最近、杏奈はアイシングクッキー作りにハマっていた。

あのイベントで配ってアイシングクッキーが想像以上に評判が良かったからかもしれない。

『杏奈、キリスト看板のアイシングクッキーって作れない？』

そんなある日、ミャーに提案されて、キリスト看板がデザインされたアイシングクッキーを作ってみる事にした。

細長いクッキーに竹墨で作った黒いアイシングをぬり、その上に文字を書いていく。

「死後さばきにあう」

「神と和解せよ」

「キリストは墓から蘇った」

こんな文言を書き込んでいくが、想像以上にホラーティストになってしまった。

途中から「ネコと和解せよ」とか「ネコが世を裁く」「私生活もネコが見てる」とかネコパロディバージョンを描き始めてしまった。

そして出來上がったアイシングクッキーを見た藤也とミャーは苦笑していた。

「これ、カフェで売ったら意外とウケるんじゃないか？」

『そうよ。意外とネコバージョンは可いわよ』

「うーん。それはどうだろう？」

二人と一匹は苦笑しながら、キリスト看板風のアイシングクッキーを見つめていた。