《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》されたがりの狂人

三名もの王族が刺されるという凄慘な事件を引き起こしたのは、同じく王族である三姉妹の次ローラ。

それを聞いた時、アロナはなにかの間違いではないのかと、何度も確認した。エルエベの腰巾著だったローラがまさかこんなことをしでかすなど、にわかには信じられない。

全ての元兇は、ルーファスだった。

彼はされたがりだった。優しく、愚かで、流されやすい。

――僕は君を、心からしてる。

濁った瞳でアロナに告げたあの言葉に、きっと噓はなかったのだろう。ルーファスは、アロナがアストフォビアへ去ってしまったことをきっかけに、彼へのを貫くと決めたらしい。

けれどもう、なにもかもが遅過ぎた。

アロナとルーファスは、男の親な関係にない。ククルともそうだろう。

では、ローラとはどうだったのか。彼が一方的にルーファスをしていたのか、それとも彼が思わせぶりな態度を取っていたのか。その真相は、今や本人の死とともに消えた。

確実なのは、エルエベとルーファスには“それ”があったということだ。彼はそのに、ルーファスとの結晶を宿していた。

我がイギルキアでは、近親婚は忌にも近い。昔ほどではないにしろ、婚約者のいるでありながら従姉妹と関係を持ち、あまつさえ篭らせてしまうなどあってはならないこと。それを重々承知しているエルエベは、ルーファスの立場を慮り表沙汰にしようとはしなかった。

しかしルーファスが変わってしまったことにより、彼の心もまた変化した。彼が「これからはアロナただ一人をする」と、エルエベに宣言してしまった。

それを聞いたエルエベは絶し、ルーファスを道連れにしようとお腹に子を宿していることを公表した。

そしてエルエベの事実を知ったローラは嫉妬に狂い、死を以てそれを知らしめようと決めた。

そしてククルは悲慘にも、それに巻き込まれてしまった。以前アロナが「ルーファスに相談相手を」と頼んだカリーナ嬢が、神を病み學園を去ってしまったらしく、ルーファスならば事を知っているのではと、たまたま彼の元を訪れていたらしい、

の話によれば、ククルは自らローラの前に飛び出し、ルーファスを庇ったのだという。なぜそんなことをしたのか、その真相も本人以外には分からない。

ククルを刺してなお、ローラはルーファスを刺した。そしてエルエベとお腹の子までをも手にかけ、最期は自死を選んだ。

――來世こそは、ルーファス様と。

己の元に短剣を突き刺す直前、彼は涙を流しながらそうんでいたのだという。

この登場人の全てが、ただを求めていた。

ルーファスという傲慢な優しさを持った、狂った男にされたかった。願いはそれだけだった。

この話を聞いた時、アロナはすぐに思った。自分が”こう”ならなかったとは言い切れない、と。

あのままルーファスをし続け、何度も何度も殺されていたならば。いつか神は崩壊し、三姉妹を手にかけていたかもしれない。

フルバート家の公爵令嬢ではなく、ただ一人のアロナとして自分を扱ってくれたルーファスのことが、本當に好きだった。彼さえいれば、他にはなにもいらなかった。

とは所詮、エゴでしかない。したならば、その分を返されたいと思ってしまう。

純粋な想いほど、歪んだ瞬間取り返しのつかないことになるのだろうと、アロナは自にゆっくりと手を當てた。

(まさか、こんな結末を迎えるなんて)

とはしく、そしてとても恐ろしい。

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