《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》心からの安堵

♢♢♢

それから四日後に、ククルは目を覚ました。アロナは自宅に帰ることもせず、常に彼の傍についていた。

「あ、ろな……?」

ククルの回復を信じていたアロナだったが、名前を呼ばれた瞬間大粒の涙をこぼしながら彼の手を握る。

「ククル…よかった…」

「心配かけてごめんなさい」

「本當に、が引き裂かれる思いだったわ」

ククルの聲は弱々しかったが、それでもヘーゼルの瞳の奧にはが燈っている。

(ルタ様…ありがとうございます)

ルタからもらった鱗のおかげだと、アロナは心から謝した。そうでなければ、かけがえのない友人を失っていたかもしれない。

「ルーファスは?それにお姉様達も」

「……」

ククルの問いかけに、アロナは口をつぐんだまま小さく首を橫に振る。

ローラ以外には同じものを同じ分だけ飲ませたはずなのに、助かったのはククルただ一人だった。

「そんな…」

「ごめんなさい。私はなにもできなかった」

「アロナが謝ることじゃないわ」

ククルの瞳に、うっすらと幕が張る。アロナは痩せ細った彼の手を、さらに力強く握った。

「私…無意識にが飛び出してた。あのままルーファスが死んでしまったら、アロナが悲しむと思ったから」

「ククル…」

(私のために、あんな無茶を)

アロナは、ぐっと奧歯を噛み締める。

「一瞬だったから、無我夢中だった。とにかくあなたの顔が浮かんだの」

「私のことを想うなら、もっと自分を大切にしてほしかったわ」

初めて見るアロナの泣き顔に、ククルのは締めつけられる。実の姉に刺された痛みよりも、大切な人を傷つけてしまったことの方が、ずっと辛かった。

「あなたは私の、かけがえのない友人よ」

「…アロナ」

「失ってしまうかと、本當に怖かった…っ」

的になることに意味はないと分かっていても、抑えることができない。がぐちゃぐちゃに絡み合い、自分が今なにをどう思っているのかすら、分からない。

「姉達が酷いことをしてごめんなさい…っ」

ククルは床に伏したまま、くしゃりと顔を歪める。彼の目から溢れる涙を、アロナはその指で優しく拭った。

「ククル。あなたが無事でよかったわ」

「ありがとう…っ」

(生きていてくれて、ありがとう)

自分がこんなにもククルのことを大切に思っているのだと、改めて実する。

アロナが三度目に死ぬ間際、ククルは當たり前のように涙ひとつ流さなかった。ようやく邪魔者がいなくなったと、高笑いでもしていただろう。

けれど、その後は?

ルーファスがを絞れなかったせいで、姉妹は哀しい最期を迎えてしまった。今回の引き金は、アロナだったのかもしれない。けれど彼が死んだところで、果たしてうまく収まっていただろうか。

今回と同じような事態になっていたのかいないのか、それは誰にも分からない。

(助けられてよかった)

今アロナの心に燈っているのは、ただそれだけだった。

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