《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》必然、あるいは

それでも、答えはすでに出ている。

「その話、お引きけいたします」

「フルバート嬢」

「悩む余地などありません」

なにをどうすれば自などが役に立つのか、そもそも力になれるのかすらも疑問だ。けれどよっぽどでなければ、こんな昨日今日アストフォビアに訪れたような人間に、全てを吐することはないだろう。

相手はロファンソン辺境伯、そして神の使いである神龍。こんな風に下手に出ずとも、自分達の思い通りに脅しる方法などいくらでもある。

誠意を示してくれた相手に、それと同等の思いを返したいとアロナは考えたのだ。

(私って愚かかしら。もう何度も騙され殺されてきたのに、またこんな)

アルベールが自に危害を加えないとを張れるほどの関係は、まだり立っていない。契約をわしたとはいえ、彼ならば力をもってすればどうともできる。

場面だけを見れば、アロナはアルベールの弱みを握ったも同前。けれどこの場所のことを世間に公表したところで、きっと上手く誤魔化され頭のおかしい奇人扱いをされるのがオチ。

アルベールもまた、自分を人として信用しているわけではないのだろうとアロナは思った。

「本當によろしいのですか?フルバート様」

「セリカ様、どうか無禮な言いをお許しください。なぜ私などにそこまでへりくだるのですか?」

「こちらから願い出ているのですから、それは當然のことです。とはいえ、この狀況がすでにあなたを囲い込んでいる卑怯なやり方であることは、否めませんが」

セリカは対等であろうとしているのだと、アロナはじた。白金の雙眼が、らかく彼を見つめている。

(これはきっと、必然だわ)

頓狂な使命かもしれないが、アロナの心はそうすべきであると震い立っている。そこにアルベールとの契約云々の話は全く浮かばず、有利にことが運べるなどという打算もない。

ただ純粋に、困っているなら力になりたいと思うだけだ。

「アロナ・フルバート公爵令嬢」

アルベールの顔つきから、いつもりつけられている胡散臭さが消える。

(この湖のによく似ているわ)

をまっすぐに見つめる、深く澄んだ青の瞳。この綺麗な男にも抱えているものがあるのだと思うと、アロナは妙な親近を覚えた。

「本當に、ありがとうございます。アルベール・ジャック・ロファンソンの名を懸け、一生を以てこのご恩に報いる所存です」

「協力は惜しみませんが、あまり大げさな話にはしてほしくありません。これは、私自が決めたことですから」

アロナは、アルベールを気の毒に思いつつも、正直なところ心中はそれどころではない。

(全く役に立たなかったらどうしよう)

ただそれだけが、とても心配だった。

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