整えると、寂しさが襲ってくる。無理やり寂しさを押さえ込んでウォルトさんに最後の挨拶するために居間へと向かう。

ウォルトさんは機に座って何か書きをしていた。

「ウォルトさん。そろそろ出発しようと思います」

「本當にお世話になりました」

２人で聲を掛けると、こっちを向いたウォルトさんが微笑みかける。

「うん。ちょっとだけ待っててくれないか？２人に渡したいモノがあるんだ」

「渡したいモノ？」

そう告げると、れのようなところから何かを取り出そうとしてる。ウォルトさんが取り出した見覚えのあるモノに私達は驚きを隠せない。

「これを２人に返しておかないと。君達の…勇気と冒険の証だ。恐怖に立ち向かって、勇気を振り絞った日を忘れないでしい」

それは…私達がに著けていた裝備品だった。

ムーンリングベアとの戦闘で、安の防はボロボロになってベルトも千切れていたはずなのに、汚れは落とされて傷は殘っているものの綺麗に修復されている。

「オーレンには、これも」

「…これ」

ウォルトさんの手にはオーレンの剣が握られてる。オーレンは震える手でけ取った。

ギルドで冒険者登録して、晴れて冒険者になった日にアニカと２人で武屋に買いに行った安の剣。元々、鋼も良いモノじゃなかった。

魔との戦闘で刃こぼれして、途中からほぼ切れ味を無くしていた剣の刃は、綺麗に研がれて一回り小さくなっているものの輝きを取り戻してる。

「リュックは、あまりにボロボロで直せなかったよ。ごめんね…」

苦笑するウォルトさんに、お禮を言いたいのに言葉が出ない。何て謝を伝えればいいのか言葉が見つからない。

倒れているのを発見して助けてくれた。

傷痕が殘らないように綺麗に治療してくれた。

魔に立ち向かった勇気を褒めてくれた。

回復薬の作り方を教えてくれた。

味しいご飯を食べさせてくれた。

私達に…冒険者としての未來を與えてくれた。

込み上げる想いにが熱くなって、涙を堪えるのが一杯。きっと、オーレンも同じ顔をしてる。

俯いたまま肩を震わせる私達の前に立ったウォルトさんは、何度も見せてくれた優しい笑みを浮かべた。

「オーレン。アニカ。ボクは…君達の未來をずっと応援してる」

優しく…そしてしだけ寂しそうに告げた。

私達はウォルトさんに抱きついて赤子のように泣いた。

涙が止まらない。

ありがとう、ありがとう、と聲にならない聲で謝を述べる。

ウォルトさんは、そんな私達の頭をだまりのような溫かい掌で優しくでてくれた。「頑張れ」って言われている気がした。

そして、私達はまた泣く。

それに驚いたウォルトさんはオロオロしてしいる。

オーレンと私は、顔を見合わせて笑った。

★

「じゃあ、行きます！お世話になりました！」

「うん。気を付けて」

渡された裝備をに著けて、しっかりした足取りで歩き始める。ウォルトさんは住み家の側で見送ってくれている。

し歩いたところで振り向いて、大きな聲を上げた。

「ウォルトさん！また會いに來てもいいですか！」

白貓の恩人は、笑顔で応えてくれる。

「いつでもここで待ってるよ」

それを聞いた私達は、笑顔で揃って頭を下げた。頭を上げるとウォルトさんに背を向けて、今度は振り返らず歩き出した。

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