《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》7話 神と和解せよ
杏奈は自分の事は無神論だと思っていた。もちろん、宗教も信じていない。八百萬の神も信じていなかった。自然は単なる自然だ。それにある分野にだけ特化している神というのも人間的で何の憧れも持てない。
杏奈が期の頃は、オウム真理教が騒がれていた。そのおかげで宗教は怖いイメージもある。ちなみに日本では無神論者は一般常識のある人間にも見られるが、海外では全く逆だ。神様の存在自を否定している無神論者はアタオカ扱いされるらしい。
『私はキリスト教の神様の使いよ』
「キリスト教?」
意外だった。てっきり貓の神様とか言いそうな雰囲気だったが。
杏奈にとっては「聖☆お兄さん」のイエスやクリスマスの人というイメージしかない。一般的な日本人ならその程度だろう。
「ぶっちゃけ興味ないわ」
『言うと思った! これだからご利益大好きな偶像崇拝國家の人は』
ミャーは呆れていた。
人間のようの足組んで座っている。どことなく哀愁が漂い、おじさんみたいだ。その姿も貓だからちょっと可いわけだが。
ミャーは人間と神様の話を始めた。神様は、6日かけて世界や人間、や植を創造し、7日目に休まれた。
1週間は7日で、日曜日に休む習慣もここから來ているとニミャーは説明する。西暦もイエス・キリストの誕生を元にしているし、確かに全世界の習慣はキリスト教の神様を基準にされている事が多いと杏奈も気づく。
そういえば謀論者が日ユ同祖論をよく引用していた。日本のルーツはユダヤ教に関係しているトンデモオカルト論だが、全く関係ない気もしなくなってきた。
ミャーに聞いても日ユ同祖論については教えてくれない。何か知っているようだが、人間の救いや長には影響しないからと教えてくれない。
こうして隠されると返って日ユ同祖論が本當のような気もしてくるが、確かに今はそれは大筋ではないだろう。
「ふーん。神様がこの世界を創ったのね」
『意外とあっさりけれたわね』
「日本は八百萬の神の國だから、神様の話は割となんでもけれるのよ。ご利益があるなら尚更イージーにけれるわよね。あとイベント出來れば何でもいいから」
『いい面もあるって事ね。八百萬の神については偶像崇拝だから私としては大いに問題あるけど』
ミャーはため息をつきつつ、話を続けた。
キリスト教の神様はアダムとエバという人間を創った。二人は仲良し夫婦だったが、エバの前に蛇が現れた。蛇はエバを巧みに騙し、神様がじていた果実を食べるさせる。さらにエバはアダムにも果実を與え、アダムも食べてしまう。
「なんでこんな事しちゃったの? エバ、最低ね」
『エバばっかり責めないで。アダムがちゃんと神様の言葉を伝えて無かった可能もあるのよ。っていうか蛇が悪いでしょ。エバを過剰に悪く言ってるところはカルトだから気をつけて。聖書でそのシーンの続きを読むとアダムが先に神様に呼ばれているから、責任はアダムの方が重かった』
そう言われるとと反論できない。
こうして人類に罪がり、アダムとエバは楽園を追放されてしまった。神様との関係も斷絶してしまい、アダムとエバの息子・カインも殺人の罪も犯す。
杏奈も大學の一般教養の時間でこんな話は聞いた事があった。貓が言葉を発している狀況が面白く、ついつい耳を傾けてしまった。
「神様可哀想。それでどうなったの?」
『まあ、いろいろあったんだけど、最終的にはイエス・キリストをこの地上に送ったの。その十字架の死と復活によって神様との関係が回復できるの』
「へぇ」
いくら宗教に興味のない杏奈でもイエス・キリストが十字架にかけられた事は知っていた。なぜこんな酷い死に方だったのか謎だったが、こういう事だったのかと腑に落ちる。
「それにしても神様厳しくない? 普通、殺してしまう?」
『人間の罪というのは、罪のないもののの犠牲がないと消えないのよ。舊約時代は、の生簀を捧げてた。ちなみに人間は罪があるからいくら生贄にしても全く無意味。そんな人間の努力や善行でも罪は浄められないわ』
ここでミャーは悲しそうな表を見せる。
『その點、イエス様は罪のない完璧な神様。イエス様を信じる事によって、神様と関係を解決できるのね。イエス様が人のために罪を背負って生贄になってくれたと言えばわかりやすいかしら?』
「そういうもんかー」
杏奈はイマイチ納得できないが、キリスト教徒が何を信じているかはわかっていた。
『だから杏奈もイエス様を信じて神様と和解しなさい!』
「あ、よく『神と和解せよ』って看板に書いてあるのはそういう意味だったのね」
地平町はどちらかといえば田舎だ。田舎には、キリスト看板というものがあり「神と和解せよ」とか「死後さばきにあう」と書かれた看板がある事は知っている。黒地に黃や白い文字で書かれたキリスト看板はインパクトが強い。最近はネットでネタにされ「ネコと和解せよ」なんて言われているようだが。
「ところで貓と和解する必要ってある?」
『キリスト看板のパロディね』
ニャーは呆れたようにため息をつく。
アダムとエバが罪を犯す前は、もエデンの園で完璧にしい存在だったらしい。ただ、二人の墮落後はその巻き添いをけ、も植も未完な狀態になったという。死なななければならなくなったし、毒があったり、自然や人に害があるは、このせいだとミャーは決めつけていた。
『貓だって本當は、人間よ、神と和解せよ!ってずっと思っているはずよ。巻き添い食ったんだから』
「そういうもんなのかなー」
イマイチ納得はできないが、楽園にいたオリジナル狀態の貓はどんな姿なのかとても気になってしまった。
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