《パドックの下はパクチーがいっぱい/子大の競馬サークルの先輩が殺された?著ぐるみの中で?先生、どうする? 競馬ファン必見、妖怪ファン必見のライト・ラブリー・ミステリー》4 片目の白髪
ノーウェの事故の聞き込み。
今更、というがぬぐえない。
ミリッサはそう思いつつ、ルリイア(瑠璃亜)の肩をポンと叩いた。
「どう、調子は。仕事、順調か?」
ルリイアは元サークルメンバー。今春の卒業生である。
競馬好きが高じてなのかどうか、JRAに就職して今はここ淀の競馬場にいる。
まだ新人にもかかわらず、快活な格が周囲に認めさせているのか、ミリッサ達が競馬場に來るたびに顔を見せ、なにかと便宜まで図ってくれている。
「ご覧の通り、頑張ってますよ。先生、はい、これどうぞ」
見ると、十二レース地下馬道エスコート券だった。
「一枚だけだから、先生に」
「おおっ、いいのか、もらって」
今春から京都競馬場が始めたファンサービスである。
重賞レースの行われる日、第十二レースのパドックから返し馬までに通過する地下馬道で馬の手綱の一端を持たせてくれるというものだ。
大変な人気で、今のところ、関係者のコネでしか手にらない。
十六という大きな數字の橫に、でかでかとルリイアの捺印がある。
「ええっ、先輩、すごすぎ!」
フウカが目を輝かせる通り、年間に數十枚しかない黃金のチケット。
ミリッサは、教え子であるルリイアが、社會人一年生のでそれを手にれることができる立場にあることが誇らしかった。
「十六ということは大外枠、ハイペリオンだって」
「知らない馬だね」
「知っているよ。私のPOGだった子だから」
などとジンとフウカがはしゃいでいる。
その様子をルリイアが楽しそうに見ている。
「ごめんね。1枚しかないから」
ルリイアが笑顔のままに、
「今日もいつも通りですか?」と、聞いてきた。
「そのつもり」
全レース終了後のミーティング。
ルリイアが借りている近くのマンションで集まるのが恒例である。
じゃ、また後で、と自分の持ち場に戻っていくルリイアの後姿を見送りながら、ミリッサは今更ながら、あの大學で、いい娘たちに恵まれているな、と思った。
が、そんな気分に水を差された。
また、あいつだ。
すぐ後ろにいた。
片目の白髪。
こいつも、ミリッサの行パターンと似た行をしているだけなのかもしれないが、それでも何度も目が合うのは、気分のいいものではない。
第六レースのパドックは集中できないまま終わりそうになっていた。
もうジョッキーがっている。
「ダメだよ。フウカちゃん」
と、近寄ってきた青年がいる。例の背広組だ。
「そう?」
「仕事中だぜ」
「恥ずかしい?」
仕事中だと言いながら、人に聲をかけてくる刑事はリオン(理音)と名乗った。
「ちょっとお伺いしたいことがあるのですが」
「ん? 今? なんでしょう?」
「三か月前なりますが、京の都ワールドカップが開催された日、競馬場に來られていましたか?」
「ええ」
あの日。
忘れもしない。
とんでもないことが起きた。
「あの日、あるが死にました。ケイキの著ぐるみの。あの事故、ご存知でしょうか」
教え子であり、サークルのメンバーだったノーウェ。
彼は仕事中だった。ケイキの著ぐるみのまま、階段から落ちて死んだのだ。
すぐそこに見えているあの階段で。
リオンという刑事が最初に聲をかけたのが自分だったことは、意味があるのか。
フウカがクスクス笑っている。
思わずミリッサはブスリとした。
「ええ」
「その時のことをお聞き……」
「ちょっと待ってください」
「はい?」
「その日のうちに、警察には十分話しましたが、まだ何か?」
えっ、という顔をして刑事は、人の顔を見た。
「リオン君、知らないかもしれないけど、競馬サークルの先生」
刑事は、また、あっという顔をして、ぺこりと頭を下げた。
「失禮しました」
記憶力の乏しいこの男に、刑事が勤まるのか、とミリッサは思ったが、気を取り直して言った。
「何か新しいきでもあるんでしょうか。事故ではないという」
刑事は恐して、ただでさえ小さなをこめていたが、またフウカの顔を見た。
しっかりしろと、喝をれてやりたくなる。
が、人の顔を見て元気が出たのか、
「再調査をすることになりまして」と、想笑いを浮かべた。
後ろにいる片目の白髪老人にでも聞けばどうか。そう言ってやろう。
振り返ると、もうあの男の姿はなかった。
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