《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》なにが為

「ほう、契約ですか。フルバート嬢は実におもしろい切り返しをされますね」

「私はただ、生きていたいだけです。その為にはロファンソン様のお力添えが必要なのです」

「その言い方、まるで自の死期を知っているかのような口ぶりですね。それも、正確に」

(私の口が軽いのか、ロファンソン卿が聡いのか、どちらかしら)

アロナはふむ、と首を傾げる。隠すつもりはないが、正直に話したところで頭がおかしいと言われるだけ。無理矢理修道院に押し込まれるのは、できれば避けたい。

「やはりあなたは、普通の令嬢ではないようだ」

「そう言われれば、そうなのかもしれません」

もう、昇華したはずだった。アロナのは、四度目の人生が始まったあの瞬間、跡形もなく死んだのだ。

それなのに、今は生に執著している。死ぬよりも生きていたいと思ってしまう。

「私はきっと誰よりも、愚かです」

群青の瞳が、まるで泣いているかのようにうるりと揺れた。

「…契約の容を、お聞かせください」

アルベールは、アロナの様子が一瞬変わったことに気づきつつ、言及はしない。

彼にとってアロナは、手段の一つに過ぎないのだから。それはアロナにとってもそうだろうと、アルベールは思う。

互いの心の真芯に、たったひとつの大切なものがある。誰にも理解できない、譲れないものが。

「私と結婚していただけませんか?」

「しかしあなたは既にルーファス殿下とご婚約なされているのでは」

「私は解消をんでいます。そしてそれは、あの方もきっと同じ」

「ふむ、ルーファス殿下が…」

アルベールは顎の下に手をやり、なにやら思慮する仕草をみせる。

しかしすぐににこりと、胡散臭い笑みを浮かべた。

「確かに、ルーファス殿下ほどの地位を持つ婚約者にり代わる男は、そうはいないでしょう。僕であればその點はクリアできそうですね」

謙遜する必要もないが、こうもを張られるとなんだか素直に頷きたくなくなる。

「なるほど。あなたが僕に焦がれているという“噂”は、あなた自ら流したというわけですか」

アロナは答えないし、アルベールも気にしていない。

「僕社界は大嫌いですが、に疎いわけでもありません。弱った貴族につける隙は、逃したくありませんしね」

(やっぱり、蛇みたい)

「怖気づきましたか?」

「いいえ」

アロナはきっぱりと否定する。アルベールは、彼れる寸前まで指をばした。

(どうせ、れやしないわ)

互いに、どうしてだか互いのが読み取れる気がする。きっと思考が近いのかもしれないと思うが、それも認めたくないような。

「ルーファス殿下との結婚を回避するために、僕を利用するのですね」

「ええ、そうです」

「では僕も心置きなくあなたを利用できる」

群青の瞳と、深い濃青の瞳は、似ているようで違う。

それでもアロナは、彼の瞳に映った自分自をしっかりと見つめ返した。

(生きるためよ)

いや、し違うかもしれない。

(ルーファスの傍で、生きないため)

これが一番しっくりくると、彼は思うのだった。

    人が読んでいる<【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください