《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》10話 悪魔崇拝儀式!?
「待ってよ、ミャー!」
ミャーは走り続け、ついに商店街の雑木林の方に向かう。
「っていうか、何であんたもついてきたのよ?は? 何で懐中電燈なんて持ってるのよ?」
藤也は普段運不足なのかぜいぜいと息を切らしていた。確かに運は苦手そうな薄っぺらいモヤシ型だ。一見サブカル風草食男子にも見えるが、中は々殘念なので全くかっこよく見えないが。
一方、杏奈は走って貓を追いかけたわけだが、そこまで疲れない。日頃、ストレッチや筋トレを頑張っているから、力もある方だ。そもそもカフェの仕事も力仕事で、特に小麥などの材料を運ぶのは大変だ。
「実はこのあたりで悪魔數は儀式をしてるっていう噂を聞いてな。調査していたんだ」
「悪魔崇拝儀式?」
どうせ謀論だと思ったが、ミャーの異常な様子と何か関係あるっぽい?
杏奈達はいつの間にか、薄暗い雑木林に足を踏みれていた。藤也が懐中電燈を持っていたおかげで視界が明るく、ミャーを追いかけることができたが、人気のない雑木林の中は薄暗くて怖い。隣にいるモヤシ型の藤也は全く頼りにならない。
「悪魔崇拝儀式って何よ。私はちょっと謀論をかじっているけど、噓でしょ?」
謀論者は、蕓能人や政治家は悪魔數は儀式に耽っているという。儀式は人間の死やの死を差し出し、悪魔を呼んで功を貰うという。最近の蕓能人の自殺も悪魔崇拝儀式の生贄儀式だといっていた。
ファンタジー小説のよう。比較的謀論に好意的な杏奈でもそれは噓だと思う。
「それが意外とあるんだよ。いわゆる人柱というもので、この辺りでも白骨がいっぱい見つかっているのさ」
藤也は自信満々にをはる。
「この町で貓が行方不明になっているのも何か関係があるの?」
ファンタジーな話だが、現実のどう関わっているかが問題だ。それにこのミャーの様子もどう考えてもおかしいと杏奈は思う。
「わからん。とにかくミャーを追う!」
「そうね」
そうするしかなさそうだ。
ミャーはどんどん進んで、雑木林の奧に方に走っていく。
月が出ているとはいえ、空は真っ暗。葉のれる音や変な鳥の鳴き聲も怖い。この雑木林は異世界に繋がっているという噂もあながち噓ではなさそうだった。
ミャーは、突然走るのをやめた。
『杏奈は見ない方がいい!』
ミャーの聲は、明らかにおかしかった。悲しみややるせなさのようなものが、聲に滲み出ていて、杏奈は思わず押し黙ってましまう。
「ミャー、どうしたんだよ?」
藤也はそんなミャーの様子にお構いなく、すぐそばに向かった。
「あぁ。杏奈は見ない方がいいぞ」
珍しく藤也の聲もプルプルと震えていた。悲しいというよりは、怒りが滲んでいた。どちらかといえば冷靜な藤也がこんな聲を出すのは意外だった。
「ちょっと、何?」
ミャーもいるもより背中を丸めて、明らかに悲しんでいる背中を見せている。
ミャーにも藤也にも見ない方がいいと言われたが、勝手にがいていた。
「えっ……」
思わず絶句して、杏奈も言葉がない。
藤也の懐中電燈に照らされた場所には、一匹の貓の死骸があった。見覚えがある貓の死だった。
鳩子の飼ってるミケ子だった。首もミケ子と同じレインボー柄で間違い無い。
「そんな……」
や出ていないし、傷つけられた様子はないのが救いだが、はくなり一ミリもかない。
「何で」
杏奈もどちらかと言えば冷靜なだが、さすがに可い貓の死は、メンタルがえぐれる。
それにミケ子の周りをよく見ると、そばに魔法陣のようなものが書いてあった。ドクロや、666という數字、ピラミッドの絵もあり、見るからに怪しい。
おかげでミケ子は自然死には全く見えない。それどころか謀論者の言う悪魔崇拝儀式で殺されたのしか見えない。
『そんな、何で……』
ミャーの揺は、想像以上で、杏奈にもその気持ちが伝わってくる。
「何で、どうしてよ……」
気づくと杏奈はその場でうずくまり、ミケ子の事を思うと苦しくてたまらず、し吐いてしまった。
「おいおい、杏奈。大丈夫かよ」
「大丈夫じゃないから」
藤也は、意外と優しくハンカチを杏奈に貸した。
「ミャー、これは警察を呼ぶべきか? 悪魔崇拝儀式の貓殺しなんて、警察がまともに調査するか?」
『わからない。でも、一応警察呼びましょう。私はしばらく普通の貓のフリしてるわ』
「オッケー!」
杏奈が気持ち悪くて吐いている間、藤也とミャーはこれが悪魔崇拝儀式という認識が一致し、警察を呼んでいた。
「何なのよ、もう……」
貓の死なんて見たくなかった。
杏奈はぎゅっと目を瞑り、嫌な予がに宿るのをじた。
ミケ子がいなくなったとしたら、この町でいなくなっているもう一匹の貓・ナァも何か事件に巻き込まれている可能がある?
ミャーだって姿形は貓そのものだ。いくら人間の言葉が話せるとはいえ、ミャーが事件に巻き込まれる可能はゼロじゃないだろう。
そう思うと怖くて杏奈の指先が震えた。どうかこのまま何も起こらないか願うばかりだった。
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