《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》39話 鳩子さんは大丈夫?

家を出た杏奈は地平駅へ向かった。

いつもはきやすい平べったい靴を履いている訳だが、今日はデート用のヒールつきの靴を履いているので、さっそく足が痛い。

家から最寄りの地平町駅へは近いはずだが、なんだかもう疲れてきた。

「あら、杏奈ちゃん!」

地平町駅のすぐ近くで、鳩子にあった。

母と絵と三人で北海道旅行に出掛けていたはずだが、先日帰ってきたと聞いた。

「鳩子さん、旅行は楽しかった?」

「ええ。これでしはミケ子のことは気が紛れたわ」

し無理しているようにも見えたが、鳩子は笑っていた。一時期よりはミケ子を失ったショックも和らいだようだ。

「ミケ子はどこにいるんでしょうね」

「え?」

「死んだらどうなるのかしら、私たち。もう老いてくると、そんな事ばっかり考えちゃうのよね」

やっぱり鳩子のミケ子を失った傷は、完全には癒えていないようだった。鳩子のシワがついた目は、心労もじさせて、杏奈もし苦しくなってきた。

そういえば今まで全く考えた事はなかったけれど、死んだらどうなるんだろうか。生まれ変わりがありとは聞くが、確証はない。そもそも人間に生まれ変われるかどうかもわからない。來世が蛇とかだったら、とても嫌だ。

「ミケ子のところに行きたわ」

「ちょ、鳩子さん。変な事考えたらダメよ。きっと犯人もいるし、捕まるって」

ミケ子頃殺しの犯人は、梨子だった訳だが、今のところ捕まってはいない。それどころか梨子が怪我を負い、事件は予想外の方へ転んでいる。

ただ、もう事件については杏奈の出來ることは無いと考えていた。銃価が関わっている以上、敵はかなり大きく見えるのも怖い。

「そうかしら」

「そうよ。あ、鳩子さんも気晴らしに明後日街の教會に來ません?」

「教會?」

杏奈は藤也の教會の伝道イベントのチラシを渡す。

「まあ、クッキーのプレゼントもあるの?」

「可い貓型クッキーよ。SNS映えするアイシングクッキーなの」

「そうね、だったら気晴らしに行こうかな」

ここで鳩子は笑顔をみせて、杏奈もしホッとした。

ミケ子殺しの犯人を捕まえるのは、難しいかもしれない。

事件の事はもう杏奈にはお手上げだった。

ただ、鳩子にはいつも通り元気になってほしいと考えたが、どうすればいいんだろう。

ペットを失った悲しみは、杏奈が想像するだけでもが苦しくなった。

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