《後は野となれご令嬢!〜悪役令嬢である妹が婚約破棄されたとばっちりをけて我が家が沒落したので、わたしは森でサバイバルすることにしました。〜》襲われる馬車(二回目)ですわ!
晝間であっても薄暗い森を、カラカラと馬車は駆け抜ける。
數日前に降った雨で、路面狀況はすこぶる悪く、安定せずに車は揺れる。揺れる度に、ヴェロニカの気分は悪くなった。
隣に座るアルテミスが心配そうな瞳を時たま向ける。
(お父様になんて説明しようかしら?)
王都からクオーレツィオーネ家へびる道は複數ある。
大きな通りに面するがひどく遠回りな道と、森の中を抜ける、近道。迷わず後者を選んだ。
屋敷にいる父に、夫に浮気されたのだと説明するのは気が重い。さぞ心配するだろう。それでもこの心細さの中、あの優しい父にめて貰いたかったのも確かだ。
だが馬車は突如として止まった。
ヴェロニカは顔を上げる。き出す気配はない。不振に思い、者に聲をかける。
「どうされたの?」
者が困ったような顔で振り返った。
「話し聲がした気がしまして」
「まさか。だって森の中ですわ」
馬車だって滅多に通らないこの道に、よもや人がいるはずがない。
まだ不可解そうな表の者に、そういえば、とヴェロニカは思い出す。
(ちょうど一年前に、この道を通ったんだっけ?)
馬車が襲われ、ロスに出會った日だ。
一瞬の間、不吉な予がを駆け抜ける。だが者の焦る聲でそれも吹き飛んだ。
「ほ、ほら、あそこ! 人が!」
指が差される方向に目を向けると、木々の間に確かに人が數人立っている。
「まあ、本當だわ」
驚いた。
(狩人かしら? ……でも)
この付近に猟場があると聞いたこともない。なにより奇妙なことには、屈強な男たちの中心に、ドレス姿のがいたことだ。
ここが町中だったら、あるいはナンパされているのだろうと思えるほどには綺麗なだ。
その彼は、なにやら夢中で男たちと言い爭っている。
距離にして數十メートルほど。それでも男たちが三人も、寄ってたかってを怒鳴りつけているのがわかった。
何が起きているのかは知らないが、ただ事ではない。このままではが危ない。
男の一人がに摑みかかるのが見えた瞬間、ヴェロニカは馬車を飛び出した。
「助けなきゃ!」
考える暇はない。悠長に間を置いていたら、取り返しのつかない事態になることは、今まで潛ってきた修羅場から分かっていた。
「お、お嬢さん! ああ、なんてことだ……! お、おれは逃げるぞ!」
者の悲鳴にも似た聲に、初めてこちらに気がついたのか、男たちが目を向けた。
の目も、驚きに見開かれる。ヴェロニカと白い犬を互に見た。チャンスはない。
――思考の隙を與えるな。
ロスならそう言うはずだ。
男たちがひるんでいる間に一気にカタをつける。戦いは先手必勝だということをヴェロニカにしても知っていた。
「伏せて!」
にび、いつも持っている拳銃を取り出した。構え方も撃ち方も知っている。後は引き金を引けば良い。
「ぐあ!」
だがヴェロニカの握る銃から弾は発出されなかった。
代わりに、逃げ出す者の背に銃弾が浴びせられる。には複數のが空けられ、力なく地面に崩れ落ちる。
瞬間、怯んでしまった。それが命取りになることも知っているのに。
人を殺すことを、すぐに判斷できる人間はない。
この男たちの反応を見るに、単なる悪黨たちではない。洗練され、戦闘に慣れた者たちだ。
勇敢に飛びかかったアルテミスが、男の一人に蹴られる。
「アルテミス!」
犬は木に當たり、かなくなってしまう。
いつにしたって、ヴェロニカが強くあれたのは、隣にロスがいたからだ。最強とも言える彼がいればこそ、強くいられた。だが彼はいない。
さっき頭の中で命令したのはロスではなくヴェロニカだ。ロスなら他人を助ける前に、自分の安全を確保するはずなのだから。
(いいえ。それももう分からない)
彼が何を考えているかなんて本當のところ分からない。心もも離れてしまった。
森が風によりざわめいた。
目の前に、複數の銃口が向けられる。
「よせ。このは生かしておく」
男の聲が聞こえた剎那、後頭部に痛みをじ、ヴェロニカは気を失った。
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