《後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりをけて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜》モノローグ「アルベルト」
◆二年前
「ヴォニー! 危ないよ!」
「きゃあ!」
氷の張った湖のうえで、彼はすてんと転んだ。
「まったく、そんなにはしゃぐからだよ」
スケートができると知って喜んで氷の上に一歩踏み出した途端、これだ。
助け起こすと、し照れくさそうに頬を染める。
「し転んだだけよ」
意地っ張りは相変わらずだ。彼の手をつないだまま、それを僕のコートのポケットにれた。
彼は學園の冬休み中僕の家にいる。だからこうして、屋敷の近くを二人で歩いていた。
「クリスマスくらい、家に帰ったら?」と提案してみたけれど、「お父様の顔を見るのは気詰まりよ」とそっけない返事をされた。確かにいずれ僕の義父となる、彼の父は厳しい方だ。僕も義(・)父(・)と意見が合わないことがよくあるから、彼の抱えるわずらわしさもしは分かる。
僕――「アルベルト・アルフォルト」には兄弟はいない。でも彼には妹がいる。だけどやはりあまり仲良くはない。妹が語る突拍子もない話にうんざりしてるのだと以前聞いた。
彼が家族とあまり上手くいっていないことは知っていた。家族から逃れるようにして僕にすがっていることも、やっぱり気がついていた。でもそれでもいい。僕が逃げ場になってやれるなら、喜んでそれになるとも。
「アルベルトの家は本がいっぱいあっていいのよ」
またそんな風に強がった。
彼は卒業後、王都にある王立図書館で司書として働く。本當は卒業と同時に結婚しても良かったのだけど、今の流行はだって自立して働くことがかっこいいとされていて、その空気に押されたのか、一度くらいは社會に出て々経験してみたいと彼が言ったのだ。
僕も否定することはしない。本音を言うと、一秒でも早く結婚したかったけど、彼がむなら、なんでも葉えてあげたいのだ。
僕の世界の中心は、あの日からいつだって彼――ヴェロニカ・クオーレツィオーネなのだから。
彼はせっかく溫めていた僕の手から逃れると、ひらりと湖の上を出し、屋敷を囲う木々の間を歩き始めた。僕も後ろをついていく。彼のしい髪のが、歩調に合わせて揺れていた。細い首がする様にチラリと見える。
「すごく寒いわね」
吐く息が白くなり消えていく。
「知ってるかい? 寒い國の人は、鹿を殺して腹を裂いて、その中で暖を取るんだって」
「野蠻ね。殘酷だわ。そんな話をするなんて、あなたも趣味が悪いわね」
ギロっと睨まれてしまった。いつものことなので、別に互いに気にはしない。
「あら? こんなところに……。今まで気づかなかったわ」
何かを発見した彼は立ち止まると、雪で覆われたそれにかがみ込んだ。
灰の石。我が屋敷の庭にある、それは墓だった。どこからも隠れるようにして、ひっそりと佇んでいる。彼は墓石に被された雪を払うと、名前を読み上げた後でまじまじと僕を見た。
「なんだか変なじだわ……」
「ずっと前に亡くなった子のお墓さ。くして病に倒れたと、聞いたことがある」
我が一族にかつていた年だ。僕に似ているらしいと聞いたが、もちろん會ったことはない。
「そうなのね」彼は納得したように頷くと立ち上がる。
すっかり冬の裝いに変わった白い木々を見ている彼の橫顔は、この世界のどんなものよりもしかった。
「ヴェロニカ・クオーレツィオーネさん」
名をかしこまって呼んでみる。顔を僕に戻した彼と真っ直ぐに見つめ合った。その大きな瞳が、不思議そうに揺れる。
――いつも稱で呼んでくるのに、どうしたんだろう? そんな表だ。
だから、咳払いをしてから言う。
「僕と結婚してください」
「そんなの、當たり前じゃない」
即座に言い返される。
「いずれ結婚するのに、どうして改めて言うのよ」
出會ったときからこうだ。口が達者なんだ。
僕は彼に口喧嘩で勝ったことはない。もちろん、取っ組み合いの喧嘩なんてしないから、つまり、喧嘩で勝ったことはないということだ。
気が強くて、かわいい人だ。初めはきっとだった。今では、彼の全てがとてもおしいとじる。
「ムードが臺無しだよ」
僕はそう言って、彼のおでこをそっとつついた。彼はいたずらそうに笑う。
そのまま、手を彼の髪、頬に順にれていく。彼もうっとりと目を細め、されるがままに僕にを任す。
「どうしても今、言っておきたかったんだ。君は僕と結婚するんだよ。僕は君の夫になるんだ。そして君は僕の妻に……」
「もちろんよ」
――そんなの、當たり前のことじゃない。
彼は微笑んだ。
小さいときに、両家の親が決めたことだ。
だけど、ねえヴォニー。
君は本當に知っているんだろうか。僕がどれほど君を大切に思っているか。どんなに好きで好きでたまらないと思っているか。
世界中の人を敵に回してもいい。君のためなら命だって惜しくはない。心の底から、しているんだ。
「どんな君でも、してるよ。この先何があっても、ずっとずっとしてる」
彼のらかなをそっと抱き寄せる。
おでこにキスをする。
まぶたにキスをする。
鼻先にキスをする。
頬にキスをする。
――に、キスをする。
予定調和なそれがおかしかったのか、彼は白い歯を見せて笑った。僕もつられて笑った。
ねえ、大好きなヴォニー。
ずっと一緒だよ。
必ず君を守り通すよ。
貧しいときも病めるときも、絶対に離すもんか。
絶対に絶対に。
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