《ネコと和解せよ〜ネコとカフェ店長の謎めく日常〜》45話 いつものカフェで
梨子を花瓶で毆った犯人は、三郎だった。
警察に逮捕され、意外素直に事を説明しているという。
あの日、梨子の家にっていった三郎の姿も近隣住民に見られていた。そんな証言もあり、三郎の犯行は否定しようがなかった。
機は、梨子が貓のを殺したと知って腹を立てたという事だった。
杏奈達が三郎に梨子の件を言わなければ起こらなかった事件ともいえる。特に藤也はうっかりと梨子の家の場所もらしていた。それについては、杏奈達も反省すべき點だった。
とはいえ、三郎の過剰な貓好きは杏奈達の想像を超えていた。
警察によると家の中が貓の寫真やグッズ大量に出てきたのだという。飼い貓だけでなく、貓カフェの貓もストーキングのような事してあちこと出になっていたらしい。三郎に近しい関係者は、こんな事件を起こした事は全く不思議ではないと語っていた。
藤也はこの事件について謀論を書くため、三郎の周辺や銃価を取材した。その過程で、三郎の過剰な貓好きも明らかになったが、肝心の銃価が法に問えるかどうか難しいようだった。
だからこそ藤也が謀論を書くわけだが、この件については銃価の幹部達も沈黙をつらぬき、もみ消される可能が高かった。
結局、梨子も法に問えなかった。本人は貓殺しに犯行を認めたが、意識の混濁やパニックになって暴れる事も多く、警察もろくに梨子から事が聞けない狀態で、神病院にる事になった。
もっとも梨子一人を法に問うても解決する問題でも無いだろう。この事件はカルトが組織的に起こした犯罪だ。トカゲの尾切りでは意味はない。
杏奈も藤也もこの事についてはわだかまりは殘るが、これで事件は一件落著と結論づけた。
『本當に悪い奴は、人間が放っておいても神様が裁くわ。今はとりあえず銃価も大人しくしているようだし、藤也も謀論を発表するし、放っておきましょう』
ミャーがそう結論づけ、ミケ子と梨子の事件はこれにて幕を閉じた。
ちなみに三郎は、藤也が差しれした聖書を貪るように読んでいるらしい。本人なりに反省はしているようで、神様についても興味が出てきたそうだ。三郎いわく、神様に許して貰ったから罪をちゃんと償いたいと語っているという。藤也も三郎に面談を定期的に行い、メンタルケアもするつもりという事だった。
杏奈も元カレが犯人だった事はショックだったが、こうして事件が解決し、元の日常がも戻って來た事にホッとしていた。
今日もまた店を開け、常連客の絵と鳩子を迎えた。
「いらっしゃいませ。絵さん、鳩子さん」
「こんにちは、杏奈ちゃん!」
「私はアイスコーヒーがいいわぁ」
いつも通り、やかましくおしゃべりしながらケーキやコーヒーを楽しむ絵と鳩子を見て、杏奈はホッとをで下ろす。
「鳩子さんが元気? ミケ子がいなくて大丈夫?」
それだけが気がかりだったので、杏奈は鳩子にコーヒーを一杯サービスしながら聞く。
「ええ。寂しい事は寂しいけど、だんだん立ち直ってきたところ」
「鳩子さんは、最近シマエナガにハマってるのよね?」
絵が子供のようにクックと音をたてて笑う。
「そうなの。北海旅行行った時、偶然シマエナガの寫真撮れてねー。そっから雪の妖にはまってるの!」
シマエナガの畫像を見せてもらった。そこには真っ白でふわふわな小鳥がいた。確かに可い。がモコモコのマシュマロみたいで、本當に雪の妖のようだ。
「こんな小鳥も神様が創ったなんてすごいわね」
杏奈は思わず獨り言が溢れた。
「ああ、あの教會のイベントで聞いた話ね」
鳩子は、深く頷きながらコーヒーを啜る。
「も神様が創ったのなら、死んだも神様のところに帰っているじゃないかって。藤也がそう言ってたわ」
杏奈は藤也から頼まれた伝言を鳩子に伝えた。聖書には死んだの行方は書いていない。でも、も大事にしている事は確かなので、人間の罪人のように地獄に墮とす事は無いんじゃないか?という話だった。
推測なので、本當のことはわからないと藤也はかたっていたが、この伝言を聞いてて鳩子の目はウルウルと潤んでいた。
「そうね。ミケ子も神様のそばで休んでいてくれれば嬉しいよ」
涙をこぼして語る鳩子に杏奈はティッシュを渡した。
そこへ一人の客がってきた。はじめてみる顔だ。スーツ姿の若い男だった。
「いらっしゃいませ」
「あの、スミマセン。客じゃなくて、このチラシを置いて貰うのは可能でしょうか?」
「どんなチラシ?」
変な謀論のチラシ以外だったら協力したいが。以前、謀論好きの小雪が持ってきたチラシの影響で、マユカが危うく謀論マニアになりかけた。オカルト雑誌を読んだり、怪しいデモや斷食道場に行きたいというので必死に止めた。
やっぱり変なチラシはるの危険という事で、謀論のチラシはお斷りしていた。
若い男が持ってきたチラシは、貓の飼い主を探しているというお知らせが乗っていた。寫真も載っていた。
可い顔の虎貓で、どこかで見たことある。三郎が飼っていた神と呼ばれていた貓とそっくりだった。
チラシを持ってきた若い男に聞くと、やっぱり三郎の貓だという。三郎の知り合いに頼まれて虎貓の飼い主を探しているという事だった。
確かに警察にいる三郎は、飼い貓の世話は不可能だろう。それに三郎の貓好きも異常なので、彼はもう貓を飼わない方が良いかもしれない。
「そうだ、絵さんや鳩子さんもこのチラシみます? というか貓飼える人知っていません?」
杏奈はけ取ったチラシを絵と鳩子に見せた。
鳩子はチラシを見たあと、目をキラリとさせた。希に溢れた目だった。
「この虎貓、私が飼っていい?」
鳩子は、笑顔で若い男に近づいた。
「もちろんです! え、あの事件の被害者の貓の飼い主だったんですか? それは、ピッタリだ。さっそく虎貓を保護している知り合いに連絡しますね」
「ありがとう! お兄さん!」
若い男と鳩子は嬉しさで抱き合って喜んでいた。
こうして三郎が飼っていた貓の問題も解決した。
喜んでいる二人を見ながら、絵も杏奈も笑顔になった。
そういえば、藤也が喜んでいるがモテると言っていた。モテるかどうかはよくわからないが、こうして丸く収まった喜びに杏奈の口元もほころぶ。
カフェの窓から見える空は、綺麗な青空だった。
やっぱり神様が創った世界は、悪く無いのかもしれないと杏奈は思った。
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