《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》ただ、助けたいと

(ルーファス、エルエベ、それに…)

ククルが、重傷を負った。

その事実が、アロナの神から冷靜さを奪う。一瞬放心していた彼だったが、を強く噛むとその痛みで自い立たせた。

「フルバート様、からが…」

セリカが気づきアロナを気遣うが、彼はなにも答えないまま微かに會釈を返すだけだった。

「ロファンソン様。それは紛れもない事実なのですか」

「王都にある僕の屋敷を管理している者から、先ほど使者が送られてきました。噓偽りのない事実です」

「分かりました」

アロナはアルベールの腕からするりと抜けると、ぐっと背筋をばす。

「急で申し訳ありませんが、今すぐ王都へ出発します」

「そう思って、すでに付近に馬を用意しています。さすがに王都まで馬を使うのは難しいでしょうが、途中までならばそちらの方がずっと早い」

「で、ですがそれではロファンソン様にご迷が」

城に待機させているフルバートの従者を使おうと考えていたアロナは、その提案に戸う。

「今は急事態です。どうか、アストフォビアの地を知している僕に任せてはいただけないでしょうか」

「……」

(ククル…)

急いだところで、既に手遅れかもしれない。それでも、一刻も早く彼の元へ駆けつけたかった。

「ロファンソン様。どうか私に、お力を貸してください」

「もちろん。あなたの為ならば喜んで」

に向けられた彼の手を、アロナは半ば無意識のうちに摑もうとする。

「アロナ」

ちゃぷん、と水の音が聞こえた。

「ル、ルタ様!」

セリカの隣、いるはずのない場所にルタが現れたことに、本人以外の誰もが驚く。

アロナはアルベールにばしかけた手を引くと、ルタの元へと駆け寄った。

「両手を出して」

「こうですか?」

アロナの掌の中に、ぽとりとなにかが落ちる。それは窟の中の僅かな明かりすら取り込み、きらきらと輝いていた。

「僕の鱗だよ。それを煎じて飲ませれば、あるいは助かるかもしれない。絶対、とは言えないけど」

「ルタ様…」

これがどれだけ貴重で、そしてルタ自を危険に曬す産であるのかを、アロナは痛いほど理解する。

「心から謝いたします、ルタ様」

「くれぐれも気をつけて。ちゃんと自分のも守るんだよ」

「そのお言葉、に刻みます」

ルタから贈られたそれを、アロナはぎゅっと握り込んでに當てる。不思議と、不安や恐怖が吸い込まれていくような気がした。

「私も、フルバート様が悲しむことのないよう祈っております」

「セリカ様、ありがとうございます」

の神龍に深々と深謝すると、アロナはくるりとアルベールの方にを向ける。

「どうぞよろしくお願いいたします」

「……」

「ロファンソン様?」

「あ、ああ。行きましょう」

アルベールははっとして、もう一度アロナに向かって手をばす。彼の瞳が困ったように揺れたのを見逃さなかった彼は、すぐにそれを後ろに引いた。

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