《【電子書籍化決定】人生ループ中の公爵令嬢は、自分を殺した婚約者と別れて契約結婚をすることにしました。》助けてくれたのは

「ろ、ロファンソン卿。なぜこちらに」

サムソンは驚きながら、部屋のり口付近に控えていた使用人達を睨みつける。

「申し訳ありません。僕が強引に押しってしまっただけですので、どうか彼らを責めないでください」

「別に私は…」

「アロナ嬢と會う約束をしていたのですが、なかなか顔を見せてくれないので心配になってしまって。まさかこんなことになっていたとは」

アルベールが責めるように目を細める。凍てつくようなその雰囲気に、サムソンは一瞬気圧された。

そんな彼をふんと鼻であしらい、アルベールはアロナの傍に跪く。

「可哀想に。が出てる」

「ろ、ロファンソン様…？なぜ…」

「約束していただろう、忘れてしまったの？」

朦朧とする意識の中でも、それが噓であるということははっきりと分かる。

（私を、助けるため）

なぜそんなことをしてくれるのか、気にする余裕もない。

「気にしないで。今はゆっくり休んで」

「私……」

アルベールはらかな表でそう言うと、彼の細いをしっかりと支えた。そして耳元で囁く。

「大丈夫。大丈夫だから」

（この聲…）

瞬間アロナのから、ふっと力が抜けた。

「ん……」

ふわふわとした心地よさの中で、アロナは目を覚ます。

「お目覚めですか、アロナお嬢様」

「ラーラ…」

「ご気分はいかかですか？」

侍のラーラの穏やかな聲を聞きながら、アロナはしばらくぼんやりとしていた。

「ラーラ」

「はい、なんでしょう」

「あなたを振り回してしまって、ごめんなさい」

ルタの話し相手として窟で過ごしている間、ラーラはアロナの傍にいることができなかった。王都へ帰ってからも彼を気にする余裕もなく、きっと両親から咎められたのではとアロナは申し訳なく思った。

「お目覚めになってすぐに私のことを気にしてくださるなんて、お嬢様は本當にお優しい方ですね」

「優しい…私が？」

「ええ。アロナお嬢様は、お優しいです」

アロナは今まで、自分が優しいなどと考えたこともなかった。そんな余裕もなく、三度目の人生まではルーファスにしか興味がなかったし、四度目の今は自が生き殘ることに必死だった。

そのために、他者を利用することも厭わないと思っていたくらいだ。

「この度のことは本當に、なんとお聲がけをしたらいいか…」

ラーラはアロナの手を握り、その瞳を潤ませる。

「ありがとうラーラ。私なら平気よ」

「お嬢様…」

「そういえばここは…？」

自分が見覚えのない部屋のベッドに寢ていることに今さらながら気がついたアロナは、きょろきょろと辺りを見回した。

「ここは、ロファンソン辺境伯様のお屋敷です」

「ロファンソン様の…」

「気を失われたお嬢様をここまで連れてきてくださったのです。私にまで気を回してくださって、本當にありがたいことです」

にこりと笑うラーラの顔を見て、アロナは複雑な心境を心の奧に隠した。

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