《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》41話 偶像崇拝って何?

三郎とのデートは盛り上がらず、結局晝過ぎに解散した。

家に著くと、ミャーに抱きつかれた。

『やったわね! 杏奈! 婚前渉からのに打ち勝ったのね!』

斜め上のじで褒められ、杏奈は苦笑する他ない。

「ミャー、なんかお腹減ったわー。疲れたー」

『だったらお晝にしましょう!』

早く帰ってきたせいか、ミャーは妙に機嫌がよかった。貓カフェの貓達も可かったし、大事にされているのは伝わってきたが、やっぱりうちのミャーが一番だと杏奈は思う。

という事で、杏奈はキッチンにたち、晝ごはんを作った。あまり手間もかけずに麺類にする事にした。パスタをゆで、出來合いにミートソースをあえるだけ。ちょっと昔のパスタソースは、二人分パウチされたものが多かったが、最近売ってるものは一人分も多い。一人暮らしの杏奈にとってはとての便利だったが、ますます結婚が遠のきそうだった。実際、三郎との仲もこれ以上進展しそうな気がしない。

「というわけで、デートは最悪だったわけ。なんなの、あの貓好きは。人間の弱者の方が死んだ方がいいとも言っていたのよね」

パスタは味しかったが、食べながらつい愚癡が溢れる。

隣で聞いていたミャーも何だか微妙な聲を上げていた。

『その男は地雷よ、杏奈。完全に貓を偶像崇拝してるじゃない』

「偶像崇拝? なにそれ?」

『これはキリスト教でよく使われる言葉なんだけど、神様以外のもの、、天なんかを拝む事を偶像崇拝というの。神様を頼らず、自分を信じる事も偶像崇拝よ。もちろん、聖書でいう罪の一つよ』

「へぇ。日本の神様はなんでも拝んでOKっていうノリだけど、偏狹ね」

素直にそう思う。やっぱり一神教の堅苦しさのようなものはじてしまった。

『こっちから言わせればどんな神様でもOKというノリの方がわからない』

ミャーによると、何かを拝む&信じる行為はその対象と契約関係になるという。例えるなら夫と妻と似たような契約関係に近いんだそう。何かを拝んだら、拝んだ先のものと一になる。霊や魂という見えない部分だけでなく健康や金銭も拝んだ先のものと一になってしまう。

聖書では結婚の例え話も多く、クリスチャンを「キリストの花嫁」と表現される。偶像崇拝は契約違反で浮気と同等とみなされ、神様は自分だけを信じてしいという。聖書でも偶然崇拝するイスラエルの民に「妬む神」「私だけが神」といい強引系俺様溺ヒーローみたいで素敵よ〜とミャーが説明する。

「でもキリスト教の神様ってすごい高潔? 清いのね」

その話を聞いて、八百萬の神を何でもOK!OK!という軽いノリで何でも信じるのは、正しいのかどうか杏奈にはわからなくなってしまった。

信じる事が婚姻関係と例えられるのもちょっとロマンチックでもある。確かに自分の配偶者が、浮気していたら最悪だ。一神教で心が狹そうだと思っていたが、結婚を例えにして考えると、ごくごくマトモに思えてならない。それぐらい神様が人間をしているのだと言う事も理解できてきた。

『偶像崇拝をじているのも、それなりに理由はあるのよ。結局罪だから、悪霊もる。一度悪霊をれると、他の罪も手を出しやすくなるのよね。偶像崇拝している人は、的にれていたり、金遣いが酷かったり、暴力的だったり、なんかしら別の罪も犯している可能大ね。占いの館のそばに風俗が多いのも似たような理由よ』

ミャーの言う事を聞きながら、やっぱり三郎は地雷男の可能が大のような気がした。細かい事はよくわからないが、やっぱり三郎とは縁が無い気がする。

「やっぱり三郎とはもう會わない方がいい?」

『私はおススメしないわ。そんな過剰に貓を崇めている男なんて。きっと浮気か暴力のどちらをしやすいと思う。地雷男ね。やめなさい』

ハッキリと言われると、確かに三郎とはこれ以上進展しない気がした。

やっぱり弱者にたいしての発言は忘れられない。口がったとしても、常々そんな事を考えていなければ、出てこないはずだ。

いくら男平等といっても力はない。いくら強いも妊娠出産中は強制的に弱者になる。それを思うと、自分が弱者になった時の三郎の態度は手に取るようにわかってしまった。きっと妻より貓を優先するのが見て取れる。

「それにしても何で三郎は、今日私をったのかしら。ちょっといい雰囲気にはなったけど、向こうも私の事はタイプじゃないと思うのよね」

『うーん、それは謎ね』

一つ謎が殘ってしまったが、このまま三郎と縁がなくても仕方ない。むしろ、この狀態で縁が無い方が良いと思った。

再び母はガッカリするだろうが、杏奈はこのままで良いと思ってしまう。

ミャーにモフモフとらかい背中をでる。

うん、とても幸せだ!

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